第 15 章
15.4 高次モデルの低次元化と同定精度改善
15.1節で述べた方法は観測ノイズがなく,システム次数が既知の場合には正確な 同定結果を与える.しかし,実際には観測値はノイズを含み,また,システムの次 数は既知でない.そこで,適当に高次の同定次数high nを決め,その高次モデルに 赤池情報量基準(AIC)を適用して,留数・固有値の組み合わせでAICを最小にす
るlow nを決定して,その結果を実際の低次近似モデルとするという方法が提案さ
れている[15.6].簡単にいえば,ノイズを含んだ波形を高次の形で指数解析法によ
り同定し,その結果からノイズに対応する指数近似部分を除いてシステム次数を決 めようという考え方である.
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15.4.1
高次の同定次数hi gh n上述したように,高次同定次数high nを適当に決めて低次モデル導出計算を行っ ても,それなりの結果は導出できる.しかし,それで必ずしもよい結果が得られる とは限らない.なぜなら,低次モデルを導くために必要な高次モデルの次数の決定 はシステムに加わるノイズの影響も同時によく表現している指数モデルの次数を決 定することにほかならないからである.ここでは一つの方法としてIAEによる決定 法を示す.いま,同定された留数・固有値より再現される出力をy(t)ˆ とし,実際の 観測値をy(t)として,
IAE= 1 N
N
k=1
y(kT)−y(kT)ˆ (15.32)
と定義する.上式において,Tはサンプリング時間,Nは同定に用いるデータ点数 を表す.これを用い,次式によりhigh nを決定する.ただし,nはモデル伝達関数 次数であり,適当に大きく選んだある範囲で変化させるものとする.
high n=
n: min
n
1 N
N
k=1
y(kT)−yˆn(kT)
(15.33)
このように,あらかじめ事前に評価を行ってhigh nを,観測値を範囲内ではもっと もよく再現する高次モデルの次数とする.計算量は多くなるが,このようにして高 次次数を決定したほうが,適当に高次次数を決めるよりは,次項で述べる低次モデ ルの導出手法を用いた場合の結果に関し,よい低次モデル近似が得られるといわれ ている[15.7].
15.4.2
低次モデルの導出プローニー法では,同定する前にあらかじめ指数減衰項の数,すなわち,制御対 象を伝達関数で表記した場合の次数を指定しておかねばならない.しかし,事前に もっとも適切な次数に関する情報を得ることは通常困難である.そこで,15.4.1項 で述べたように,測定値にノイズが混入することも見越して,高次のモデルで同定 しておき,低次モデルが必要な場合には,その高次の伝達関数の低次元化を図る手 法を考える.
以下では,伝達関数の低次次数決定の指針として赤池情報量基準(AIC)を用い る方法について述べる.AICとは,最尤推定法を用いて,統計的モデルの適切さの 基準を示すものである[15.8].文献[15.6]では,プローニー法におけるモデル次数 の指標決定に適用可能な具体的な式(AIC評価式)として次式が提案されている.
Γ =α
NTlog
&&&gi−g&&&2 NT&&&g&&&2
+4ni
+β
Nωlog
&&&Gi−G&&&2 Nω&&&G&&&2
+4ni