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3.2.1 Google Street View

全周囲自由視点映像という点では、Googleのストリートビューを挙げること ができる。Googleストリートビューの主たる成果は、PC等様々な環境下におい て、ある場所において得られるであろう視覚体験や建築物等の形状の確認であっ て、それゆえ画像品質を重要な問題としてはいない。Google street viewはある対 象に対するパノラマ静止画像を得ることが主なアプローチと判断される。例えば

Google street viewでは撮影地点と次の撮影地点の間を移動するとき、オーバー

ラップのようなエフェクトが採用されており、2地点間をドリー撮影した場合の ような連続的映像は供給されない[16, 17]。

3.2.2 Toppan 3DVR

トッパン3DVRとは凸版印刷株式会社が提供している3DCGによる映像コ ンテンツである[18]。現存する建物の図面や3次元計測データ、デジタルスチル カメラを用いて取得した色彩情報を用い、専門家による監修を受けて3Dモデル

が作成される。作成された3Dモデルを元に4Kの高品質な映像をレンダリング することができる。

このアプローチが抱える最大の問題はモデリングやコンテンツの作成に要する 膨大な作業量である。自動化を推し進めても、4Kクラスの鑑賞に堪えうるクオ リティの超高精細な映像を作るには、3Dモデルの作成に手作業を要し、コンテ ンツとして仕上げる段階においても芸術・学術的判断に基づく膨大な修正が必要 となる。修復および復元を仮想化することを強く意識しているので、コンセプト とは合致しているといえる。

3.2.3 e-Monument

e-Monumentとは東京大学池内研究室が推進する大型有形文化財のデジタル化

プロジェクトである[19]。2003年からカンボジアにおいてバイヨン寺院のデジタ ル化への取組みが始まった。様々な距離センサーを用いて距離画像データを取得、

得られたデータを統合処理し、3次元のデジタルデータへと加工する。保存・修復、

解析、展示等の応用が考えられている。得られたデータは3次元の形状データで あり、例えば映像を獲得するには、モデリングやレンダリングといった3DCG 製作の諸行程を経る必要がある。

3.2.4 Bullet time

バレットタイムまたはマシンガンカメラと呼ばれる撮影手法は時間が停止し、

カメラのみが動いているような独特の映像を得る手法である。複数のスチルカメ ラを並べて同時にシャッターを切ることで得られた複数の静止画を連続的に再生 することで映像にするというものである。1999年の映画“マトリックス”で一躍 脚光を浴びた手法だが、当該作品以外の使用例はさほど多くない。マトリックス の続編にあたる2004年の映画“マトリックスリローデッド”では、このバレット タイムの発展系にも見える、スーパースローカメラと独特の回り込むようなカメ ラワークを組み合わせたシーンがあるが、これはバレットタイムの応用ではなく 役者の身体に忠実に作られた3Dモデルを利用したCGである。

図 3.5 映画“マトリックス”におけるバレットタイム撮影のようす [20]

3.2.5 実写ビデオと VR を統合した映像ウォークスルーシステム

NTT情報通信研究所において実写ビデオと3DCGによるVR映像を組み合わ せた情報提供システムが1997年に開発された[21]。現実空間を撮影したビデオを 移動経路の交差点において分割・蓄積し、各交差点においてユーザーの意思に合 わせて取り出すことで映像ウォークスルーを実現するというものである。任意の タイミングでビデオとVR映像を切り替えることができ、VR空間をベースにビ デオをマッピングすることで直感的かつ容易なオーサリングが実現されている。

自由度が交差点において行き先を変更できるに留まり、ビデオ撮影であるために 画像品質に限界がある。

3.2.6 Aspen Moviemap

“Aspen Moviemap”は1978年マサチューセッツ工科大学にて開発が開始され た実写ベースのVRシステムである [22]。コロラド州の都市アスペンを自在に行 き来することができるVRで再現することが可能である。フッテージは距離計と 連動して10フィート毎に撮影するようセットされた16mmストップフレームカ メラを搭載した車輛を用いて収録された。再生システムは複数のレーザーディス

クプレイヤーとコンピューター、タッチスクリーンディスプレイを用いて構成さ れた。各交差点ごとに、撮影された画像を繋ぎ合わせて生成された映像を収めた レーザーディスクから、任意のものを選択、再生するという仕組みである。

これによってアスペンの都市内を自動車で自在に行き来するような映像体験を 実現しているが、自由度が交差点において行き先を変更できるに留まり、16mm フィルムを用いたワークフローのため画像品質も十分とは言えない。注目すべき 点として実写ベースであるために手作業での修正や3Dモデルの作成といったコ ストのかかる作業を回避しており、一定距離ごとの撮影を行ったことによって自 動車の速度の変化と無関係な、一定した視点移動の速度を実現している点を私的 することができる。

3.2.7 Lytro

Lytroは米Lytro社がリリースした一般向けのライトフィールドカメラである。

撮影時には特にピント合わせを意識することなく、撮影された画像を見ながら後 処理でピントを合わせることができるという特徴がある。ライトフィールドカメ ラとはイメージセンサーの前に、異なる焦点距離の小さなレンズから成るマイク ロレンズアレイを配し、一度の撮影で焦点が異なる画像を獲得、後処理によって 任意に焦点が異なる画像を取り出すカメラである。解像力や収差に問題があるも のの、三次元データの獲得、奥行きの計測、パンフォーカス画像の獲得など、様々 な応用が可能である。

図 3.6 Lytro [23]

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MAGICA の概要

MAGICAは4Kクラスの高品質映像をムービーカメラによる撮影を行わずに獲

得することを可能にするシステムである。ある空間おいてスチルカメラを用いた 連続撮影を行って空間をデータベース化しておき、デジタルデータならではの高 速ランダムアクセスによって十分なフレームレートで提示することによってある 空間においてパン等のカメラワークを行った場合に得られるであろう映像を再現 する能力をもつ。

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