• 検索結果がありません。

2 3つのステップと13のプロセス

以下は、各ステップにおけるビジネス化の

プロセスを示したうえで、当該モデルケース に鑑みて、それぞれのプロセスにおいてどの ような検討結果を提示すべきかを具体的に示 す。各プロセスでのアウトプットは、検討対 象となる個々の技術やビジネスによって異な るが、3つのステップおよび13のプロセス は、ビジネスの内容に関係なく、黎明期の医 療・ヘルスケアビジネスにおいてほぼ共通し ている。

【ステップ1】 利用シーンと付加価値の 明確化

①当該技術の特性をもとに、エンドユーザー の利用シーンに結びつく機能的特性を明ら かにする

PE技術は、エレクトロニクス機能(情報 センシング機能、記録機能、演算機能、通信 機能など)を付加した製品を安価につくり出 せる。たとえば、日常的に身につけるものに エレクトロニクス機能を付加できると、情報 取得時に、場所や時間などの条件による制約 が緩和され、情報が、代表値ではなく連続値 で記録可能となる。その結果、以下のような 機能的特性が浮き彫りになってくる。

ⓐこれまで取得が困難であった連続値の情 報が取得できるようになることで、当該 情報に基づく判断の精度が高まる

ⓑ場所的な制約があるゆえにコストがかか っていた情報の取得を安価にできる 以下、具体的に見ていく。

医療・ヘルスケア業界では、患者の情報を 取得できる場所は、基本的にドクターのいる 診察の現場に限定されるため、たとえば患者 の血圧や血中成分の数値といった生体情報を 連続的に取得する場合には、患者を入院させ

る必要があった。しかし当該技術を使えば、

その条件を変えられる。

また、基材選択の自由度が高いPE技術の 利用によって、生体適合性の高いフレキシブ ルな製品や自宅で簡単に処分できる製品な ど、患者が取り扱いやすい製品を開発するこ とも可能となる。

 

②エンドユーザーが 「当該技術を用いた製 品・サービス」を利用するシーンを描き、

エンドユーザーを含めた5Pがどのような 付加価値を得られるのかを明らかにする 上述した①のⓐについては、ヘルスケア領 域での利用シーンを描くことができる。すな わち、これまで代表値しか取得できなかった 患者・患者予備軍の生体情報や、患者・患者 予備軍の記憶に頼っていた情報を、センサー を常時装着してもらうことで、連続値として 記録し、より厳密な健康管理に利用できる。

また、患者・患者予備軍も、手間をかけず情 報を記録でき、しかもより正確な診断・指導 が受けられるようになる。

①のⓑは、遠隔医療での利用シーンを描く ことができる。これまで患者の傍に器具を設 置しなければ確認できなかった情報が、生体 情報センサーから取得できるようになること で、情報取得時の場所の制約から解放され る。その結果、患者は住み慣れた自宅で生活 できるため、自らのQOLが向上し、加えて 入院費も削減できるので、経済的なメリット も得られる。多忙なドクター・医療従事者に とっても業務の軽減につながり、ドクターや ベッド数が逼迫する医療サービス提供機関

(病院)のリソース確保にもつながる。

このようにPE技術を活用することで、さ

まざまな医療・ヘルスケアビジネスのシーズ が創出される。

【ステップ2】 ビジネスの明確化と新ビジ ネスのエコシステム作成

③自社の「新技術を用いた製品・サービス」

以外に必要な「補完製品・サービス」を明 らかにする

生活習慣病の患者・患者予備軍の健康管理 という付加価値を5Pに届けるには、生体情 報センサーを含むハードウエアに加えて、情 報モニタリングの手段となる対象者向けのア プリケーションソフトウエアや、医療機関に おける情報システムの整備、センシングした 情報を利用した指導プログラムなどの補完製 品・サービスを整える必要がある。

④ビジネスを構成する「製品・サービス」群 それぞれに求められる技術水準を明らかに する

生体情報センサーであれば、「情報のセン シング、記録、通信」という基本機能に加え て、生体適合性や処分のしやすさといった付 加的機能も含めたうえで、実現に要する技術 水準を把握する。センシング精度は用途を規 定する重要事項である。補完製品・サービス についても、求められる技術水準を併せて検 討する。

⑤ 「当該新技術を用いた製品・サービス、補 完製品・サービス」の価値をエンドユーザ ーに届ける仲介者を明らかにする

患者・患者予備軍へ製品・サービスを直接 提供するケースを除けば、当該製品・サービ スは、医療サービス提供機関や、ドクターお

よび医療従事者の仲介によって患者・患者予 備軍に届くことになる。また、新しい医療機 器として当製品を販売するには、規制当局の 認可を取得する必要がある。そのため、これ に対応できるプレーヤーもまた、当該製品・

サービスをエンドユーザーに届けるうえでの 代表的な仲介者となる。

⑥新規ビジネスが代替する既存ビジネスのエ コシステムを描き、両ビジネスモデルで共 通するプレーヤー、異なるプレーヤーを明 らかにする

当該製品・サービスの代替対象となる既存 ビジネスは、患者向けと患者予備軍向けで異 なる。前者の場合、ドクターから食事療法・

運動療法・薬物療法などの指示を受けた患者 が医療機関に定期的に通い、その場で検査し てドクターの指示を仰ぐ。後者の場合は、特 定健診で患者予備軍とされた者に対し、栄養 管理やジムでの運動指導などの保健指導サー ビスの提供が挙げられる。

既存ビジネスにおいては、生体情報センサ ー、アプリケーションソフトウエア、同セン サーを利用した生活習慣病の予防・改善プロ グラム、病院の情報システムのいずれも必須 ではない。それゆえ、新規ビジネスの展開に 当たっては、新たにアプリケーションソフト ウエアベンダーやプログラム企画者といった プレーヤーの巻き込みが必要となる。

一方、新・旧ビジネスに共通しているプレ ーヤーとなる医療機関とドクター、保健指導 サービスベンダーに対しては、新規ビジネス への移行を促進するために、明確なメリット を提示しなければならない(【ステップ2】

の「⑧新ビジネスが各仲介者に与えるメリッ

ト・デメリットを、既存ビジネスと比較しつ つ明らかにする」を参照)。

⑦各仲介者にエコシステムへの参加を促す必 要性・重要度を見える化する

各仲介者の果たす役割や影響力を評価する ことで、新ビジネスを推進するうえで欠かせ ない仲介者を可視化する。当該製品・サービ スにおいては、エンドユーザーと直接接する 保健指導サービスベンダーやドクターの、エ コシステムへの参加は欠かせない。

⑧新ビジネスが各仲介者に与えるメリット・

デメリットを、既存ビジネスと比較しつつ 明らかにする

当該製品・サービスで重要度の高い仲介者 は、ドクターや保健指導サービスベンダー、

医療機関であり、いずれも新・旧ビジネスに 登場する。その中で、新ビジネスにおけるド クターにとってのメリットの一例として、患 者の連続的な生体情報など広範な情報を取得 できるため、効果的な指導方法を検討・提供 できることがある。

デメリットは、得られる情報と、それに対 する判断および指導内容について、新たに学 習しなければならないことである。ただし、

生体情報センサーを用いた指導について、そ もそも保険診療点数が付かなければ収益に結 びつかないため、取り組みの対象になりえない。

【ステップ3】ボトルネックの把握と 解決策の策定

⑨競合他社、市場、自社の状況を踏まえて、

当該ビジネスを実現する時期を定める 当該ビジネスに関して言えば、

4 ビジネス創出に向けた検討のステップとタスクリーダー

タスク

プロセス M T P

M:マーケター T:テクノロジートランスレーター P:プロモーター

※○は各タスクのタスクリーダーを指す

※基本的には、いずれの検討もMTP全員が参加して行う

関連プレーヤーを巻き込んだ事業推進 当該技術の特性をもとに、エンド

ユーザーの利用シーンに結びつく機 能的特性を明らかにする

エンドユーザーが「該当技術を用い た製品・サービス」を利用するシー ンを描き、エンドユーザーを含めた 5Pがどのような付加価値を得られ るのかを明らかにする

自社の「新技術を用いた製品・サー ビス」以外に必要な「補完製品・サー ビス」を明らかにする

ビジネスを構成する「製品・サービ ス」群それぞれに求められる技術水 準を明らかにする

「当該新技術を用いた製品・サービ ス、補完製品・サービス」の価値を エンドユーザーに届ける仲介者を明 らかにする

新規ビジネスが代替する既存ビジネ スのエコシステムを描き、両ビジネ スで共通するプレーヤー、異なるプ レーヤーを明らかにする

各仲介者にエコシステムへの参加を 促す必要性・重要度を見える化する

新ビジネスが各仲介者に与えるメ リット・デメリットを、既存ビジネ スと比較しつつ明らかにする

競合他社、市場、自社の状況を踏ま えて、当該ビジネスを実現する時期 を定める

補完製品・サービス提供者の現状の 技術水準を明らかにし、ビジネス実 現の目標時期までに開発可能かどう かを評価する

自社リソースと強みを加味したうえ で、自らの事業範囲を規定する ボトルネック解消のため、自社リ ソースにより可能な支援を検討す る。必要な協業の枠組みや資金を明 らかにする

投資対効果の算出と事業性判断を踏 まえ、ボトルネック解消のアクショ ンプランを策定する

ステップ1

ステップ2

ステップ3

タスクリーダー

実行 ステップ

関連したドキュメント