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離村世帯の離村後の生活

ドキュメント内 はしがき明治 (ページ 43-65)

1 .   離村後の世帯員の就業状態と職業・職場への適応

(1)就業状態

さて,いわゆる挙家離村した大長谷の離村世帯の転住地における生活はどうであろうか。先の八 尾町内,婦中町,大沢野町,富山市へ転出した64戸の世帯についての追跡調査に基づいて,それら の世帯の離村後の生活の実情や世帯員の生活意識について次に取りあげてみたいと思う。

それで,それらの世帯の離村後の生活を知る上で先ず取り上げられねばならないのは,離村世帯 員の現在の就業状態であろう。すでに離村前の就業状態を検討した 153人の世帯員について,現在 の就業状態をみると第 4-1 表の通りである〈次頁参照〉。これと先の第 3-16表と比較するとわか るように,就業状態には当然大きな変化が認められる。即ち,離村前においては,兼業も含めて農 業従事者が庄倒的多数を占めていたのが,離村後は農業従事者は 2.6% に激減して,それに代って 増加してきたのは無職の38.6%,労務職(工員・運転手等)の 24.2% であり,また,離村前に農業 従事者に次いで多数を占めていた林業・土建業等の日雇〈兼業も含めて)もやはり 10%余りの割合 を示している。労務職は男子の 50歳代以下の年齢層で多数を占めているが,無職は主婦業への専念 が増加した女子と離村後仕事から身を引いていわば楽隠居の身になった高齢層が殆んどである。 日 雇は在村当時は農業との兼業で従事するものが多数を占めていたが,離村後はそのような兼業は 2 名 (1.3%)に激減して,日雇だけに従事するものが増加している。各種の日雇,臨時雇,用務員等 は性別・年齢別にみると,男女ともに40歳代以上の年齢層のものに集中している。その他,離村後 目立って増加してきたものは,男子では,商工・建設・サーピス業〈自営)と男子の若年齢層を中 心に大工・左官の従事者であり,女子では販売・サービス従事(各種店員,売子〉と内職従事者で ある。

このように離村世帯員 153名について,離村前と離村後を比較してみると,非常に大きな就業状 態の変化が認められるのであるが, なかでも,労務職,大工・左官,服売・サーピス業等への新 たなる就業が彼らの生活の安定を支えるものであるかどうか, また,各種の日雇等の従事者がやは り 10%余を占めていることからもわかるように,離村によって安定した雇用機会が本当に獲得され ることになったかどうか,更には,特に,老人層や婦人を中心に無職が増大してきているが,それ が新しい環境のもとでの本当の意味での安定した「楽隠居J や「主婦の座」につながるものになっ ているかどうか疑問が残るところである。

(2)職業・職場への適応

就業状態とも関連して, これらの離村世帯員は現在従事している仕事あるいは職業に十分満足し ているのであろうか, この追跡調査の対象になった離村世帯員に対して, 「現在している仕事ある いは職業に満足しているか」どうかを尋ね, 「非常に満足」 「まあ満足」 「少しは不満」 「非常に 不満J 「どちらともいえなし、J の以上 5 段階の回答のうち 1 つを選択してもらった結果を表に示す

~ 斗露店〉lE 岸壁 ρきが〉ロ霊長組問隷主誠 δ除部(占印δN

離村世帯員の現在の就業状態 農

翼翼

林専事管商l

販売従 事 警

林業雇 日 主i鶴:~·

そ無メ口工ピ +の・ス

.

. 林業雇 日

技務

望建業

. 葉

術左

.

員 業土業職職軍基

.

職他職計 才 20

~

29 1 1 1 9 12  男30

~

39 1 1 8 1 11  40

~

49 1 1 1 1 8 3 2 1 18  50

~

59 2 10 7 19  60

~

4 1 1 17 23  lロ>.. 計1 1 1 1 5 1 27 13 13 1 1 1 17 

(lC~~O)

(1.2) (1.2](1.2) (1.2) (6.0) (1.2) (32.5) (15.7](15.7) (1.2) (1.2) (1.2](20.5)  才 20

~

29 女30

~

39 1 4 1 4 10  40

~

49 2 2 5 1 3 8 21  50

~

59 1 1 2 1 8 13  60

~

2 1 1 22 26  i日言十2 1 5 10 1 4 5 42 70  (2.9) (1.4) (7.1) (14.3) (1.4) (5.7) (7.1) (60.0) (100.0)  才 1  却~291 1 9 12  iロ30

~

39 1 2 12 1 1 4 21  40

~

49 2 1 1 1 1 2 13 3 3 3 1 8 39  50

~

59 1 2 11 7 2 1 8 32  計60

~

2 4 2 2 39 49  J口'" 計2 2 1 1 1 5 6 

c~ '.2)

13 14 5 6 1 59 153  (1.3) (1.3) (0.7) (0.7) (0.7) (3.3) (3.9) (8.5) (9.2) (3.3) (3.9) (0. 7) (38.6) (100.0) 

第4-1表

作戦品lN 州為〉副qd,品四割。れ斗HRHNVF業露令抽綿醜M白川書位決AUEδNVhい~HEnNnd汁 MOH 「持品切 議回」~いτ34VGHZb-N決什特鳴門や蝉~H

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北陸の一山村社会における人口流出と挙家離村者の生活(その 2) ‑187‑

ると,八尾,婦中・大沢野に比較して,富山の方に「不満」をもつものが多く(20%) ' 「どちら ともいえな L 、」を合わせると 30% にも及び,その反面一応「満足J とするものが他地区より低率を 示している点が注目される。

第 4 ー 2 表 現在の仕事あるいは職業に満足しているか

まあ満足|川吋捕に不満

いえない なし・答 メ日為 5十

男 1  11  3  1  3  19 

1  2  1  10  14 

計 2 (6.1] 13(39.4)  4 (12.1)  1 (3.0)  13(39.4)  33(100.0) 

男 7  1  2  2  12 

婦大沢野 中

計 8(53.3)  1 (6. 7] 2 (13.3)  4(26.7] 15(1仰 O)

男 1  7  3  1  2  14 

1  1  4  6 

言十 1 (5.0)  7(35.0)  4 (20.0)  2 (10.0)  6(30.0)  20(100.0) 

男子合計| 2印州

(15. 的| 7(15. 的|

45(100.0) 

女子合計|

2 (8. 7)1 

附9的|

23(100.0) 

2ト29才 2(66.7)  1(33.3)  3(100.0) 

年 30

~

39 6(54.5)  2 (18.2] 3(27.3)  11(100.0) 

齢 40

~

49 2 (10.5)  10(52.6)  3 (15.8)  2 (10.5] 2(10.5)  19(100.0]

50

~

59 1 (5.6)  7(38.9)  4 (22.2)  1(5.6)  1 (5. 6)  4(22.2)  18(100.0) 

)Jij  60

~

3(17.6)  1叫~ 17(100.0) 

合計 3 (4.4)  28(41.2)  9(13.2)  1(1.5)  4 (5.9] 23(33.8  68(100.0) 

尚,先年の利賀村の離村者の調査では無職と無答が約30% になったが, 「非常に満足j が 10%近 くを占め, 「まあ満足j と合わせると 51%余りと半ばを越えており,大長谷の場合には,この比率 を 6% も下まわったことになり,その反面「不満J を示すものが数パーセントであるが利賀を上ま わることになった。また,転出先別では利賀の場合にも富山・高岡への転出者の聞に「不満J の割 合が他地域に比べて高く,大長谷の場合と類似の傾向を示している。

次に,職業・仕事にも関連して,勤め先のあるものに対して,職場の人間関係や雰囲気について の満足度を尋ね,先と同様に 5 段階に分けて回答を求めた結果を表に示すと第 4-3 表の通りであ る(次頁参照〉。「勤め先なし」が約 43% も占めることになったが, 「まあ満足」が約34%, 「非 常に満足J (10.3% )を合わせると,一応「満足」とするものが約 44% となる O このような比率を

「勤め先なし」の29名を除いて計算してみると, 「まあ満足」が59%, 「非常に満足」が17.9%, 合わせて 76.9% にも及び, 「少し不満」 「どちらともいえなしづは 23% にすぎず,圧倒的多数のも のが一応満足を示していることになる。

また,離村世帯員の就業状態とも関連して収入に対する満足度をみると第 4-4 表の通りであ る。但しこの場合は個人個人の収入ではなくて,「現在のお宅の収入には満足しているか」と尋ね,

先の場合同様 5 段階に分けて回答を求めたものである。 これによると,全体的には「非常に満足J

-188 一 北陸の一山村社会における人口流出と挙家離村者の生活(その 2)

第 4-3 表 職場の人間関係や雰囲気に満足しているか

非常に満足

まあ満足|川不満

非常に不満いえない

ドちらとも|

勤め先なし i日' 言十

男 2  7  4  1  5  19 

1  1  12  14 

言十 3 (9.1)  8(24.2)  4 (12.1] 1 (3.0)  17(51. 5)  33(100.0) 

男 2  6  1  3  12 

婦大沢野 中

計 2 (13.3)  7(46.7)  1 (6. 7)  5(33.3] 15(100.0) 

男 2  8  1  3  14 

2  4  6 

計 2 (10.0)  8(40.0)  2 (10.0)  1 (5.0] 7(35.0)  20(100.0) 

男子合計|

(13. 3) 

制6 刊

(11.1)1  2 (4.4)1  11(24.4)1  45(100.0) 

女子合計|

(8. 司 ぽ78.3)1

23(100.0) 

20~ 29才 1 (33.3)  1 (33.3)  1(33.3)  3(100.0)  年 30~39 2 (18.2)  3(27.3] 2 (18.2)  4(36.4)  11(100.0)  齢 40~49 2 (10.5)  11(57.9] 1 (5.3)  5(2渇 .3〕 19(100.0)  50~59 3 (16. 7] 6(33.3)  3 (16. 7)  1 (5.6)  5 (5.6)  18(100.0)  Jjlj  60~ 3(17.6)  14(82.4)  17(100.0)  合計 7 (10.3)  お(33.8) 7 (10. 3] 2 (2.9)  29(42.6)  68(100.0) 

第 4-4 表 現在のお宅の収入には満足しているか

|昨満足|まあ満足 I &Ui不満|昨不満 I ~~~~も|合

男 1  11  3  2  2  19 

2  6  3  1  2  14 

計 3 (9.1)  17(51. 5)  6 (18.2)  3 (9.1] 4 (12.1)  33(100.0) 

男 2  8  1  1  12 

婦大沢野中

計 2 (13.3)  11(73.3] 1 (6. 7)  1 (6. 7)  15(100.0) 

男 9  5  14 

5  1  6 

計 14(70.0)  6 (30.0)  20(100.0]

男子合計| お(62.の|

45(100.0) 

女子合計| 附o刊

(17.4]| 23(100.0) 

20~29才 1(33.3] 2 (66. 7] 3(100.0)  年 30~39 2 (18.2)  4(36.4] 4 (36.4)  1 (9.1)  11(100.0)  齢 40~49 3 (15.8] 13(68.4] 1 (5. 3)  2 (10. 5)  19(100.0)  50~ 59 12(66.7)  4 (22.2] 1 (5.6)  1 (5.6)  18(100.0)  別 60~ 12(70.6)  2 (11.8)  3(17.6)  17(100.0)  合計 5 (7.4)  42(61.8)  13 (19.1)  3 (4.4)  5 (7.4)  68(100.0) 

北陸のー山村社会における人口流出と挙家離村者の生活〈その 2) -189 ー

は 7.4% であるが, 「まあ満足J が 61.8% と半ばを大きく越えており,前者を合わせると 69%余り と 7 割近くのものが一応満足を示している。それに対して, 「非常に不満」は僅か 4.4%であるが,

「少し不満j は 19.1%を示し,それに「どちらともいえないj を加えると,結局, 「満足J を示さ なかったものは約 31% となる。これは男女別には殆んど差が見られず,強いていえば,男の方に

「少し不満j がやや多く, 「非常に満足J よりも「まあ満足J が多いといえようか。年齢別では若 い年齢層ほど「不満j を示す割合が多くなっており,転出先別では,富山が他地域に比べて, 「不 満」を示すものが多いことが認められる。但し先年の利賀村の転出者の場合には,そのような年齢 別あるいは転出先別の傾向は指摘できなかったし,全体的にも,積極的ないし消極的に「満足J を 示したものは51%余りで, 「不満J を示したものに「どちらともいえない」を合わせると半ば近く にも及んでトいた。その点からすると大長谷の離村者の場合が,収入への満足度が利賀の場合よりか なり高いことになる。

2 .   離村世帯の家族構成と住宅事情

さて,大長谷から各地域へ挙家離村した世帯はどのような家族構成をなしているであろうか。先 ず,離村世帯に「お宅の家族は何人か」を尋ねた結果から表示すると第 4-5 表の通りである。

今, 1 世帯当りの平均世帯員数を出してみると 5.06人となる。この数字は第 2 章で述べた,大長谷 の昭和38年の 1 世帯平均員数の 6.24人にはとても及ばないが, 50年末の住民票によって算出した 4.1人より多くなっているし, 50年国勢調査結果による大長谷の 1 戸平均世帯員数 3.4人は勿論,八 尾町全体の4.2人よりも多くなっている。転出地区別に 1 戸平均世帯員数を計算してみると,八尾が 最も多く 5.5人,次が婦中・大沢野で 4.9人,富山が最も低くて 4.6人となる。

第 4-5 表 お宅の家族は何人か

1 人|

10上

メ日>. 

尾 2 (6.9)  7(24.1)  5(17.2)  9(31.0) 3 (10.3) 3 (10.3] 29(100.0) 

大婦沢野 中

4(26.7)  2(13.3) 3(却.O) 3(20.0) 3 (加.o) 15(100.0) 

3 (15.0)  4(20.0)  1 (5.0)  5(25.0)  4(20.0) 3 (15.0)  釦( 100.0)

メ日斗 計 3 (4. 7) 

附5.6)110(15.6)

13(却.3)16(25.0) 9 (14.1) 3 (4. 7)  64(100.0) 

また,上の表をみると,今日の大長谷のような単身世帯は皆無で、, 2 人世帯は 3 戸, 4.7% にす ぎず,世帯人員の 4 人以下のいわば小世帯は全体の 35.9%を示し,第 2 章でみたような今日の大長 谷の56.6% よりも20%以上も低率である。それに対して, 7 人以上のいわば大世帯は 18.8%で,今 日の大長谷の16.4% よりもやはり高い比率になっているし, 5 人以上の世帯の割合を出すと 64.1%

と,大長谷の43%余りより 10%以上も高い割合を示している。

次に,離村世帯の人員の量的な構成から一歩踏み込んで,世帯の質的構成,即ち家族構成別の世 帯数をみると第 4-6 表にみる如くである。 これによると, 夫婦のみの世帯は 3 戸, 4.7%,典型 的な核家族をなしている夫婦と未婚の子供の世帯が 16戸, 25%,それに核家族の欠損形態ともいう

ドキュメント内 はしがき明治 (ページ 43-65)

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