方べきの定理(Pが円周の外にあるとき)
弦ABと弦CDが,円の中のPで交わっているとき
A B
C D P
• △PAD
∽
△PCBであり• PA·PB=PC·PDが成り立つ(方べきの定理).
【暗 記 41:方べきの定理〜その2〜】
上の定理を証明せよ.
【解答】 △PADと△PCBについて,∠Pは共通,円周角の定理より∠PAD= ◀△PAC ∽ △PDB を 示 し て も 良 い.この場合,四角形ABCDが 円に内接することを用いる.
∠PCBであるので,2角が等しいから△PAD
∽
△PCBになる.よって,PA : PC=PD : PB⇔PA·PB=PC·PD ■
【例題42】 以下の図において,太線の長さを求めよ.
1.
5 4
20
2.
10 17
6
3. 2
9 3
4.
20 7
21
5.
16 4
5
6.
12 15 28
【解答】 いずれも,求める長さをxとおく.
1. 4·204=5xより,x=16. 2. 17·63=105xより,x= 51 5 . 3. 3·9=2xより,x= 27
2 . 4. 7·(20+7)=213xより,x=9. 5. (16+4)4·4=(x+5)·5 より,x=16−5=11.
6. 287·155=12 3 ·(x+12)より,x=35−12=23.
D. 円周外の点Pから,接線を引いたとき
方べきの定理(Pから接線を引いたとき)
接点がTである接線が,弦ABと点Pで交わっているとき
A B
T P
• △PAT
∽
△PTBであり• PA·PB=PT2が成り立つ(方べきの定理).
【暗 記 43:方べきの定理〜その3〜】
上の定理を証明せよ.
【解答】 △PATと△PTBについて,∠Pは共通,接弦定理より∠PAT=∠PTB であるので,2角が等しいから△PAT
∽
△PTBになる.よってPA : PT=PT : PB⇔PA·PB=PT2
—13th-note— 4.4 円の性質(2)· · ·
131
【練習44:接線を引いたときの方べきの定理】
以下の図において,太線の長さを求めよ.ただし,図の中の ・ は接点とする.
(1) 4
16
(2)
5 10
(3)
10
12
【解答】 求める長さをxとする.
(1) 16·4=x2より,x= √ 64=8 (2) 5·x=102より,x=20
(3) x(x+10)=122⇔ x2+10x−144=0. これを解いてx=8,−18なので,x =8.
方べきの定理においては,一方の点・ の・
みが円周上にあることに注意しよう.
【練習45:方べきの定理のまとめ】
以下の図において,xの長さを求めよ.ただし,図の中の ・ は接
8 3
4 P A
B C
D 点か円の中心とする. E
(1) CPの長さを求めよ.
(2) 図中の相似な三角形を2組答え,それぞれの相似比も答えよ.
(3) DE=5とするとき,BCの長さを求めよ.
【解答】
(1) 方べきの定理より8·3=4·CPなので,CP=6 (2) △PAD
∽
△PCB,相似比はPD : PB=6 : 3=2 : 1△EAB
∽
△ECD,相似比はAB : CD=6 : 3=11 : 10 (3) BC=xとおく.△EAB
∽
△ECD,DE=5よりBE=5× 11 10 = 112
△PAD
∽
△PCB,BC=xよりAD=2xよって,方べきの定理より ◀【別解】EA : EC=11 : 10より (5+2x) :
(11 2 +x
)
=11 : 10 これを解いてx= 7
6.
5·(5+2x)= 11 2 ·
(11 2 +x
)
⇔ 20(5+2x)=11(11+2x)
⇔ 100+40x=121+22x
⇔ 18x=21 ∴ x= 7 6
方べきの定理と,それを示すために用いた三角形の相似は,セットにして理解しよう.上の【練 習】のように,相似を使わないと解けない問題も存在する.
【発 展 46:総合問題】
円C1とC2が2点A,Bと交わっている.直線AB上のうち,線
C1
C2
A
B P 分AB上にPを,線分ABの外にQをとる. Q
1 Pを通り,直線ABとは異なる直線lを引き,lと円C1の2 交点をD,Eとし,lと円C2の2交点をF,Gとする.この とき,PD·PE=PF·PGを示せ.
2 Qを通り円C1 と2点K,Lで交わる直線m1を引き,Qを 通り円C2と2点M,Nで交わる直線m2を引く.このとき,
K,L,M,Nは同一円周上にあることを示せ.ただし,直線 AB,m1,m2はすべて異なる直線とする.
【解答】
1 円C1について方べきの定理を用いるとPA·PB=PD·PE, ◀
C1
C2
A
B D P
E
F G
円C2について方べきの定理を用いるとPA·PB=PF·PG である.よって,PD·PE=PF·PGが示された.
2 K,L,M,Nを右図のようにとる. ◀
C1
C2
A
B Q
K L
M N 円C1について方べきの定理を用いるとQA·QB=QK·QL,
円C2について方べきの定理を用いるとQA·QB=QM·QN である.よって,QK·QL=QM·QNと分かり,
QK : QN=QM : QL · · · ⃝1 が成り立つ.
△QKMと△QNLについて,∠Qは共通,⃝1から2辺の比とその間の角
が等しいので,△QKM
∽
△QNLである.よって,∠QKM=∠QNLと ◀(別解)「方べきの定理の逆」が成り 立つ(13th-noteでは扱わない)こ とを用いれば,QK·QL=QM·QN から直接,K,L,M,Nが同一円 周上にあると導かれる.なるから,四角形KLNMについて,∠Nは向かい合う角の外角に等し いので円に内接する.
—13th-note— 4.4 円の性質(2)· · ·