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 上記3の改正は、令和 2 年 4 月 1 日前に上記1

⑴④又は⑵⑦の継続適用届出書の提出があった場 合における上記1 ⑴⑥又は⑵⑨の納税猶予分の所 得税額に相当する所得税並びにその所得税に係る 利子税及び延滞税の徴収を目的とする国の権利の 時効については、従前どおりとされています(改 正法附則 7 )。

五 遺産分割等があった場合の修正申告の特例の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 遺産分割等があった場合の修正申告の特例

① 特例の内容

 相続の開始の日の属する年分の所得税につ き「相続又は贈与等により非居住者に有価証 券等が移転した場合の譲渡所得等の特例(所 法60の 3 。以下「贈与等時課税制度」といい ます。)」の適用を受けた居住者について生じ た遺産分割等の事由により、非居住者に移転 した相続又は遺贈に係る有価証券等又は未決 済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取 引に係る契約(以下「対象資産」といいま す。)が増加し、又は減少したことに基因し て、その居住者のその相続の開始の日の属す る年分の所得税の額に不足額がある等の修正 申告書の提出に係る事由が生じた場合には、

その相続人は、その遺産分割等の事由が生じ た日から 4 月以内に、その相続の開始の日の 属する年分の所得税についての修正申告書を 提出し、かつ、その期限内にその修正申告書 の提出により納付すべき税額を納付しなけれ ばならないこととされています(所法151の

6 ①)。

 この場合において、修正申告書の提出がな いときは、納税地の所轄税務署長は、その修 正申告書に記載すべきであった所得金額、所 得税の額その他の事項について更正を行うこ ととされています(所法151の 6 ②)。

(注) 上記の特例は、遺産分割等の事由が生じ たことにより、相続によって非居住者に移 転した譲渡益又は決済益が生じる対象資産 が増加した場合や、譲渡損失又は決済損失 が生じる対象資産が減少した場合に適用さ れます。

② 遺産分割等の事由の意義

 上記①の「遺産分割等の事由」とは、次に

掲げる事由をいうこととされていました(旧 所法151の 6 ①各号、旧所令273の 2 )。

イ 相続又は遺贈に係る対象資産について民 法(第904条の 2 (寄与分)を除きます。)

の規定による相続分又は包括遺贈の割合に 従って非居住者に移転があったものとして 贈与等時課税制度(所法60の 3 ①~③)の 適用がされていた場合において、その後そ の対象資産の分割が行われ、その分割によ り非居住者に移転した対象資産がその相続 分又は包括遺贈の割合に従って非居住者に 移転したものとされた対象資産と異なるこ ととなったこと。

ロ 強制認知等により相続人に異動を生じた こと。

ハ 遺留分による減殺の請求に基づき返還す べき、又は弁償すべき額が確定したこと。

ニ 遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈 の放棄があったこと。

ホ 相続又は遺贈により取得した財産につい ての権利の帰属に関する訴えについての判 決があったこと。

ヘ 条件付の遺贈について、条件が成就した こと。

(注) 上記ロの相続人に異動を生ずる事由とし ては、強制認知の判決の確定(民法787)、

相続人の廃除又は廃除取消の審判の確定(民 法892~894)、相続回復請求権に基づく相続 の回復(民法884)、相続の承認及び放棄の 撤回及び取消(民法919②)、胎児の出生(民 法886)などが該当します。

⑵ 遺産分割等があった場合の期限後申告等の特

① 確定申告書を提出しなければならないこと となった者に係る特例

 居住者が年の中途において死亡した場合に、

その死亡した者(被相続人)のその年 1 月 1 日から死亡の日までの総所得金額、一般株式 等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係 る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得 等の金額など(以下「総所得金額等」といい ます。)を計算した結果、その被相続人につ いて確定申告書(所法120①)を提出しなけ ればならないときは、相続人は、下記③の損 失申告書を提出する場合を除き、所定の事項 を記載した申告書(いわゆる準確定申告書)

を、その相続の開始があったことを知った日 の翌日から 4 月を経過した日の前日までに、

その死亡した者の所轄税務署長に提出しなけ ればならないこととされています(所法125

①)。

 この準確定申告書の提出期限後に遺産分割 等の事由が生じたことによって贈与等時課税 制度が適用されたため新たにこの準確定申告 書を提出すべき要件に該当することとなった 居住者(被相続人)の相続人は、その遺産分 割等の事由が生じた日から 4 月以内に、その 居住者の死亡の日の属する年分の期限後申告 書を提出し、かつ、その期限内にその期限後 申告書の提出により納付すべき税額を納付し なければならないこととされています(所法 151の 5 ①)。

 この場合において、期限後申告書の提出が ないときは、納税地の所轄税務署長は、その 期限後申告書に記載すべきであった所得金額、

所得税の額その他の事項について決定を行う こととされています(所法151の 5 ④)。

(注) 上記の特例は、遺産分割等の事由が生じ たことにより、相続によって非居住者に譲 渡益又は決済益が生じる対象資産が移転す ることとなった場合等に適用されます。

② 還付申告書を提出できることとなった者に 係る特例

 居住者が年の途中において死亡した場合で、

その死亡した者(被相続人)のその年 1 月 1 日から死亡の日までの総所得金額等について

計算した結果、その死亡した者の所得税額が その者の予定納税額や源泉徴収税額を下回る 場合には、その相続人は、上記①による申告 書を提出すべき場合及び下記③による申告書 を提出することができる場合を除き、所定の 事項を記載した還付等を受けるための申告書

(所法122①②)を、その死亡した者の所轄税 務署長に対して提出することができることと されています(所法125②)。

 遺産分割等の事由が生じたことにより贈与 等時課税制度が適用されたため新たにこの還 付等を受けるための申告書を提出することが できる要件に該当することとなった居住者

(被相続人)の相続人は、その遺産分割等の 事由が生じた後に、その居住者の死亡の日の 属する年分の還付申告書を提出することがで きることとされています(所法151の 5 ②)。

(注) 上記の特例は、遺産分割等の事由が生じ たことにより、相続によって非居住者に譲 渡損失又は決済損失が生じる対象資産が移 転し、その被相続人が他の所得との損益通 算を適用できることとなった場合等に適用 されます。

③ 損失申告書を提出できることとなった者に 係る特例

 居住者が年の途中において死亡した場合で、

その死亡した者(被相続人)のその年 1 月 1 日から死亡の日までの総所得金額等について 計算した結果、その死亡した者のその死亡の 日の属する年分の所得税について確定損失申 告書(所法123①)を提出することができる 場合には、その相続人は、その死亡した者の 所轄税務署長に対してその相続の開始を知っ た日の翌日から 4 月を経過した日の前日まで に、所定の事項を記載した申告書を提出する ことができることとされています(所法125

③)。

 この確定損失申告書の提出期限後に生じた 遺産分割等の事由により贈与等時課税制度が 適用されたため新たに確定損失申告書を提出

することができる要件に該当することとなっ た居住者(被相続人)の相続人は、その居住 者の死亡の日の属する年分の期限後申告書を 提出することができることとされています

(所法151の 5 ③)。

(注) 上記の特例は、遺産分割等の事由が生じ たことにより、相続によって非居住者に譲 渡損失又は決済損失が生じる対象資産が移 転し、その被相続人が純損失の繰戻しによ る還付請求(所法141)を適用できることと なった場合等に適用されます。

⑶ 遺産分割等があった場合の更正の請求の特例  相続の開始の日の属する年分の所得税につき 贈与等時課税制度の適用を受けた居住者につい て生じた遺産分割等の事由により、非居住者に 移転した相続又は遺贈に係る対象資産が減少し、

又は増加したことに基因して、その居住者のそ の相続の開始の日の属する年分の所得税額等が 過大となり、又は純損失の金額が過少となる場 合等には、その相続人は、その遺産分割等の事 由が生じた日から 4 月以内に、税務署長に対し、

更正の請求をすることができることとされてい ます(所法153の 5 )。

(注) 上記の特例は、遺産分割等の事由が生じた ことにより、相続によって非居住者に移転し た譲渡益又は決済益が生じる対象資産が減少 した場合や、譲渡損失又は決済損失が生じる 対象資産が増加した場合に適用できます。

2  関連する民法改正(遺留分制度の見直

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