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量子エネルギー材料科学国際研究センター

第1章 研究の現状と今後の計画(概要)

29. 量子エネルギー材料科学国際研究センター

センター長・教授(兼)

四竃 樹男

【構成員】

センター長・教授(兼):四竃 樹男/准教授:小無 健司、栗下 裕明/助手:鳴井 實(~2010.3)/助教:畠山 賢彦、

外山 健/技術職員:山崎 正徳、渡部 信/事務係長:本柳 知吉/事務職員:天野 卓也、伊藤 周/再雇用職員:

鈴木 吉光/技術補佐員[1 名]/研究支援推進員[1 名]/研究支援者 [3 名]/事務補佐員[6 名]

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准教授(アルファ放射体実験室・室長):佐藤伊佐務(~2010.3)/技術職員:白崎 謙次、千葉 友幸、高橋 三幸

【研究成果】

大学関連では国内唯一の大型試験研究炉利用施設、高レベル放射性同位元素(照射済み燃料、材料を 含む)取り扱い施設として、先進原子力材料開発を視野に入れつつ、1.材料研究のための原子炉利用高 度化、2.ナノ構造解析による照射効果基礎研究、3.アクチノイド元素関連の材料研究、を主要課題と して研究に取り組んできている。

原子炉利用高度化では、大型試験研究炉の国際ネットワーク化を視野に、欧州拠点との連携強化に 向け、ベルギー国原子力研究所(SCK/CEN)との研究協力計画(MICADO 計画)を進めており、すでに BR2 の特徴を活かした MICADO-I と MICADO-Ⅱ計画での軽水炉環境下および比較的低温での照射試験が終了 し、現在、MICADO-Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ計画が進行中である。国内原子炉については、平成23年度に日本原子 力研究開発機構(JAEA)の材料試験炉(JMTR)が再起動される予定であり、再開される照射試験の準 備を進めている。また、高速実験炉「常陽」の炉内補修へ協力し再起動への準備を進めている。

ナノ構造解析においては、核融合炉において重要な役割を担う、高融点金属(タングステン等)や 銅合金について材料開発を進めつつ、照射後構造解析を実施した。高融点金属については、核融合炉 ダイバータとして最も有望なタングステンを高熱負荷・プラズマ照射環境下で使用する場合の課題の 克服に取り組み、再結晶状態で室温延性を示し、水素プラズマ照射による耐表面損耗性に優れた W-1.1%TiCを開発した(Ref. 1)。銅合金(Cu-Cr-Zr)については、 熱時効下における析出物の化学組成と 構造を3次元アトムプローブ観察と陽電子消滅法により解析し、Crナノ析出物/マトリックスとの界 面における構造変化を評価した(Ref. 2)。また、軽水炉材料においては、原子炉圧力容器鋼モデル合金

であるFe-Cu合金中に熱時効で形成するCu析出物について、陽電子消滅法を用いたサブナノメートル

サイズからの寸法評価法を開発した(Ref. 3)。

金属水素化物中の水素は、原子炉の中で効率の良い中性子減速材として働くことより新たな可能性 をもった機能性材料として注目されている。文部科学省「原子力システム研究開発事業」の採択課題 として原子炉炉心で利用するための水素化物中性子吸収材の開発を平成 18 年度より開始し平成 20 年 度に終了した。本研究の成果は実用化に近い技術開発であると評価された(Ref.4)。その成果を文科省 より、国の高速炉開発プロジェクトに組み込める可能性の高い技術と評価され、更に平成 21 年度から 3年間の開発が認められた。

ア ク チ ノ イ ド 元 素 関 連 研 究 で は 、 研 究 基 盤 整 備 の 一 環 と し て 全 国 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク 整 備

(J-ACTINET)を進めている。本ネットワークにより外部の研究組織、設備をより有機的に結びつけた 研究展開が今後図れるものと期待している。平成 21 年度は JAEA と協力しアクチノイドのサマースク ールを開催した。原子力学会春の年会(平成 22 年度 3 月)において J-ACTINET の企画セッションを開 催し J-ACTINET 活動の周知に努めた。

平成21年度大洗原子力材料夏の学校を金研大洗センターで開催した。第7回目に当たる今回は、全 国の8大学から理工系大学院学生27名(留学生2名を含む)が参加した。なお、この教育は、経済 産業省の「平成21年度原子力人材育成プログラム」からの支援を一部得て実施された。

Ref. 1 H. Kurishita, S. Matsuo, H. Arakawa, T. Sakamoto, S. Kobayashi, K. Nakai, T. Takida, M.

Kato, M. Kawai, N. Yoshida Development of Re-crystallized W-1.1%TiC with Enhanced Room-temperature Ductility and Radiation Performance, J. Nucl. Mater. 398 (2010) 87-92.

Ref. 2 M. Hatakeyama, T. Toyama, J. Yang, Y. Nagai, M. Hasegawa, T. Ohkubo, M. Eldrup, B. N.

Singh, 3D-AP and positron annihilation study of precipitation behavior in Cu-Cr-Zr alloy, J. Nucl. Mater. 386-388 (2009), 852-855.

Ref. 3 T. Toyama, Y. Nagai, Z. Tang, K. Inoue, T. Chiba, M. Hasegawa, T. Ohkubo, K. Hono, A New Method for Size Estimation of Cu Nano-precipitates in Fe Based on Positron Quantum-dot Confinement, TETSU TO HAGANE, 95 (2009) 118-123.

Ref. 4 T. Iwasaki and K. Konashi, Development of Hydride Absorber for Fast Reactor -Application of Hafnium Hydride to Control Rod of Large Fast Reactor-, J. Nucl. Sci.

Technol., 46, 8 (2009)874-882.

【研究計画】

原子炉利用においては、原子炉国際ネットワークの構築とその中での特徴的な役割分担が重要とな る。この視点から、国際原子力機関(IAEA)などの国際機関との連携、各地域における拠点との連携強 化は重要であり、これまでに引き続き、欧州の拠点であるベルギー国原子力研究所(SCK/CEN)との研 究協力を推進する。この中で、原子炉高度利用、照射後試験の高度化を目指す。

ナノ構造解析においては、原子レベルの位置分解能を持つ3次元アトムプローブ、陽電子消滅法、

透過電子顕微鏡観察技術を用いて核融合炉、原子炉圧力容器(RPV)鋼の照射脆化機構を調べる。 特 に、照射下の点欠陥や、溶質原子の拡散の研究、及び結晶粒界、微小炭化物などのナノ組織観察・解 析を行う。また、「再結晶状態で靭性に優れるW-1.1%TiC」のスケールアップ技術を開発すると共に、

室温延性に及ぼす他の遷移金属炭化物添加の効果を明らかにする。バナジウムやバルク金属ガラスに ついて、原子炉での中性子照射試験とその耐照射性・照射効果の評価を実施する。

水素化物中性子吸収材の開発研究は、文部科学省の「原子力システム研究開発事業」の「水素化物 中性子吸収材を用いた革新的高速炉炉心の実用化研究開発」に課題採択され平成21年度から実用化 を目指した研究が始められている。この研究では、ハフニウム水素化物ペレットのスエリング等の照 射挙動を調べることを目的とした、ロシア連邦国立科学センター 原子炉科学研究所の高速炉 BOR-60 で照射試験を実施する。

アクチノイド元素関連の材料研究としては、高速増殖炉の燃料(アクチノイド酸化物燃料)の計算 科学的研究の妥当性を評価するために必要な、計算結果と直接比較できる実験データの取得を目指す。

この一環として、J-ACTINET の枠組みで、アクチノイド棟に文部科学省「原子力基礎基盤戦略研究イ ニシアテイブ」の資金のもとに、核燃料物性測定用高温 NMR を整備する。平成22年度は雰囲気調整 が可能な高温プローブを NMR に付加する。

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