(1) 日本語普及に関する大学院教育への参画,連携,協力
53.政策研究大学院大学,国際交流基金日本語国際センターとの連携・協力状況
○日本語教育に関する大学院教育への連携参画 担当(大学院運営委員会)
研究員:甲斐睦朗(委員長 ,木村直,近藤二郎,相澤正夫,杉戸清樹,熊谷康雄,) 加藤安彦,石井恵理子,横山詔一
前川喜久雄(制度検討部会 ,熊谷智子,柳澤好昭(修士課程部会)) 金田智子(博士課程部会)
講義・修了論文等指導担当(上記のほかに)
山崎誠,當眞千賀子,井上優,杉本明子,宇佐美洋,小河原義朗,植木正裕
(所外 :連携機関である政策研究大学院大学 国際交流基金日本語国際センターの教官) , ,
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及び 日本語教育指導者養成プログラム運営審議会 委員 外部有識者9名 政策研究大学院大学(以下,政研大と略す)及び国際交流基金日本語国際センターと研 究所の3機関が連携して,海外の日本語教育において指導的役割を果たす人材を養成する ための大学院課程を運営する。
海外における日本語教育を充実させるためには,それぞれの国や地域において,直接日 本語を介して日本関連の情報を正確に理解し活用しうる人材を擁した日本語教育の拠点を 整備すること,とりわけ,その拠点の活動を運営し発展させるための指導的な役割を担う 人材を育成し配置することが必要となる。こうした人材は,換言すれば,各国の日本語教 育機関において指導的立場に立ちうる高度な知識と能力を備えた日本語教員や,日本語教 育施策の企画・推進にあたるための知見や能力を備えた実務者である。
本事業で研究所の連携参画する「日本語教育指導者養成プログラム」(修士課程),「日 本言語文化研究プログラム (博士課程)は,こうした人材を養成しようとするものであ」 る。
経過
(1) 運営関係
平成13年度に改組・設置した所内の大学院運営委員会に,平成14年度から修士課程部会 と博士課程部会を設け,それぞれの課程の連携運営に参画する体制を整備した。具体的な 担当者は上記を参照。
委員会では,本大学院課程の連携運営にかかる重要事項の所内協議を継続した。
各部会の部会員(各3名)は,3機関の協議の場としての各「プログラム委員会」の委員 として,カリキュラムの策定・運営等に参加した。
また,連携3機関に対する助言・指導を行う機関として「日本語教育指導者養成プログ ラム運営審議会」を外部有識者により構成し,大学院運営に関する助言・指導を受けた。
委員は次の9名の方々である(敬称略 。)
有馬龍夫(外務省日本国政府代表 ,海老沢勝二(日本放送協会会長)) イシュトヴァン=セルゲイ(駐日ハンガリー大使館 特命全権大使)
小林敬治(日本芸術文化振興会理事 ,富岡賢治(日本国際教育協会理事長)) 鈴木孝夫(慶應義塾大学名誉教授 ,水谷修(名古屋外国語大学学長))
梅田博之(麗澤大学 副学長 ,宮地裕(大阪大学) 名誉教授)
(2) 前期修士課程の運営
平成13年度13年10月に受け入れた修士課程第1期生(8名)の講義・演習・修了論文等 作成指導を継続した結果,14年9月に全員が修士学位を取得して課程を修了した。
第2期生として,27名の応募者からの入試選抜を経た9名を14年10月に受け入れ,講義・
演習・修了論文等作成指導を継続している。9名の出身国は,モンゴル・ベトナム・キュ ーバ・マレーシア・ブラジル・ウズベキスタン・カザフスタン・ハンガリーの8か国であ る。平成15年9月に修了予定である。
これらの指導には,研究所員延べ15名が,政研大の非常勤講師(委員の場合,連携教授 の名称を付与される)として当たった。
(3) 後期博士課程の開始準備
3機関の従来の協議においては,後期博士課程は平成14年10月から設置し院生の受け入 れを開始することを目指すこととされていた。
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平成14年度前半はこれに向けて カリキュラム構成の策定 担当教官候補者の資格審査 院生の募集選抜などを行って,それぞれ結論を得た。このうち担当教官候補者には,所員 9名が審査を経て連携教授,客員教授・同助教授として辞令を受け,課程開設に備えた。
また,第1期院生としては,20名の応募者から書類審査・筆記試験・面接試験等を経て1名
(中国の大学現職教官)を,平成15年3月までに選抜決定している。
しかしながら 上記のような準備作業のほか 後期博士課程開始のために必要な財源 公, , ( 的奨学金枠等)の確保をはじめとする受け入れ体制の確立に時日を要したため,結果的に は,実際の院生受け入れを平成15年10月に延期することとした。
今後の展望
前期修士課程については,平成15年度以降も大学院生の受け入れと研究指導を継続して いく。研究指導の内容充実,指導領域の拡大,院生の出身国の拡大などを着実に実現する とともに,修了した院生が帰国して母国の日本語教育のために行う活動と国語研究所はじ め連携機関の研究事業との継続的なつながりを持続するための具体策を実現することなど に引き続き努力したい。
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後期博士課程については 平成15年度秋からの本格開始を実現するために 制度 資金 カリキュラム内容,人的体制などの諸面において周到な準備を進めることが課題である。
○博士課程実施に際しての準備体制の整備
連携参画する大学院教育「日本語教育指導者養成プログラム 「日本言語文化研究プロ」 グラム」における指導・研究に資するための教材等を開発することが目的である。
波及効果としては,当該の大学院修了生(外国籍)が将来母国で日本語教育・日本語研 究に携わる際のより良好な教育・研究環境として利用できる教材等を提供することにもつ ながり,ひいては,海外の日本語教育・日本語研究の環境・情報源の向上にも資すること が期待される。14年度単年度予算として認められた運営費交付金による。
具体的には,①学習研究環境としての発声発語訓練システムの導入とマニュアル作成,
②海外の日本語入出力が困難な計算機環境でも日本語辞典等を利用できるソフトウエア開 発,③音声・会話の教育研究及び語彙・文字の教育研究のための各種情報(コンテンツ)
を搭載したCD教材の作成を目的とした。これらの作成・開発は,日本語教育研究部門・情
報資料部門において進める他の研究事業と関連させながら進めた。
担当
研究員:杉戸清樹,柳澤好昭,横山詔一,植木正裕 非常勤研究員:エリク=ロング
成果物
以下の3種類の教材等を作成(導入・開発を含む)した。
(1) 学習研究環境としての発声発語訓練システムの導入とマニュアルの作成 システム:パナソニック社開発の「発声発語訓練システム」
機能:マイクを通した自然発話の音声について,母音スペクトル情報,強度(イン テンシティ ,高低(ピッチ ,声帯振動(有声・無声 ,舌位置,呼気流,) ) ) 破裂性などの分析情報を,パソコン画面に視覚的に提示する。使用者は,目 標とする発音に向かって自らの発音を逐次的に修正しながら訓練することが 可能となる。
このシステムは,もともと構音障害者の発声発語訓練用に開発されたものであるが,外 国語音声の発声発語の訓練にも有効であることにより,今回導入して大学院生の日本語学 習・研究用に利用する道を開こうとした。単に個別の発声発語学習に利用できるだけでな く,そのシステムに入力された音声はデータとして蓄積できるので,日本語非母語話者で ある大学院生や海外の学習者(院生の母国での指導対象者)の日本語音声データを収集す るためにも有効である。これらのデータは,各国の日本語学習者の音声学習やその教育研 究用の基礎情報として活用できる。
(2) 海外の日本語入出力が困難な計算機環境でも日本語辞典等を利用できるソフトウエア 開発
日本語辞書( 大辞林 『デイリーコンサイス英和・和英辞典 )の情報を,海外の日本『 』 』 語入出力機能のないパソコン環境に提供できるソフトウエアとシステムの開発である。
機能:インターネットに接続された端末でWebブラウザを起動し,本システムが稼 働するサイトに接続することにより利用できる。日本語入力環境にない海外 の学習者が,検索したい辞書見出し語をローマ字表記で入力すると,検索サ ーバーが対象辞書から当該の情報を文字配信サーバーに送り,その情報が日 本語文字画像として使用者ブラウザに送られる。
海外の日本語教師・学習者,研究者にとっては日本語辞書に対する需要が大きいが,開 発途上国においては印刷媒体の辞書を入手することが困難であり,またパソコン環境も直 接的な日本語入出力が不可能な場合が多い。本システムは,そのような困難を解消して,
求める日本語辞書を海外で容易に利用できる道を開くものである。連携大学院の院生の多 くはODA対象国出身者であり,滞日研究及び帰国後の教育活動等の場で,本システムの有 効利用が期待できる。
(3) 音声・会話の教育研究及び語彙・文字の教育研究のための各種情報を搭載したCD教材 の作成
大学院生が音声・会話,語彙・文字について学習したり研究したりする際に必要となる 各種情報を搭載したCD(4種)を作成することが目的である。作成したCDを単に利用する だけでなく,院生が各自の母国における日本語教育の場で,その実情に即して同種の教育