第 4 章 考察
4.1 熱履歴による微視組織と機械特性への影響
4.1.4 集合組織による機械特性への影響
本研究で使った SLM材は先行研究の造形パラメータが改良した後のもの である.造形パラメータが改良した後,SLM材の集合組織も<001>から<101>
に変わった.Sinhaらの研究[27]により,単軸室温引張試験において,<001>方 位の結晶粒は損傷および破損が蓄積しやすいが、<101>方位の結晶粒は双晶 化によるひずみ硬化に寄与し得る.したがって、先行研究から本研究へのBD に沿った<001>から<101>への集合組織の変化は、本研究SLM材延性が改善 された理由であると推測される.参考文献[28][29][30][31][32]によれば、双晶は、
荷重方向に沿って高いテイラー因子を有する結晶粒内(例えば、<111>方位 の結晶粒)に発生しやすい.一方、低いテイラー因子を有する結晶粒内(例
えば、<001>方位の結晶粒)にでは、双子はほとんど見られない.テイラー
因子は多結晶の降伏応力と臨界分解せん断応力の比率を評価することがで きる[15].高いテイラー因子を有する結晶粒は、大きな軸方向応力を塑性変形 させることを必要とし、そしてより大きな転位増殖および蓄積をもたらし、
これは双晶形成に必要である[29][30][31][32].
本研究の強度と延性両方が先行研究に使った SLM試作材より顕著上昇し た.特に0deg材の延性は先行研究の0deg材の1.8 倍である.それで,両方 の0deg材を例として,EBSDデータからHKL CHANNEL 5ソフトウェアを 使用して極点図とテイラー因子分布を計算した[34].結果をそれぞれ図4.8と 図4.9に示す.SLM試作0deg材のテイラー因子分布は主に2.3と2.6の間に あり、荷重方向にそって<001>集合組織と一致した.SLM 0deg材のテイラー 因子分布は、3を超えるテイラー係数を有する結晶粒が多くになり,荷重方 向に沿って<101>粒子集合組織とよく一致する.高いテイラー因子のため、
塑性双晶は引張試験中にSLM 0deg材に形成しやすいと考えられている.
室温引張試験の後、SLM試作0deg材とSLM 0deg材の両方に対してEBSD 分析を実施した.図4.10は、ステップサイズを0.1μmを使って,両方破断位 置から約1mmで得られたEBSDの結果を示す.予想通りSLM 0deg材の双 晶が多く観察された.塑性双晶は、材料の延性において重要な役割を果たす.
成長している双晶境界は、変形中の転位に対する障害として効果的に働くこ とができ、したがって転位の平均自由行程を減少させ、その結果、いわゆる
「動的Hall-Petch効果」[32][35][36][37].この動的Hall-Petch効果は、材料のひず み硬化能力を促進し、ネッキングの開始を遅らせ、優れた延性をもたらす.
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図4.8 SLM SUS316L 0deg材のテイラー因子
SLM 試作材 0deg
SLM 0deg
図4.9 SLM SUS316L 0deg材の正極点図 -0.5
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
2.2 2.4 2.6 2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8
Frequency(%)
Taylor factor
SLM 0deg SLM試作材0deg
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SLM試作0deg SLM 0deg材
(a)
50μm 50μm
(b)
50μm 50μm
図4.10 SLM SUS316L 0deg材のEBSD解析: (a) バンドコントラストマップ, (b) 逆極点図
図4.11 SLM SUS316L 0deg材の加工硬化曲線 0
500 1000 1500 2000
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
Hardeningrate,(MPa)
True strain
SLM 0deg SLM試作材0deg
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