が多い。本研究はこのような先行研究とは別の着眼点、すなわち履歴保存の重要性を中心に 知識創造支援を考えた。IdeaCrepeによって実装された履歴レイヤー構造は、機能拡張によっ て先行研究の様々なツールに応用することができると考えられる。
第 6 章 結論
本研究ではまず、ネットワーク図へのレイヤー構造の導入を提案し、その数学的定義を行っ た。その定義を元に、レイヤー構造ネットワークを扱うツール“NeL2”を開発し、評価実験を 行った。
従来のスナップショットを保存していく手法とは異なり、NeL2は時系列におけるネットワー クの差分をレイヤーという単位で管理することで変化や差分の可視化に重点を置いている。ま た、自然な操作でユーザの意図した表示を得ることができる。レイヤー構造ネットワーク図 により、従来はわかりにくかった特定の時期のネットワークにおける傾向や進化の過程など、
様々な情報が把握できるようになった。
次に、このレイヤー構造ネットワークを知識創造支援ツールに応用し、“IdeaCrepe”を実装 した。本ツールは様々な知識創造支援活動を支援する汎用的なツールであり、レイヤー構造 によってイベントの履歴を保存している。この履歴を参照することで過去の発想過程を思い 出すことができ、新しいアイデアを生み出す力になると考えられる。
今後の研究としては、評価実験で明らかになった問題を解決するためにグラフそのものを
「レイヤー」と分かるような形で描画されるように改良を加える予定である。また、スライ ダーを使った操作に代えてレイヤーそのものをピックアップしたりドラッグするといった操作 体系を導入するために研究を継続している。将来的にはレイヤー単位だけではなく注目ノー ドに関連するデータを色づけしたり、レイアウトの方法を多様化するなど、さらに多くの機 能を実装していくことを計画している。また、より客観的な評価を行うことで本システムの 特性や利点をより明らかにしていくことも必要であると考えられる。
さらに、現在の整形されたオブジェクト生成ではなく、フリーハンドでより自然な入力を サポートすることにより、ユーザの発想をさらに自然に引き出すことが可能になると考えら れる。
謝辞
本論文を執筆するに当たり、指導教員である田中二郎先生、三末和男先生をはじめ、志築 文太郎先生、高橋伸先生には、丁寧なご指導と適切な助言を多数いただきました。心より感 謝申し上げます。
また、IPLAB(田中研究室)の皆様にもゼミなどを通じて大変貴重なご意見をいただきまし
た。特にNAISグループの皆様にはグルーブでのミーティングだけでなく、日常的に多くのご 意見やご指摘を頂きました。ありがとうございました。
最後に、物心両面に渡って遠く福岡から私を支えてくれた両親・家族、様々な面で力になっ てくれた多くの友人たちに、心より感謝いたします。
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