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量子エネルギー材料科学国際研究センター

第1章 研究の現状と今後の計画(概要)

28. 量子エネルギー材料科学国際研究センター

センター長・教授(兼)

四竈 樹男

【構成員】

センター長・教授(兼):四竈 樹男/准教授:小無 健司、栗下 裕明/助手:鳴井 實/助教:畠山 賢彦、外山 健 技術職員:鈴木 吉光、山崎 正徳、渡部 信/事務係長:中村 彰/事務職員:天野 卓也、伊藤 周

技術補佐員[1 名]/研究支援推進員[1 名]/研究支援者 [2 名]/事務補佐員[7 名]

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准教授(アルファ放射体実験室・室長):佐藤伊佐務/技術職員:白崎 謙次/技術補佐員[1 名]

【研究成果】

大学関連では国内唯一の大型試験研究炉利用施設、高レベル放射性同位元素(照射済み燃料、材料を 含む)取り扱い施設として、先進原子力材料開発を視野に入れつつ、1.材料研究のための原子炉利用高 度化、2.ナノ構造解析による照射効果基礎研究、3.アクチノイド元素関連の材料研究、を主要課題と して研究に取り組んできている。

原子炉利用高度化では、大型試験研究炉の国際ネットワーク化を視野に、欧州拠点との連携強化に 向け、ベルギー国原子力研究所(SCK/CEN)との研究協力計画(MICADO 計画)を進めており、すでに BR2 の特徴を活かした MICADO-I と MICADO-Ⅱ計画での軽水炉環境下および比較的低温での照射が終了し、

現在、それらの照射後試験と MICADO-Ⅲ計画が進行中である。国内原子炉については JMTR の整備、JOYO の炉内補修への協力を通じて、原子炉再起動後への準備を進めている。

ナノ構造解析においては、核融合炉において重要な役割を担う、高融点金属(タングステン等)や 銅合金について材料開発を進めつつ、照射後構造解析を実施した。高融点金属については、すでに開 発した超微細粒W-TiC焼結体を、高熱負荷・プラズマ照射環境下で使用する場合の課題の克服に取り 組み、超塑性の活用により超微細粒W-TiC焼結体の高靭性化を達成した(Ref. 1)。銅合金(Cu-Cr-Zr)に ついては、熱時効下における析出物の化学組成と構造を3次元アトムプローブにより観察した(Ref. 2)。

微細なナノ析出物は Crであり、過時効で粗大化が進むと析出物/マトリックス界面にZr と不純物元 素からなる偏析層が形成されることを明らかにした。

金属水素化物中の水素は、原子炉の中で効率の良い中性子減速材として働くことより新たな可能性 をもった機能性材料として注目されている。文部科学省「原子力システム研究開発事業」の採択課題 として原子炉炉心で利用するための水素化物中性子吸収材の開発を平成 18 年度より開始し平成 20 年 度に終了した。本研究の成果は実用化に近い技術開発であると評価された(Ref.3)。この成果をもとに、

新たに3年間の発展型の研究を計画している。

アクチノイド元素関連の材料研究では、研究基盤整備の一環として全国研究ネットワーク整備を進 め、日本アクチノイドネットワークの事務局を本センターに設置した。本ネットワークにより外部の 研究組織、設備をより有機的に結びつけた研究展開が今後図れるものと期待している。平成 20 年度は

国内の研究者 54 名を集め J-ACTINET2008 を東北大学東京分室で開催した。また、本センターではこれ までの成果を基に、引き続きネプツニウムを中心とする物性研究を進めているが、今後アメリシウム、

プルトニウムにも研究を広げ 5f 電子系物性への幅広い理解を目指す。

一方、アクチノイド元素研究は実用的な観点からも重要な研究対象であり、次世代の原子炉として開 発が進む高速増殖炉実用化には不可欠な課題である。この高速増殖炉の燃料(アクチノイド酸化物)

の基礎物性研究を日本原子力研究開発機構と共同で実施している。平成 20 年度は第一原理計算結果に 基づいたフォノン解析をもとに PuO2-Pu2O3の状態図を評価した。

平成20年度大洗原子力材料夏の学校を金研大洗センターで開催した。第6回目に当たる今回は、全 国の大学から理工系大学院学生24名(留学生3名、女子1名を含む)が参加した。なお、この教育 は、経済産業省の「平成20年度原子力人材育成プログラム」の一環として実施された。

Ref. 1 H. Kurishita, S. Matuso, H. Arakawa, H. Hirai, J. Linke, M. Kawai, N. Yoshida Development of nanostructured W and Mo materials

Advanced Materials Research 59 (2009) 18-30.

Ref. 2 M. Hatakeyama, T. Toyama, Y. Nagai, M. Hasegawa, M. Eldrup and B.N. Singh Nanostructural evolution of Cr-rich precipitates in a Cu-Cr-Zr alloy during heat treatment studied by 3dimensitonal atom probe

Mater. Trans. 49 (2008) 518-521.

Ref. 3 K. Konashi et al., ‘Study on an innovative Fast Reactor utilizing Hydride Neutron Absorber’, Proc. of International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP2008), June.8-12 , 2008, Anaheim, USA.

【研究計画】

原子炉利用においては、原子炉国際ネットワークの構築とその中での特徴的な役割分担が重要とな る。この視点から、国際原子力機関(IAEA)などの国際機関との連携、各地域における拠点との連携強 化は重要であり、これまでに引き続き、欧州の拠点であるベルギー国原子力研究所(SCK/CEN)との研 究協力を推進する。この中で、原子炉高度利用、照射後試験の高度化を目指す。

ナノ構造解析においては、原子レベルの位置分解能を持つ3次元アトムプローブ、陽電子消滅法、

透過電子顕微鏡観技術を用いて核融合炉、原子炉圧力容器(RPV)鋼の照射脆化機構を調べる。 特 に、照射下の点欠陥や、溶質原子の拡散の研究、及び結晶粒界、微小炭化物などのナノ組織観察・解 析を行う。また、ごく最近試作に成功した「再結晶・粒成長組織をもつにもかかわらず室温延性を示

す微細粒 W-TiC」について、そのスケールアップを図ると共に、基本的な特性の評価を行う。また、

バナジウムやバルク金属ガラスについて、引き続き、原子炉での中性子照射試験とその耐照射性・照 射効果の評価を実施する。

水素化物中性子吸収材の開発研究は、文部科学省の「原子力システム研究開発事業」の採択課題と して3年間の研究を終了した。この成果をもとに実用化のための提案を行う。

アクチノイド元素関連の材料研究としては、5f 電子系物性の理解のためにネプツニウム、アメリシ ウム、プルトニウムの化合物の固体物性研究を継続する。また、高速増殖炉の燃料(アクチノイド酸 化物燃料)の計算科学的研究の妥当性を評価するために必要な、計算結果と直接比較できる実験デー タの取得を目指す。この一環として、日本アクチノイドネットワークの枠組みで、プルトニウム酸化 物の核磁気共鳴実験を日本原子力研究開発機構と協力して進める。

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