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3.4 物質中の電界と磁場

3.4.6 静磁場の境界条件

物質中の静電界の境界条件を求めた方法と同様にして、

H⃗1(⃗r)·⃗t=H⃗2(⃗r)·⃗t (3.47) B⃗1(⃗r)·⃗n=B⃗2(⃗r)·⃗n (3.48) が得られる。

問題3.4.10

問題4で温度300 Kにおける電気感受率の大きさの程度を見積もった。

同様にして、磁性体の磁気感受率率µを求め、真空の透磁率µ0との比を求 めよ。ただし、分子の磁気双極子モーメントを8.0×1024 A·m2、分子間 隔を0.5 nmとする。

=====解答=====

磁束密度B(単位はT)中の磁気モーメントµ(単位はAm2=JT1)のも つエネルギーはにµBである。従って、

2(0.5×109)3(8×1024)2

1.38×1023 300 µ0= 3.1×104 問題3.4.11

薄い平面板を面に垂直に一様に磁化した板磁石がある。単位体積当たりの 磁化の大きさはM である。板内部と外部における磁界と磁束密度を求めよ。

ただし、対称性から板に対して平行な成分はゼロになることも説明せよ。

————–

この問題は以下のように理解することができる。仮想的に磁荷(単極磁石)

を考えると、この問題はキャパシターにおける電荷を磁荷に置き換えたもの と同じである。コンデンサーの外部に電界は存在しないのと同じように、今 の問題では板磁石の外には磁界は存在しない。

=====解答=====

B⃗ =µ0(H⃗ +M⃗)である。もしも、B⃗ に板に並行な成分が存在すると、M⃗ も水平方向の成分を持つ必要がある。しかしながら、これは仮定に反する。

したがって、垂直方向の成分のみを考察すれば良い。

板磁石の内部ではBin =µ0(Hin+M)、外部ではBout =µ0Hout であ る。また、境界条件はBin=Boutで、この値をBとする。

Hout = 1 µ0

BHin= 1 µ0

B−M が得られる。他に磁石は存在しないの でB = 0すると、

Hout= 0 Hin=−M が得られる。

問題3.4.12

一様な磁化ベクトルM⃗(単位体積あたり)を持つ棒磁石を2本用意する。

一つの磁石のN極ともう一方のS極を十分近づけた時、法線方向の磁束密 度は連続であるので、隙間に生じる磁束密度B⃗ =µ0M⃗ となる。

1. 磁極の面積をSとして、磁極間に働く力を求めよ。

=====解答=====

1. 磁石の間の空間に蓄えられている磁場のエネルギーU(x)は、xを磁 石間の距離として、

U(x) = 1 2µ0B2Sx

となる。これをxで偏微分すれば、力F を求めることができる。し たがって、

F =−∂

∂xU(x)

= 1 2µ0

B2S

となる。

問題3.4.13

ある原子の磁気双極子モーメントは9.5×1024 JT1 で、密度は3× 1028 m3であった。すべての原子の磁気双極子モーメントが揃っている場 合、この物質の磁化ベクトルはいくらになるか?

=====解答=====

µ09.5×1024×3×1028= 3.6×101 単位は[T](Wb/m2)である。

問題3.4.14

完全反磁性体の内部では、磁束密度はゼロである。このことと磁束に関す る境界条件を考慮して、一様な磁界中に置かれた球形の完全反磁性体周辺の 磁束密度の様子を図示せよ。

=====解答=====

球に垂直な磁束密度成分は存在しないことに注意して図を描くこと。

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