• 検索結果がありません。

3-Bromoacetyl-6,7-methylenedioxycoumaIinの蛍光誘導化試薬としての性質

ドキュメント内 蝋鍵耀 (ページ 41-62)

n r - C

2

2

メチレンジオキシタイプ蛍光誘導化試薬29は第1章で開発した2と同様に,カル ポン酸との反応基として3位にプロモアセチル基を有している.このプロモアセチ ル基の反応性については,2において従来の反応基ブロモメチル基に比べ高い反応

前節において設計した29はその合成も簡便であり,基本的に強蛍光性クマリン10

の構造上の条件を満たしている.本節ではこの29の蛍光誘導化試薬としての性質に ついて反応性および蛍光特性という点から検討を加えた.

2‐13-Bromoacetyl-6,7-methylenedioxycoumarinとカルポン酸との反応性

-3 3

2

a:RローCH3,b:Rロ・C6H5’c:R画・CH2(CH2)gCH3 d:R=・CH2(CH2)6CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH3

⑧:R=-CH2(CH2)11CH3 f:R=CH2(CH2)6CH=CHCH2CH=CH(CH2)4CH3 g:R=-CH2(CH2)13CH3 h:R=-CH2(CH2)6CH=CH(CH2)7CH3

i:R=-CH2(CH2h5CH3

Scheme5

CH20COR

まず反応溶媒の影響について検討し,その結果をFig.12に示す.Fig.12から明らか なようにアセトン,アセトニトリルといったaproticな極性溶媒中で円滑に誘導化反応

は進行し,2と同様の反応溶媒指向性が確認された.

c

H2BrRCOOH

r

ヘ ク

、/

/11へ

c a 1 a I y s

t ① グ ー U

団 = - C

性を示すことをすでに確認している.本項では,この29においてもその高反応性が 保持されているかという点について再度検討を行なった.反応追跡は生成してくる

カルポン酸誘導化成績体をHPLCで分離,蛍光検出することにより行なった(Scheme 5).

> - 記 字 一 一

(言コゴーP葛)》昌菖着&

F 一 ○ 一 や

0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 Timeノmin

vatieDerionlhlvenlofSoffectl2E

Lauricacidwith29alRoomtemperaturc

●;ace〔one‘○;aceloniUilc.■;bcmene {291=51』moUlOO山,118℃mwn-61=31』mClノ1001』1,IKHCO31=2mg

1

乙云。-5-毛

(】旨.J逼周)豆響⑭昌茎困些

また,誘導化に対する反応温度の影響について検討したところ,Fig.13に示すよ うに誘導化反応は室温において約20分で完結していることが認められた.一方,反 応温度50℃の高温条件下においては,誘導化成績体の分解によるものと思われるが,

それらのピーク高さの減少が認められた.

0 2 5 5 0 7 5 l 0 0 Tmleノmin

FvireDie【hutt℃nTagrofeoeptcm・effE3l a t i z a t i o n o f

Lauricacidwith29inAcetone

●;momIempemUlrc,O;50°C

129,1U106l0n-lowocml8001oImu31COHK

これらの結果は,前節で合成したメチレンジオキシタイプ蛍光誘導化試薬29が,

第1章で開発した2と同様に,カルポン酸に対する高い反応性を継承していることを 示している.ところで,この誘導化反応においては相間移動触媒として18℃rOwn-6を

利用している.29によるカルポン酸の誘導化反応が室温下円滑に進行することは先 に確認されたものの,この反応においてl8-cmwn-6が果たす役割は想像以上に全体の

反応収率に影響すると思われる.そこで,誘導化反応に及ぼすl8-crOwn-6濃度につい

て検討した.Fig.14から明らかなように,カルポン酸濃度に対して試薬29が過剰量

存在した場合においても,未だ反応収率にはl8-crOwn-6濃度依存性が認められる.

この結果は,高反応性基を有する蛍光誘導化試薬といえども,その系に添加する触 媒の影響力が極めて大きいことを示している.ところで,第1章で開発した2と力

-3 5

0 2 5 5 0 7 5 1 0 0 Timeノmin

F i g

、 l 4 E f f b c t o f l 8 -C m w n -6 c o n c e n t r a t i o n o n t h e D e

【iotaiztaiv n

ofLauricacidwith29inAcetoneatRoomtemperatuIe

l8Cmwn6:■;lUmoL●;31』mo1.0;511mol,

【21】=5umoIノ10OIL【L“ncacidl=lOOnnmI/IOOIll.【KHCO31=2mg

で===8=8=1

︵︼旨︒︺逼局︶︺昌菖舗鼻﹈

つ目ヨ曽尉)】昌一⑪昌制&

ルポン酸との誘導化反応がDuoliOeA-375のような弱塩基性アニオン交換樹脂によっ

ても触媒されることが確認されている.そこで,29でもこのような高分子触媒によ

る反応が可能かという点について以下に検討した.Fig.15に種々の高分子触媒を用

いてステアリン酸の誘導化反応を行なった結果を示す.

7.5

[Z9】=100,molノ、1.Isleancacidl=10molノml

iIouD52(537-0(1409e5.O2)ii(IIe0b-5mA;A,c)tioIuD;

0 2 0 4 0 6 0 両me姉in

F i g

-eionAnofectff5El x c h a n g e r B s i n c a t a l y s t o n t h e D e r i v a t i z a t i o n

ofStearicacidwith29inAcetone

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

面meノmin

F i g

l 6 E f f e c t o f S o l v e n t o n t h e D e r i v a t i z a t i o n o f

Steancacidwith29atRoomtemperature

■;ace0onG▲;“c0onit【ile.●;benzenebp;dichlomme8hane I29】=100nmoUml.【S陸aricac遡I=10,molノml.

【画』ou0eA戸375】=25mg

75

0s

つ日ヨョーp圏)】乱図》詞崖

0.0

いずれの触媒を用いても誘導化は進行するが,DuoliOeA-375の場合,他の弱塩基性ア ニオン交換樹脂AmberlibelRA-904,あるいはDuoliteA-561に比べ迅速な触媒効果が認

められた.また,このような高分子触媒を用いた場合の反応溶媒の影響をFig.16に 示したが,ここでもアセトン,アセトニトリルといったapmticな極性溶媒中で円滑に

誘導化反応が進行することが確認された.さらに,この高分子触媒による誘導化反

応においても,先のl8-crOwn-6触媒の場合と同様な濃度依存性が認められた(Fig.17).

Fig.’7EfrectofAmountofCatalyst(DuoliOeA-375)on

DerivatizationofSOearicacidwith29inAcetone IZ91=lOOnmoUml.〔s0earicacid】=10,molノml

つ冒ヨ営圃︶︼邑爾且劃蝉﹈

0 2 5 s o 7 s 1 0 0 1 2 S A

m o u n t o f c a t a l y s t

-3 7

2-2誘導化成績体の蛍光特性

前項の検討から,メチレンジオキシタイプ蛍光誘導化試薬29の3位プロモアセチ ル基が,第1章で開発した2と同様に,カルボン酸に対して高い反応性を有している ことが確認できた.そこで本項では,29の誘導化反応によって生成するカルポン酸 誘導化成績体の蛍光特性が,前章で予想されたように高い蛍光性を示すかという点

について検討した.

Fig.18にメタノール中における29によるラウリン酸誘導化成績体30cの蛍光スペ

ルトルを,3およびBrMMCによるそれらとともに示す.

(。・画一語芸四口の》ロ『①○口の○画の駒。.『』

3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0

Wavelengthノnm

Fig,l8F1uoresccncespectraof30c,3andMMC・LauinMeOH

lu1a3L1-CMM(lom.

Fig.18から明らかなように,29によるラウリン酸誘導化成績体30cの蛍光波長は

他の誘導化成績体に比べ長波長側へシフトするとともに,著しく高い蛍光強度を示

以上の結果は,メチレンジオキシタイプ蛍光誘導化試薬29が,プロモメチル基な どよりは格段の高い反応性を有していること示す.しかしながら,誘導化反応全体 を考えると反応溶媒,触媒あるいはその量などに注意を向ける必要があることが示 唆された.

0(CH2)1oCH3 0(CH2)1oCH3

すことが判った.この結果は,29が3あるいはそれより高い蛍光強度を与える BrMMCよりも蛍光誘導化試薬として優れた蛍光性を有していることを示している.

ところで,このBrMMCの4位プロモメチル反応基を利用した蛍光誘導化試薬として,

F a r i n o t t i 等 c o y o x h e t i m d は 7 - 3 ) 6 , ' - y l t h e o m m r o - b 4 u m a r i n ,

B r D M C を 開 発 し , こ の B r D M C

によるカルポン酸誘導化成績体(例えば,ラウリン酸誘導化成績体DMC-Lau)が BrMMCによるそれに比べ高い蛍光量子収率を与えることを報告している.さらに,

N a g a n u m a 等 , n i l a u m も o ) c 4 y ' x o i d e n e 4 l y h t e m - , 7 6 - - l y h t e m o m o r b

B r M D C を 合 成 し , そ の カ

ルポン酸誘導化成績体(例えば,ラウリン酸誘導化成績体MDC-Lau)について FarinoUi等'3)と同様の事実を報告している.

33

“HMH〈し(し

r〕r‐C

、 r ‐ C

BrDMC BrMDC

しかしながら,これらの試薬は蛍光感度こそ改善されてはいるものの,反応性とい う点からはBrMMCの場合と同様にクラウンエーテル触媒下長時間に及ぶ高温加熱条 件を必要としている.反応性という点では,29のプロモアセチル基が上記試薬で利 用されているブロモメチル基より高いことはすでに確かめられいる.そこで,

BrMMCによるラウリン酸誘導化成績体よりも高い蛍光強度を与えた29によるラウ

リン酸誘導化成績体30cの蛍光特性について,DMC-LauおよびMDC-Lauと比較検

討することとした.これらの各種溶媒中におけるスペクトル特性をその蛍光量子収

率(①F)とともにTnble5に示す.三者のラウリン酸誘導化成績体を比較すると,い

ずれの溶媒においても30Cの蛍光励起ならびに発光波長は他に比べ長波長側へシフト

-3 9

33

“H叩H

CC

MDC-Ln1I o r ‐ C DMC-Lau

342 442 0.33

346 439 0.33

391 467 0.80

Table5SpectmlPropertlesandFluomescenceQuantumYieldsof

DMC-Lau,MDC-Lauand30cinSomeSolvents

344 439 0.38

348 433 0.31

Solvent Laurate

11I

BenzeneCH2Cl2MeOHCH3CN

DMC-Lau

入uvnm() 入F(nm)

のF 入uv)m(n 入F(nm)

のF 入m(nvu) 入F(nm)

のF

344 446 0.40

348 441 0.53

392 479 0.80

し,蛍光量子収率も著しく高い値を示すことが判った.

393 460 0.71

445 431 0.07

454 0.36

これらの結果は,29が反応性および蛍光性,両面において他の試薬を凌駕する誘 導化試薬であることを明らかに示している.ところで,29によるラウリン酸誘導化 成績体の蛍光特性を,第2章で見出した強蛍光性クマリン10のそれと比較すると,

その蛍光量子収率がいずれの溶媒においても増加していることがわかる.これはお

そらく,試薬自身の3位カルポニル基に加え,誘導化反応によって導入されたカル ポン酸のエステルカルボニル基の相乗的な電子吸引効果によるためと考えられる.

このように,前章において検討したクマリンの蛍光発光機構の解明に基づいて高反 応性および高蛍光性を示す誘導化試薬29を開発することができた.そこで,この試 薬を用い,ヒト血清中の遊離脂肪酸の蛍光誘導化分析への応用について検討した.

先ず対象脂肪酸として,ラウリン酸からステアリン酸までの誘導化成績体30c-iを別

途合成し(Scheme5),Fig.19に示すようなHPLC分離クロマトグラム条件を設定し

た.このFig.19から明らかなように,7種の誘導化成績体が完全に分離され蛍光検

出されている.

MDC-Lau

30c

の切coQめ①』』◎一○の一のロ①。c①○い①』◎三匹

1 0 2 0 3 0 4 0 Timeノmin

Fig・l9HPLCchroma〔ogmmofSlandardfatWacids P c a k s

aic;ndcciolancUri.ua.l c i d

; U$Tiym. c a c i d

lconU. i c a c i a 5

tmj1ap j c 8 c i d

; 6 . o l c i c a c i d

cidGearica$

さらに,ヒト血清中の遊離脂肪酸を29により蛍光誘導化した時のクロマトグラム

をFig.20(A)に示す.また,比較として2を用いた場合のクロマトグラムをFig.20

(B)に示す.このクロマトグラムからも各脂肪酸が良好に分離されていることが判る.

さらに,29による誘導化成績体の蛍光ピーク強度は2のそれらに比べ格段に大きく なっており,29はヒト血清中の遊離脂肪酸を迅速に誘導化し,これらを高感度に蛍 光検出できる試薬であることが判った.

2 0 3 0 T1meノ、in

F i g . 20ffi℃grzmomatoLCchmHPmaninhuacidsfatXyc

b l o o d p l a s m a d c r i v c d b y Z 9 ( A ) a n d (B

P c a k s

1.1;d;ic8.cmc1onjIsdiicTacj c1nOi.I l c a c i a 5

cUdn81p 8 c i d

; aiccoI. c i d

7.sIc8ric8cM

-4 1

1

4

第 3 節 小 括

本章においては,前2章において見出した強蛍光性クマリンフルオロフォア10を 利用して強蛍光性誘導化試薬29の合成とその性質について検討し,以下の知見を得

l)強蛍光性クマリンフルオロフォア10を利用して29を設計し,これを高収率で 合成することができた.

2)29とカルポン酸との反応はアセトンあるいはアセトニトリルといったaprOtic

な極性溶媒中,クラウンエーテルあるいは強塩基性イオン交換樹脂触媒を用いるこ

とにより室温で円滑に進行した.しかしながら,誘導化反応収率に対して触媒濃度 依存性が認められるなど,反応系全体を考えた場合,これらの重要性が示唆された.

3)29との反応によって生成するカルポン酸成績体の蛍光特性は,これまで報告 されているクマリン系誘導化試薬の中で最も高い蛍光量子収率を与えることが判っ た.特にHPLCなどで繁用されるメタノール,アセトニトリルのような極性溶媒中 において,その値は0.8以上にもおよぶことが判った.

4)この試薬を用いてヒト血清中の遊離脂肪酸の高感度蛍光分析が可能であること が示された.

ドキュメント内 蝋鍵耀 (ページ 41-62)

関連したドキュメント