本研究の結果は、非常に限られた企業を対象にしたものである。従って、中 国へ進出している日系企業一般を適用範囲とする研究成果を得るためには、業 種や企業規模等、さらに多様な企業を対象にした研究を行う必要がある。
また、調査対象者が人事・採用担当者であるため、本研究の結果が本社、あ るいは、管理部門の視点に限定されている可能性がある。複眼的な研究とする ためには、例えば、中国人スタッフを日常的に現場で管理・指導している管 理・監督者や、そこで働く中国人スタッフへ調査対象を広げる必要がある。加 えて、中国人の就業観・キャリア観について、広くは中国の風土や民族、歴史 や文化、政治や経済の考察も欠かせない。
一方、中国で管理職の現地化・管理職への登用拡大が進むと、駐在員、ひい ては日本人社員に対して、さらに高度で多様な能力が求められよう。そうした
人材の確保・育成や、キャリア形成支援等に関する施策・制度、及びそれらの 成果についての研究も要用である。
これらについて今後の研究課題とし、重ねて、どのように学生支援に活かせ るか考察していきたい。
[謝辞]
本研究の調査を実施するにあたり、ご協力いただきました企業のみなさまに 厚く御礼を申し上げます。また、本稿をご指導くださった百瀬恵夫先生、宮城 まり子先生、藤村博之先生、池内正直先生、そして、私に北京へ行くチャンス をくださった趙宏偉先生には、ご厚情を賜り感謝にたえません。また、数多く のご教示をいただきました松岡嘉幸さん、石田利光さん、西澤肇さん、岡田潤 一さん、さらに、ご指教を賜ったみなさま、励まし温かく見守ってくださった みなさまにこの場をもって改めて感謝申し上げます。
[注]
(1)畑伴子(2011)「金融危機下の中国労働市場と在中日系企業の施策」白木 三秀『チェンジング・チャイナの人的資源管理─新しい局面を迎えた中国 への投資と人事』白桃書房、pp.141-158参照。
(2)独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)(2011)「遼寧省の大学生、半 数以上が2,500元以上の月給希望─省機関が就業意向調査─」『日刊通商弘 報 2011年11月21日付』独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)参照。
(3)独立行政法人労働政策研究・研修機構(2010)「アジア諸国における高度 外国人材の就職意識と活用実態に関する調査報告書」『JILPT 資料シリー ズ No.80』独立行政法人労働政策研究・研修機構、p.3参照。
(4)独立行政法人労働政策研究・研修機構(2010)「アジア諸国における高度 外国人材の就職意識と活用実態に関する調査報告書」『JILPT 資料シリー ズ No.80』独立行政法人労働政策研究・研修機構、pp.3-4参照。
(5)独立行政法人労働政策研究・研修機構(2010)「アジア諸国における高度 外国人材の就職意識と活用実態に関する調査報告書」『JILPT 資料シリー ズ No.80』独立行政法人労働政策研究・研修機構、p.4参照。
(6)独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)(2011)「遼寧省の大学生、半
数以上が2,500元以上の月給希望─省機関が就業意向調査─」『日刊通商弘 報 2011年11月21日付』独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)参照。
(7)独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) (2011) 「上海市の新卒初任給、
3年間で3割上昇─安定志向で国有企業などが人気─」『日刊通商弘報 2011年8月24日付』独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)参照。
(8)独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) (2011) 「上海市の新卒初任給、
3年間で3割上昇─安定志向で国有企業などが人気─」『日刊通商弘報 2011年8月24日付』独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)参照。
(9)独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)(2011)「遼寧省の大学生、半 数以上が2,500元以上の月給希望─省機関が就業意向調査─」『日刊通商弘 報 2011年11月21日付』独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)参照。
(10)調査対象企業の内1社は、後述するように中国・北京にて起業した企業 である。
(11)三菱商事株式会社・三菱商事(中国)有限公司(2012)『Q&A中国ビジ ネス法務の現場[全訂版]』商事法務、p.278。
(12)保聖那人材服務(上海)有限公司(2011)「2012給与情報・福利厚生分析 レポート」株式会社パソナ パソナカンパニー グローバル事業部、p.31参照。
(13)例えば、2011年7月1日から社会保険法が施行されたが、その施行以前は、
「都市と農村の社会保険の管理が統一されていないことから、農村戸籍の 者が都市で労働する場合に全国的に社会保険に加入していないのが現状で あった」 (田中信行編(2011) 『最新中国ビジネス法の理論と実務』弘文堂、
p.210)。
(14)中国では労働法及び労働契約法にもとづき、企業と労働者が労働関係を 確立するにあたっては、原則として書面により労働契約を締結しなければ ならず、労働契約中に盛り込むべき内容は法定されている(田中信行編
(2011)『最新中国ビジネス法の理論と実務』弘文堂、p.197参照)。労働契 約に必要な記載事項のひとつとして「勤務内容及び勤務場所」がある(長 谷川俊明(2011)『中国のビジネス法務Q&A』中央経済社、p.96参照)。
(15)中国語で輪(わ)、円の意。輪の人、私的な、あるいは、非公式の仲間を 意味する。
(16)横山(2004)では、キャリアは「外的キャリア」と「内的キャリア」の
2側面で考えるとし、「外的キャリア」を現実社会での仕事の分野、種類、
職位など、仕事の役割・責任・権限などで表現される仕事の外的世界、「内 的キャリア」をそれらの仕事の自分にとっての価値、意味、意義を自ら問 う、仕事の内的世界(自分の生きがい/働きがい)であると定義している
(横山哲夫(2004)『キャリア開発/キャリア・カウンセリング』生産性出 版、p.364参照)。
[参考文献]