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66)腹動(臍上悸)

7)臍傍抵抗圧痛

(瘀血の圧痛)

8)小腹不仁

N82

腹診は、全体から局所、上から下へ診ていくと見誤りが少ない。

荒れ肌 黄色帯下 生理痛 実脈 子宮筋腫 臍傍圧痛

各種症候

生体環境

病態(証)

桂枝茯苓丸証 (少陽 実 瘀血病態)

症候・病名と証

N70

このような四診を通して、陰陽、虚実、気血水等どのような異常がある のか診ていく。たとえば、少陽で、実証で瘀血の病態があり、桂枝茯苓 丸証と診断した。逆にいえば、この患者の生体アンバランスは桂枝茯苓 丸が治してくれると判断した。このアンバランスが、性別や年齢といっ た生体環境を通して、荒れ肌やおりもの、生理痛といった症候を示して くる。ここまでは推測である。次に実際に薬を投薬して、生理痛がなく なった、おりものがなくなった、ということがあれば、桂枝茯苓丸証で あったという確定診断が下る。これが漢方の治療と診断である。

46

六病位

気血水

方剤

患者の様々な愁訴や症候

証のとらえ方

漢方医学的なものさし

方証相対

鍵と錠前

症状が改善してはじめて その証が正しかったか否 かがわかる

四診 ( 望 聞問切)

病人の証 薬方の証

臨床検査

寺澤捷年:入門漢方医学より一部改定

陰・ 陽 寒熱・虚実 表裏

証の捉え方を示す。患者の様々な愁訴や症候から四診によって、陰陽を 捉える。陰陽には、六病位や気血水などが含まれる。そして証を探って いく。次に薬方の証、すなわち薬方の適応病態と突き合わせていく。こ れが方証相対という考え方である。症状が改善した時に、その証が正し かった事が分かる。これが一つの考え方である。

47

実地臨床における証と治療原則(Ⅰ)

合病と併病

合病 病位は一つ 病勢が他の病位に及ぶ

併病

太陽と陽明 太陽と少陽 三陽

葛根湯

(

太陽病の方剤)

黄芩湯 (黄芩加半夏生姜湯)

白虎湯 (白虎加桂枝湯 白虎加人参湯)

二薬方証または複数の薬方証の並存であって その症状が互いに相関連しあっており

その治にあたっては先後などの法則に従うもの

藤平 健:日本東洋医学雑誌

43(2)

241-253

1992

(潜証) 小倉重成

注意してもなかなか見落としやすい虚寒証・・・狭義 よく注意すればわかる虚寒証・・・・・・・・・・・・・・・・広義

N70

実地臨床における証と治療原則を示す。

証が一つであることを前提として話しをしてきたが、実際には証が複数 見えることがある。急に風邪を引いた時は、証が一つである事が多いが

、慢性疾患では証が一つであることはむしろ少ない。その時どうするか

。合病や併病という考え方がある。合病では、病位は一つであるが、病 勢が他の病位におよぶ。たとえば、太陽と陽明の合病は、必ず下痢す、

葛根湯これを主る、という条文がある。 葛根湯は太陽病の主要方剤で あるから、太陽病にいながら、下痢という裏の方の症状を呈しているの である。本体は太陽病である。そのため、太陽病にある本体をたたく葛 根湯を投与すれば、うまくいけば効く事がある。子供の感冒性下痢など のときはこのことが多い。太陽病と陽明の合病も自下利する。黄芩湯こ れを主る。三陽の合病は、白虎湯これを主る、と言われている。他にも 合病は出てくるが、代表的なものはこの3つである。少陽と陽明は大承 気湯という条文もあるが、あれは正文かどうかわからないし、実際に私 は見たことがない。私が藤平先生から教わった合病はこの3つである。

主 訴 下痢 嘔気 頭痛

現病歴 平成4年

6

7

日朝より頭痛出現 寝冷えと思い 放置していた

8

日には下痢と嘔気も出現してきたため 朝食をとらずに出勤したが腹痛と腹鳴を 伴う下痢が午前中だけで

5

回を数えたため 同日昼当科受診

家族歴 特記すべき事なし 既往歴 特記すべき事なし

症 例 33才 看護師

これは陽証の下痢の症例である。当時33であった看護師さん。主訴は 下痢、嘔吐、頭痛である。昨日から頭痛がでてきたが寝冷えだと思って ほっておいた。今日になって下痢と吐気がしてきた。仕事が休めないか ら、朝ご飯を食べずに出勤してきた。しかしお腹が痛いし、 お腹がご ろごろして下痢する。午前中だけでも5回も下痢をした。そのため10 時になって受診した。

身長:

155cm

体重:

45

g

血圧:

94 / 60mmHg

脈拍:

76 /

分 整 眼球・眼瞼結膜:黄疸・貧血なし 心肺:異常なし

腹部:肝脾腫大なし 圧痛や筋性防御なし 腸管グル音亢進あり

漢方医学的所見

自覚症状 下痢は裏急後重(+) 便臭(+) 頭痛と体熱感あり

他覚所見 脈候:やや浮・細 舌候:腫大歯痕なし

薄い白苔あり 腹候:腹力中等度

両側腹直筋の緊張あり

初 診 時 現 症

下利は裏急後重、便臭の臭いが強い。陽証の下利である。しかし、頭痛 もあり、熱感もある。脈も浮いている。これは太陽病の初期である。し かし、陽証の下痢もある。お腹は腹力中等度で腹直筋がはっていて、ご ろごろいっている。

臨 床 経 過

裏急後重と便臭を伴う下痢:陽証の下痢

発病後間もない体熱感を伴う頭痛:表証 (太陽病)

食欲低下と嘔気:半表半裏 (少陽病)

太陽病と少陽病の二証の並存(合病)と考え黄芩湯処方 内服後一時間で頭痛が楽になり、以後2回内服し同日中に 嘔気と下痢が治癒

黄芩湯 : 黄芩 大棗 芍薬 甘草

裏急後重を伴う下痢なので陽証の下利だろう。発病後まもなくで、熱感 を伴う頭痛がある、ことから太陽病であろう。しかし食欲低下と吐き気 もある、これは半表半裏の症状。大陽と少陽の合病、自下痢す、である

。黄芩湯と考えれば、太陽病らしい所見がありながら、少陽陽証の下痢 らしいところがありぴったりである。黄湯を飲ましたところ、1時間 で頭痛がよくなり嘔吐と下痢もよくなった。黄湯証であったことがわ かった。黄湯は、熱をさます黄を中心として大棗、芍薬、甘草が入 っており、陽証の下痢によく処方する。

51

黄芩湯 黄芩三両 芍薬二両 甘草二両 大棗十二枚

太陽與少陽合病 自下利者

與黄芩湯

( 傷 寒 論 太 陽 病 下 篇

若嘔者

黄芩加半夏生姜湯主之

太陽病と少陽病の合病で、自下痢する者は、黄湯これを与える。もし 吐き気があれば黄芩加半夏生姜湯を与える。この人は、吐気はあったの だけど下痢がひどかったので黄湯を与えた。吐き気が強ければ、エキ スでは黄湯に小半夏加茯苓湯を混ぜればよい。ノロウイルス感染症に この黄湯がよく効く。

52

実地臨床における証と治療原則(Ⅰ)

合病と併病

合病 病位は一つ 病勢が他の病位に及ぶ

併病

太陽と陽明 太陽と少陽 三陽

葛根湯

(

太陽病の方剤)

黄芩湯 (黄芩加半夏生姜湯)

白虎湯 (白虎加桂枝湯 白虎加人参湯)

二薬方証または複数の薬方証の並存であって その症状が互いに相関連しあっており

その治にあたっては先後などの法則に従うもの

藤平 健:日本東洋医学雑誌

43(2)

241-253

1992

(潜証) 小倉重成

注意してもなかなか見落としやすい虚寒証・・・狭義 よく注意すればわかる虚寒証・・・・・・・・・・・・・・・・広義

N70

合病の話をした。その他に併病というものがある。併病では、二薬方証 または複数の薬方証の並存がある。証は一個ではなくて複数ある。本来 の併病は、その症状が互いに相関連しあっており、その治にあたっては 色々な法則がある、というのが藤平先生が東洋医学雑誌にお書きになっ ている。小倉重成先生は、陽証とみえながらも陰証が併存している場合

、潜証と呼んだ。

53

実地臨床における証と治療原則(Ⅱ)

併病の治法

持重と逐機

藤平 健:日本東洋医学雑誌

43(2)

241-253

1992

先後 先表後裏 先外後内 先急後緩 先補後瀉 陰証・虚証が先

併治 合方 病位が近い方剤 柴胡剤と駆瘀血剤 重なる生薬は多い方の量を採る

併用 慢性疾患に多い

持重

逐機 証の変化に随い 速やかに転方

細かな症状の動きを 証の変化と見誤らない

N70-71

併病の治療であるが、まず、先表後裏という治療法がある。表証を先に 治療しなさい、裏証は後に治療しなさい。これが原則である。先急後緩 というのがある。例えば、風邪で寒気がでてもお腹がはって苦しいとき は、まず先に出してあげなければいけない。これは先急後緩でまず急迫 症状を治療しなければいけない。小倉先生が鍼灸の言葉からもってきた ものだと思うが、先補後瀉。まず補ってしかる後に瀉しなさい。裏の方 に病がある場合、普通陰証である。裏寒が中心である。傷寒論でも、こ の時にはみな陰証を先に治療する。説明は先急後緩と書いていあるが、

必ずしも急性の症状でない場合も見受けられる。しかしこれは先補後瀉 ではないか。先表後裏とか先急後緩というのは陽証のなかでだけでのこ とではないかと私は思う。治療方法として、合方がある。病位が近い場 合、例えば柴胡剤と駆瘀血剤の場合は薬を合わせてしまう。合方では、

重なる生薬の多いほうの分量をとる。また、併用する時もある。持重と 逐機という言葉がある。気候、気分などで症状が変わって見えることが ある。脈もすぐ変化する。このときに、病態を良くみながら、場合によ りあまりどたばたしないで同じ方剤で押し切る。これを持重と言う。い つも茯苓四逆湯証の人が、寒気がして、脈も強い。これはすぐ対応しな ければならない。これは逐機と言う。臨床の臨機応変を述べた言葉であ る。

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