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36 発 達 心 理 学 研 究 第 5 巻 第 1 号
によるl要因分散分析を行い,干渉の有無を確認した。
その後で,干渉条件の反応時間とコントロール条件の反 応時間の差を干渉量として,反応言語(日本語英語)×学 年(大学生,中学生)×単語(仮名単語,漢字単語,英語 単語)の3要因分散分析を行い,干渉量の違いを比較し た。なお,干渉量の比較を行うのは,各条件で生じる干 渉の大きさの違いを比較するためである。
ストループ課題における干渉の有無
大学生反応言語が日本語の場合,単語が仮名単語[F(1, 23)=159.95p<,001],単語が漢字単語[F(1,23)=153.66
p<、001],単語が英語単語[F(1,23)二38.55p<、001]の
時に,ストループ要因(干渉条件,コントロール条件)につ いての主効果が有意であり,すべての干渉語の場合にスト ループ干渉効果がみとめられた。また,反応言語が英語の 場合にも,単語が仮名単語[F(1,23)=67.28p<、001],単 語が漢字単語[F(1,23)=52.57p<,001],単語が英語単 語[F(1,23)二135.92p<、001]の課題で,ストループ要 因についての主効果が有意であり,すべての課題でスト ループ干渉効果がみとめられた。中学生反応言語が日本語の場合,単語が仮名単語[F(1, 17)=28.82p<,001],単語が漢字単語[F(1,17)二53.07
p<、001],単語が英語単語[F(1,17)=23.21p<、001]の
課題で,ストループ要因についての主効果が有意であり,すべての課題でストループ干渉効果がみとめられた。ま た反応言語が英語の場合,単語が仮名単語[F(1,17)二13.52
p<,01],単語が漢字単語[F(1,17)=38.20p<、001],単
語が英語単語[F(1,17)二30.13p<、001]の課題で,ス トループ要因についての主効果が有意であり,すべての 課題でストループ干渉効果がみとめられた。ストループ課題における干渉量の比較
干渉量について,学年(大学生,中学生)×反応言語(日 本語,英語)×単語(仮名単語,漢字単語,英語単語)の 3要因分散分析を行った結果,主効果については,学年 [F(1,40)二8.14p<,01],反応言語[F(1,40)=8.26p
〈、01],単語[F(2,80)=4.47p<、05]のすべてで有意で
あった。学年の主効果については,大学生より中学生で,また,反応言語については,英語より日本語で干渉量が 多いことがわかった。また,単語の主効果について多重 比較(以下,すべての多重比較はRyan,smethodを用い,
有意水準は5%に設定した)を行ったところ,仮名単語 と漢字単語の生じる干渉量の間と,漢字単語と英語単語 の生じる干渉量の間に差はないものの,英語単語より仮 名単語の方が干渉量が多いことがわかった。交互作用は,
学年×単語[F(2,80)=8.13p<、001],反応言語×単語
[F(2,80)=44.68p<,001]と学年×反応言語×単語[F
(2,80)=4.61p<、05]で有意であった。
学年×単語の交互作用について単純主効果の検定を行っ たところ,大学生では単語の主効果はみられなかったの
に対し,中学生では,単語の主効果[F(2,80)二12.28
p<,001]がみとめられた。そこで,中学生の結果におけ
る単語の要因について多重比較を行ったところ,仮名単 語と英語単語間,漢字単語と英語単語間に差がみとめら れ,日本語単語(仮名単語,漢字単語)の方が英語単語 より,生じる干渉量が多いことがわかった。また,反応言語×単語の交互作用について単純主効果 の検定を行ったところ,反応言語が日本語の場合の単語 の主効果[F(2,160)=30.87p<、001]も,反応言語が英 語の場合の単語の主効果[F(2,160)二6.89p<、005]も 有意であった。そこで,多重比較を行ったところ,反応 言語が日本語の場合,仮名単語と英語単語間,漢字単語 と英語単語間に差がみられ,英語単語より,日本語単語 (仮名単語,漢字単語)の方が生じる干渉量が多いことが わかった。また,反応言語が英語の場合,仮名単語と英 語単語間,漢字単語と英語単語間に差がみられ,日本語 単語(仮名単語,漢字単語)より英語単語の方が,生じ る干渉量が多いことがわかった。
ここで最も重要なのは,学年×反応言語×単語の交互 作用についての分析である。単純・単純主効果の検定の 結果,大学生が日本語で反応する場合には,単語の主効 果がみられないのに対し,英語で反応する場合には単語 の主効果[F(2,160)=6.23p<,005]が有意であった。
一方,中学生が日本語で反応する場合には,単語の主効 果[F(2,160)二41.08p<、001]が有意であるのに対し,
英語で反応する場合には,単語の主効果は有意ではなかっ た。多重比較の結果,大学生が英語で反応する場合には,
仮名単語と英語単語間,漢字単語と英語単語間に差がみ られ,日本語単語(仮名単語,漢字単語)より,英語単 語の方が生じる干渉量が多いことがわかった。また,中 学生が日本語で反応する場合には,仮名単語と英語単語 間,漢字単語と英語単語間に差がみられ,英語単語より,
日本語単語(仮名単語,漢字単語)の方が生じる干渉量 が多いことがわかった。
本研究の第1の目的と第3の目的の一部に関わる,以 上のストループ課題における干渉量の結果をまとめると,
以下のようになる。大学生が日本語で反応する場合には,
予想に反して,仮名単語,漢字単語,英語単語の生じる 干渉量に差はなく,言語内ストループ効果と言語間スト ループ効果に差はみられなかった。一方,大学生が英語 で反応する場合には,日本語単語(仮名単語,漢字単語)
より,英語単語の方が干渉量が多く,言語内ストループ 効果の方が言語間ストループ効果より大きいという予想 通りの結果が得られた。また,中学生が日本語で反応す る場合には,英語単語より,日本語単語(仮名単語,漢 字単語)の方が干渉量が多く,予想通り言語内ストルー プ効果の方が言語間ストループ効果より大きいという結 果が得られた。それに対し,英語で反応する場合には予
英語一日本語間で生じる言語内・言語間ストループ効果の検討:大学生と中学生の比較 37
想に反して,仮名単語,漢字単語,英語単語の生じる干 渉量に差はなく,言語内ストループ効果と言語間ストルー プ効果に差はみられなかった。
③逆ストループ課題における干渉の有無と干渉量 分析方法逆ストループ課題については,ストループ課 題と異なり,3つの単語条件に対応する3種のコントロー ルカード(仮名単語カード,漢字単語カード,英語単語 カード)に対する反応時間が測定された。そこで,反応 言語別に,学年(大学生,中学生)×単語(仮名単語,漢 字単語,英語単語)×ストループ(干渉条件,コントロー ル条件)の3要因分散分析を行い,干渉の有無と干渉量 の比較を行った。
日本語で反応する場合学年の主効果[F(1,40)二35.76 p<、001],単語の主効果[F(2,80)=264.08p<、001],ス
トループの主効果[F(1,40)二48.48p<、001],学年×単 語の交互作用[F(2,80)二29.82p<、001],単語×ストルー プの交互作用[F(2,80)二20.04p<、001]が有意であっ た。学年の主効果が有意であったことから,大学生より 中学生の反応時間の方が長いことがわかった。また,単 語の主効果について多重比較を行ったところ,すべての 条件間に有意差がみられ,仮名単語,漢字単語,英語単 語の順に反応時間が長くなることがわかった。また,学 年×単語の交互作用について単純主効果の検定を行った ところ,仮名単語条件においてのみ学年の主効果がみと められず,学年の主効果については,漢字単語条件[F(1, 120)=4.23p<、05]と英語単語条件[F(1,120)二93.24 p<、001]で有意であった。つまり,漢字単語条件と英語 単語条件では,大学生より中学生の方が反応時間が長い ことがわかった。また,単語×ストループの交互作用に ついて単純主効果の検定を行ったところ,仮名単語条件 だけ,ストループの主効果がみられず,ストループの主 効果は,漢字単語条件[F(1,120)二43.78p<、001]と英 語単語条件[F(1,120)=51.61p<、001]でみとめられ,こ の2条件で,逆ストループ効果がみとめられたことになる。
本研究の第2の目的と第3の目的の一部に関わる,以上 の結果をまとめると,大学生も中学生も日本語で反応する 場合,漢字単語の場合に,仮名単語でみとめられなかった 言語内逆ストループ効果がみとめられ,英語単語の場合も,
予想された大学生だけでなく中学生においても,言語間逆 ストループ効果がみとめられたことになる。
英語で反応する場合
学年の主効果[F(1,40)二54.52p<、001],単語の主効 果[F(2,80)=155.73p<、001],ストループの主効果
[F(1,40)=46.61p<,001],単語×ストループの交互作
用[F(2,80)=17.05p<,001]が有意であった。学年の 主効果が有意であったことから,大学生より中学生の反 応時間の方が長いことがわかった。また,単語の主効果について多重比較を行ったところ,すべての条件間に有 意差がみられ,英語単語,漢字単語,仮名単語の順に反 応時間が長くなることがわかった。また,単語×ストルー プの交互作用について単純主効果の検定を行ったところ,
英語単語の場合だけストループの主効果がみられず,ス トループの主効果は,仮名単語条件[F(1,120)二53.10
p<、001]と漢字単語条件[F(1,120)二40.58p<、001]で
みとめられ,この2条件で逆ストループ効果がみとめら れたことになる。本研究の第2の目的と第3の目的の一部に関わる,以 上の結果をまとめると,日本語で反応する場合,予想さ れた大学生だけでなく,中学生においても,仮名単語条 件と漢字単語条件で,同様に言語間逆ストループ効果が みとめられ,英語単語条件では予想通り,大学生,中学 生ともに,言語内逆ストループ効果がみとめられなかっ たことになる。
考 察
以下,本研究の第1の目的であるストループ効果の検 討と,第2の目的である逆ストループ効果の検討につい て,順次考察を行う。なお,第3の目的である,ストルー プ効果と逆ストループ効果にみられる,仮名単語と漢字 単語の処理の違いの検討については,ストループ効果の 検討と逆ストループ効果の検討の中で,それぞれ考察を 行った。
まず,本研究の第1の目的である,言語内・言語間ス トループ効果の結果についての考察を行う。大学生の被 験者は,単語を無視して色の命名を行うストループ課題 において,反応が日本語の場合は,予想に反して,日本 語単語(仮名単語,漢字単語)からの干渉と英語単語か らの干渉の大きさに差はなかったが,反応が英語の場合 は,予想通り,英語単語からの干渉の方が,日本語単語 (仮名単語,漢字単語)からの干渉より大きかった。つま り,反応言語が日本語の場合には,言語内ストループ効 果と言語間ストループ効果に差はなかったが,反応言語 が英語の場合には,反応言語と干渉言語が同じ場合に干 渉が大きく,言語内ストループ効果の方が言語間ストルー プ効果より大きいという結果が得られたのである。
このうち,日本語で反応する場合,予想に反して,日 本語単語と英語単語からの干渉量に差がみられなかった
という結果は,Miigiste(1984)の研究でもみられた結果 である。つまり,母語である日本語で反応する場合,大 学生では,同じ日本語である仮名単語や漢字単語と同様 に第2言語である英語単語からの干渉がみとめられたの である。Chen,&Ho(1986)は,長年第2言語である英 語を学習している大学生であっても,母語である中国語 で反応する場合,英語より中国語単語からの干渉が大き いという結果を得ている。それに対しM且giste(1984)は,