(1)市町村児童虐待防止ネットワーク会議
子ども虐待への対応は、保健・福祉・医療・教育・警察等の関係機関や関係
者がネットワークを形成し、情報の共有や役割分担を行うことで、多角的かつ 一体的な取り組みが可能となります。
各機関や担当者は、それぞれの役割分担の責任を十分に果たし、ネットワーク
が有効に機能するように努めなけばなりません。
(2)要保護児童対策地域協議会
児童虐待防止対策等の充実強化のため児童福祉法の改正により、ネットワー ク会議を協議会として法的に位置づけたものです。
「代表者会議・実務者会議・個別支援会議・部会等」
(3)各機関の機能と役割
① 児童相談所児童相談所は、子どもや家庭について、あらゆる相談を受ける専門機関で す。法改正により、児童虐待の通告を市町村も受理するため、今後は、一時 保護や施設入所、専門的ケアが必要な事例等、対応困難な事例に役割が重点 化されていくと思われます。
また、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、立入調査の
権限があり、正当な理由なく拒んだり質問に答弁しない場合は、30万円以 下の罰金に処されます。
【 4 大 機 能 】
相 談 養護相談
虐待や子どもを育てられない等
保健相談
病気や発達、精神保健
障害相談
心身の障害、発達等
非行相談
犯罪行為、外泊等の不良行為
育成相談
家庭内暴力、引きこもり、しつけ
そ の 他 市町村援助
個別事例への専門的・技術的支援 ネットワークへの参画とバックアップ 市町村相互の連絡調整・情報提供等
一時保護
必要に応じて子どもを一時保護
(保護者の意志に反した保護も可能)
措 置
調査・判定による援助方針の決定 里親委託や施設入所(親子分離援助)
児童相談所での相談の流れ
受 付
・電話や来所による相談(児童相談員が受理)通告
・市町村からの送致 家庭裁判所からの送致等
面 接
・児童相談員や児童心理司が相談者や子どもと面接
調 査
・必要に応じ、家庭、親族、学校等の関係機関での 状況を調査
・緊急の安全確認のための立入調査
・一時保護による調査
診 断
社会診断
児童福祉司を
中心に子どもや 家庭の状況虐待 の状況や活用 できる社会資 源を調査
心理診断
児童心理司が
面接や心理検査 等を通じて子 どもの心理状 況を把握
行動診断
児童指導員や
保育士が一時 保護中の子ども の行動特徴を 把握
医療診断
医師による診 察・診断
援助の決定
受理後1か月以内(一時保護等緊急の場合を除く)
に、社会診断、心理診断の結果及びアセスメントシ ート等を元に援助方針会議を開催し方針を決定
援助の実施
・来所によるカウンセリングの相談
・児童福祉司や児童委員による継続した指導
・児童福祉施設への入所や里親への委託
・他機関への紹介や斡旋
② 市町村
市町村は、住民に最も身近な保健・福祉の相談窓口であり、子ども虐待対 応ネットワークの中核として、運営や総合的なケース進行管理等の役割が期 待されています。平成17年4月から、子ども虐待の通告受理機関となりま した。
【子どもや家庭に対する主な部署】
【市町村の育児支援事業の例】
育児支援家庭訪問事業
養育支援が必要でありながら、自ら支援を求めることが困難な状況にある家庭に、
過重な負担がかかる前の段階で家庭訪問による支援を実施し、家庭において安定し た児童の養育を可能とする。
児童福祉主管課(家庭児童相談室)
保育所や放課後児童クラブへの入 所手続き、児童手当、母子家庭等の 手当の申請窓口
福 祉 サ ー ビ ス や 子 育 て 支 援 サ ー ビ スを活用し、虐待防止と自立支援を 行う
母子保健主管課(保健センター)
妊産婦・新生児に関する様々な相談・訪問 指導、乳幼児健康診査・子育てに関する教室 等の実施。保健師は看護師資格も併せ持つ保 健医療の専門職で区域を担当して活動
母 子 保 健 活 動 を 通 じ て 虐 待 の 未 然 防 止 や専門性や訪問機能を生かし継続的支援
福祉事務所
生活保護、児童家庭、高齢者、障 害者等地域の福祉を図るための機関 生活保護、各種福祉手当、制度の 窓口、母子生活支援施設や助産施設 への入所決定権を持つ
教育委員会
(各市町村教育委員会)
③ 健康福祉センター
保健所と福祉事務所から成り立っている。
福祉事務所も、子ども虐待の通告受理機関。
【子どもや家庭に対する主な部署】
④ 警察
警察は、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び 捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たるこ と」を任務としています。
家庭内であっても、身体的虐待は「傷害罪」や「暴行罪」、性的虐待は「強 姦罪」や「強制わいせつ罪」、その生存に必要な保護をしないネグレクトは
「保護責任者遺棄罪」という犯罪になります。
また、警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予 防のために関係者に必要な警告を発したり、その行為を制止することができ、
被害者を救助するため、やむを得ないときは建物等に立ち入る権限を持って います。
さらに、子どもの家出、はいかいや迷子、万引き等の非行からも、虐待を発 見する場合があります。
虐待をはじめ、子どもや教職員の安全の確保のために、日頃から警察との連 携を図っていく必要があります。
⑤ 民生委員、児童委員、主任児童委員
家庭に最も近い存在であり、子どもや家庭の見守りや、保護者の身近な相談 者等として、また福祉手続きの支援においても重要な役割を期待されている 民生委員、児童委員、主任児童委員等とも連携を図っていく必要があります。
長期療養児等健康診断
将来、精神運動面の障害を将来し、 長期の療 養を余儀なくされる虞のある児童 に ついて、
医師、保健師、臨床心理士等が相談受理
女性の健康相談
女性が、身体的・精神的な悩みや不安を気 軽に相談できる医師による健康相談窓口
療育相談
障害のある児童の審査を行い、又は療育に 関する相談受理
DV相談(配偶者暴力支援センター)
専門相談員や婦人相談員がDV被害者等の 相談受理
必要に応じ女性サポートセンタ ー への一時 保護や裁判所への書類提出等の支援を実施
精神保健福祉相談
精神科医、精神保健福祉相談員、保健師等が 心の健康や精神科疾患に関する相談受理
必要に応じ訪問相談も実施
家庭児童相談室(福祉事務所)
社 会 福 祉 主 事 や 家 庭 相 談 員 が 子 ど も や 家 庭に関する各種相談を受理
⑥ 里親、児童福祉施設等
里親に委託され、または児童福祉施設等に入所して通園・通学している場合 はもちろん、異動先での支援が円滑に実施されるため、あるいは退所後に家 庭に戻ってくることを前提に、継続的に連携を図っていくことが望まれます。
Ⅶ 児童虐待とDV(ドメスティック・バイオレンス)
1 DVとは
「ドメスティック・バイオレンス」(略してDV)とは、「親密な関係にある、
又はあった配偶者や恋人から振るわれる暴力」という捉え方が一般的になっていま す。
身体的暴力に限らず、精神的、経済的、性的等、あらゆる形の暴力が含まれます。
暴力は、繰り返され、だんだんエスカレートする傾向があります。
こうした暴力は被害が深刻であるにもかかわらず、これまで、家庭内の問題、夫 婦間の問題と見過ごされてきましたが、どんな形であっても、暴力は相手の尊厳を 傷つける重大な人権侵害であり、犯罪となる行為です。このような状況を改善し、
人権擁護と男女平等の実現を図るため、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保 護に関する法律」が制定されました。
2 加害者と被害者の特徴
加害者加害者は、収入や地位、職業、学歴 に関係なく存在しています。
一見理知的な紳士でも、人当たりが 良く誠実そうでも、家庭の中では信じ ら れ な い 暴 力 を 振 る っ て い る こ と が あります。また、どこへ行くにも家族 と一緒で、子煩悩な父親に見えても、
実 際 は 単 に 妻 や 子 の 自 由 な 行 動 を 妨 げ 束 縛 し て い る だ け の 場 合 も あ る の です。
このような加害者は、理屈っぽく、
自己の暴力を否認し矮小化し、妻のせ いだと責任転嫁しますが、妻や子が家 を出ると不安になり、憤激し狂ったよ うに執拗に探し回ります。
被害者
暴力を受け続けている被害者は、肉体的にも精神的にも深く傷つき、感情が麻痺 したり、無力感、絶望感に打ちのめされています。
恐怖や世間体、あきらめや依存心等が、加害者から逃げることを妨げています。