第 2 章 地盤変形および隆起抑制に関する既往の研究
2.5 隆起抑制に関する既往の研究
本節では,隆起抑制に関する既往の研究として,繰返し圧入に関するもの 3 例挙げる.
新坂ら 24) は,室内実験において模型地盤に円筒膨張杭状体を設置し,上載圧をかけたう えで,円筒膨張杭状体に段階載荷および繰返し載荷をそれぞれ行い,地盤の締固めの比較 および考察を行った.図-2.13 に,載荷方法の例 25)を示す.段階載荷は,30 秒ごとに 10 kPaずつ圧力を増加させ,繰返し載荷では,3秒の加圧の後,30秒間,圧力を 0 kPaまで戻 すというサイクルを繰返して行い,加圧時の圧力増分は 10kPaで行った.
その結果,図-2.1426) に示すように,繰返し載荷の方が,段階載荷のものよりも地盤の 圧縮量が大きくなることを明らかにした.
図-2.13 載荷方法の例25)
図-2.14 圧入量と地盤の圧縮量の関係 26) の 抜 粋
原田ら 27) は,図-2.15に示す,中型の土槽を使用し,繰返し圧入効果の再現性および隆 起抑制効果について検証した.実験は,①標準ケースとして一度に所定圧入量を圧入する ケース(標準),②一定量圧送毎にポンプを一定時間(3 min/回)停止させるケース(停止),
③一定量圧送毎に一定時間(15 sec/回)ポンプを逆運転させるケース(リバース),④一定 量圧送毎圧入管を 10 cmずつ引上げるケースの 4ケースで行った.
その結果,図-2.16 に示すように,繰返し圧入を行った全てのケースにおいて,相対隆 起量が標準のケースよりも小さくなることを明らかにした.さらに,標準と比較して,リ バースのケースでは,平均圧入速度をあまり減少させることなく,半分程度の隆起量にす ることを明らかにした.
図-2.15 中型土槽の概略図 28)
図-2.16 平均圧入速度と相対隆起量の関係 29)
飯川ら 30) は,注入管の貫入・引き上げを繰返しながら圧入していく,アップダウン (UD) 施工による繰返し効果の研究を実施した.その結果,図-2.1731)に示すように,隆起が,
UD 圧入では,モルタル圧入中は通常圧入と同様に隆起が発生しているが,アップダウン 時に沈下していることを明らかにした.また,アップダウンの回数が多きものほど,沈下 量が大きくなることを明らかにした.
図-2.17 圧入 1本当りの地点隆起量の経時変化31)
以上の通り,地盤の隆起抑制に関する既往の研究を 3例まとめた.これより,膨張圧の 載荷・除荷による繰返し圧入や,注入管の貫入・引き上げを繰返す施工法が,地盤の締固 め効果を高め,隆起を抑制することが分かった.