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-厚さ:0.6mm

-De:割れ目部拡散データより -Kd:拡散プロファイルより設定 Zone 3

マトリクス領域

De:マトリクス部の拡散データ Kd:マトリクス部の収着データ

vermiculite verm

biot

mus mus

(b)通液試験の解析結果(1層vs3層モデル)

(a) 3層モデルの概念とパラメータ設定

HDO Cs Se Ni Eu 破線:1層モデル(マトリクス)

実線:3層モデル

石や緑泥石等の割れ目充填鉱物を不均質に被覆した特徴を有する。このような特徴を有する岩石 中の多様な核種の原位置移行データに対して、これまでグリムゼル岩を対象に構築してきた室内 データから原位置条件へのスケーリング手法を含めた核種移行評価手法の適用を試みた。LTDE-SD 試験の対象割れ目の分析データ、原位置試験で取得された濃度プロファイルデータ等をもとに、

グリムゼル岩を対象に検討してきた表層近傍の擾乱影響を考慮した2層モデルを、エスポ岩のマト リクス及び割れ目表層に対して適用した。モデル概念としては、マトリクス部と割れ目部の表層 領域(5mmまで)において、間隙率と拡散係数、分配係数が徐々に低下していくこと、一方、5mm より深いマトリクス部では一定の特性を有することを仮定した(図2.4.2-5(b))。このモデル概 念に基づき、マトリクスと割れ目部の表層領域、マトリクス領域の核種移行パラメータを設定し、

トレーサー溶液中の核種の減衰曲線、マトリクス(Slim hole)及び割れ目部(Stub)中の核種濃 度プロファイルをGoldSimコードによって解析した。ここで、核種移行パラメータの設定にあたっ ては、LTDS-SDプロジェクトで実施された室内試験データをもとに、これまでグリムゼル岩で構築 してきた室内データから原位置パラメータを推定評価する手法(間隙率と実効拡散係数、粒径と 収着分配係数の関係性等)を適用した。同図(c)に示すように、原位置での表面近傍部とマトリク ス部の間隙率はClやNaの拡散プロファイルから評価し、グリムゼル岩で確認されているような陽 イオン加速あるいは陰イオン排除の傾向が確認された。多様なトレーサー核種を対象とした解析 の結果の例として、Raの減衰曲線を同図(d)に、割れ目部(Stub)の濃度プロファイルを同図(e) に示す。上記したモデル概念とパラメータ推定手法を一貫して多様な核種に適用することによっ て、一部の高収着性核種で実測との乖離があるものの、全体的な傾向性を概ね表現できることが 確認できた。これにより割れ目やマトリクス部の核種移行評価の概念モデルや室内試験データか ら原位置パラメータを推定評価する手法の有効性が確認できた。

図2.4.2-5 エスポにおける原位置トレーサー試験LTDE-SDの試験概念(a),解析モデル(b)及び 解析結果例(c,d,e)

4)性能評価への反映と今後の課題抽出

上記の海外の結晶質岩を対象に得られた成果の取りまとめの一環として、ここでは、マトリク ス部や割れ目部における不均質性の理解やその定量評価モデルの性能評価への反映方策を検討す るとともに、海外と日本の花崗岩の特徴の比較分析を通じ、わが国の花崗岩に対する評価手法の 適用可能性について検討した(平成29年度報告書)。

本プロジェクトでは、結晶質岩の核種移行評価において考慮すべき不均質性として、図 2.4.2-6(a)に示すように、マトリクス部の不均質性(図中①)、割れ目からマトリクスにかけて の不均質性(図中②)の核種移行への影響を把握し、その定量評価モデルを構築してきた。さら に、割れ目の開口や連続性の不均質性(図中③)についても、グリムゼルの割れ目岩を用いた室 内試験ではその影響を評価できなかったものの、幌延の泥岩の割れ目を対象とした室内試験にお いて、その影響評価手法を検討してきた。ここでは、このうちの②と③の不均質性に着目して、

それらを反映した核種移行解析手法を検討するとともに、それらの不均質性が核種移行解析に及 ぼす影響を評価した。解析は、均質場の核種移行モデルをレファレンスとし、同図(b)に示すよう な不均質場の核種移行モデルを設定した。具体的には、(1)グリムゼル岩の割れ目評価結果に基づ く、割れ目からマトリクスにかけての3層モデル、(2)割れ目開口部の不均質性(チャンネル構造)

に起因するFlow領域とStagnant領域を組合せた流れの不均質場モデル、(3)両者を組合せたモデル を設定し、GoldSimコードを用いて解析を実施した。同図(c)に示すように、割れ目からマトリク ス部の1層または3層モデル、Flow領域の割合を2/5または1/5とした条件、さらに割れ目中の地下 水流速条件を組合せた解析ケースを設定した。モデルサイズやパラメータは、上記2)で示したグ リムゼルの割れ目を対象とした室内試験体系をベースとして設定した。非収着性のトリチウム水

(HTO)、収着性のCsとNiを対象に解析を行ったが、ここでは割れ目中の地下水流速が遅いケース でのCsのフラックスの比較を同図(d)に例示する。flow領域が狭く割れ目内流速が大きいほどフラ ックスが大きくなる傾向(case1→2→3)が確認できる。一方、収着性のCsでは1層モデルに対し て3層モデルで、フラックスの立ち上がりに大幅な遅れが認められ、これは主に3層モデルにおけ る割れ目表層の収着分配係数の効果によるものと考えられる。核種の収着・拡散特性や地下水流 速などの条件によってその影響の程度は変わってくるものの、割れ目からマトリクスにかけての3 層モデル、割れ目開口部の不均質性に起因するFlow領域とStagnant領域を組合せた流れの不均質 場モデルのいずれも割れ目中の核種移行評価に大きく影響を及ぼすことが確認された。ここでの 評価は、室内試験の試料サイズや時間スケールをベースとして小規模・短期間を対象としたもの であるが、今後、より大きな体系へのアップスケーリング、性能評価の時間スケールまでの影響 評価を検討していく必要がある。

図2.4.2-6 不均質場の核種移行モデル(a,b)、解析ケース設定(c)、及びCsの解析結果の例(d)

本プロジェクトでは、結晶質岩を対象とした核種移行評価モデルの高度化と原位置までを含む 条件での適用性評価を目指して、スイスのグリムゼル岩(花崗閃緑岩)を主たる対象にモデルや 評価手法の開発を進め、スウェーデンのエスポ岩(花崗閃緑岩)やフィンランドのオンカロ岩(片 麻岩)を対象にその適用性を確認してきた。ここでは、本プロジェクトで取り組んできたマトリ クス部と割れ目部の不均質性等を考慮した評価手法の適当性の観点から、これらの海外の3つ岩石 の特徴や適用性評価の結果を整理・比較した。さらに、わが国の結晶質岩の代表例として瑞浪の 花崗岩の特徴を上記海外の岩石の特徴と対比させつつ、ここで開発してきた評価技術のわが国の 結晶質岩に対する適用可能性と課題を検討した(平成29年度報告書)。

最初にグリムゼル,エスポ,瑞浪の3つの岩石マトリクス部の特徴と、本プロジェクト等で検討 してきた核種移行モデルの特徴や適用性の要点を,図2.4.2-7(a)に示す。本プロジェクトで主た る対象としたグリムゼル岩において、陽イオン加速や陰イオン排除効果を確認するとともに、こ れらが黒雲母の含有率やその配向性等によって影響されることを明らかにし、その定量評価モデ ルを構築した(上記1))。さらに、同様の考え方がエスポ岩やオンカロ岩へ適用できるかについ て検討し、特に、エスポ岩については、多様な核種の原位置拡散データをもとに評価モデルの適 用性を確認した(上記3))。図2.4.2-7(b)には、既往の報告データを含めて、これら岩石マトリ クスに対して取得された中性、陰イオン、陽イオン化学種の実効拡散係数から評価される形状因 子(フォーメーションファクター:間隙率及び幾何学因子の積)の比較を示す。いずれの岩石に おいても、陽イオン加速と陰イオン排除の傾向性が明瞭に確認できる。同図中に示した数字は、

陽イオン加速と陰イオン排除の効果を定量化したものであり、陽イオン加速が黒雲母や緑泥石の 含有率や配向性によって影響されている可能性が確認できる。瑞浪の花崗岩の場合には、黒雲母 や緑泥石の含有率が相対的に低いために、陽イオン加速の効果も小さいものと考えられる。この ように黒雲母や緑泥石などの層状ケイ酸塩鉱物の含有率や配向性の理解が、花崗岩等マトリクス 中の核種移行モデルの構築において重要となることを確認できた。

Z1 Z2 Z3 Z4 Z5 Z6 Z7 Z8 Z9 Z10 Fast Slow

case1a(=ref) (全面, 1層) f f f f f f f f f f 3.7E-06 3.7E-07

case2a (2/5, 1層) s s s f f f f s s s 9.3E-06 9.3E-07

case3a (1/5, 1層) s s s s f f s s s s 1.9E-05 1.9E-06

case1b (全面, 3層) f f f f f f f f f f 3.7E-06 3.7E-07

case2b (2/5, 3層) s s s f f f f s s s 9.3E-06 9.3E-07

case3b (1/5, 3層) s s s s f f s s s s 1.9E-05 1.9E-06

f; flow, s; stagnant

ケースID モデル 亀裂部メッシュの番号 割れ目内流速 [m/s]

0E+0 1E‐9 2E‐9 3E‐9 4E‐9 5E‐9

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

フラックス[mol/hr]

時間[day]

case1a (=ref)

case2a case3a

case1b case2b case3b

② ③

Flow領域 変質部(粘土層)

Stagnant領域 割れ目部 変質部(雲母層)

マトリクス部

移流・拡散・分散

マトリクス中 の拡散・収着 (a)割れ目系で考慮すべき不均質性 (b)不均質場の核種移行モデル

(c)不均質モデル解析のケース設定

(d)不均質モデルの核種移行解析 結果:Csのフラックスの比較

(割れ目流速Slowの条件)

図2.4.2-7 グリムゼル、エスポ及び瑞浪の3つのマトリクス岩の特徴と核種移行モデルの適用性 (a),岩石中の実効拡散係数から評価される形状因子の比較(b)

一方で、3つの岩石の割れ目表面部(充填物や変質層)の特徴と、本プロジェクト等で検討して きた核種移行モデルの特徴や適用性の要点を図2.4.2-8(a)に整理した。本プロジェクトで主たる 対象としたグリムゼル岩において、割れ目表面に存在する不均質な鉱物分布層(配向した黒雲母 層、風化した高間隙率のバーミキュライト層)の存在を把握し、それらの層を収着・拡散特性を 考慮した3層モデルを構築し、その適用性を確認した。さらに、エスポ岩についても、その特徴は 異なるものの割れ目最表面の充填鉱物(緑泥石や方解石等)及び変質層を考慮したモデルの適用 性を、当該事業で検討した原位置トレーサー試験(LTDE-SDプロジェクト)の解釈を通じて確認し た。瑞浪の花崗岩の割れ目の特徴は、國丸ほか(2011)によって、やはり充填鉱物や変質層の存 在や特徴によって分類されている。このように分類された割れ目表面を含む試料及び割れ目表面 から離れた部分から採取されたマトリクス試料を対象に、陽イオン(Cs)と陰イオン(I)の実効拡散 係数が報告されており、ここではそれらのデータに基づき評価される形状因子を比較した(図 2.4.2-8(b))。同図中に示す数字は、それぞれの試料の陽イオンと陰イオンの形状因子の比をと ったものであるが、I割れ目タイプは値自体が他と比べて大きいものの、マトリクス部の比は1~2 の範囲の値を示すのに対し、割れ目表面部ではいずれの割れ目タイプでもその値が上昇している。

このことは、割れ目充填物や変質層に存在する緑泥石などの層状ケイ酸塩鉱物が特に陽イオンの 加速に寄与している可能性を示唆するものである。本事業でグリムゼル岩やエスポ岩で実施した ような鉱物や間隙の詳細分析を実施することによって、このようなメカニズムの解明や定量評価 モデルの構築が実現できると考えられ、そのような取り組みを通じて、わが国の岩石への適用性 を確認していく必要がある。

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