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過去の起業関心者の実態と再度起業に関心を持つための支援の在り方

創業支援施策

4 過去の起業関心者の実態と再度起業に関心を持つための支援の在り方

ここからは、起業無関心者のうち、起業希望 者・起業準備者になり得る過去の起業関心者に着 目し、その実態について見ていくとともに、過去 に起業を諦めそうになったことがある又は諦めた ことがある起業希望者・起業家にも着目し、起業 を諦めそうになったものの諦めなかった時の相談 相手の状況や、一度は起業を諦めたものの、再度 起業を志したきっかけ等についても確認していく ことで、過去の起業関心者が再度起業を志すきっ かけや支援の在り方について検討していく。

①過去の起業関心者の起業に対するイメージ はじめに、過去の起業関心者の実態について見 ていく。第2-1-33図は、過去の起業関心者の起 業に対するイメージを起業希望者・起業準備者と 比較したものであるが、これを見ると、過去の起 業関心者は「リスクが高い(失敗時の負債等)」、

「所得・収入が不安定である」といった、マイナ

スイメージを有する割合が起業希望者・起業準備 者に比べて特に高くなっていることが分かる。

第2-1-33図 過去の起業関心者の起業に対するイメージ

57.6 50.5 31.9

18.1 17.6 15.9 14.4 13.9 リスクが高い

(失敗時の負債等)

所得・収入が不安定

労働時間が柔軟 仕事と家庭との 両立が困難 仕事と家庭との

両立が可能 所得・収入が高い

チャレンジしやすい 社会的評価が高い

過去の起業関心者(n=618) (%)

44.7 42.2 42.0

12.3 27.4

18.9 22.5

17.6 起業希望者・起業準備者(n=2,167)

(%)

資料:中小企業庁委託「起業・創業に対する意識、経験に関するアンケート調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング

(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。(株))

2.過去の起業無関心者の回答割合が高い上位8項目を表示している。

②過去の起業関心者が、過去に起業を諦めた理由 続いて、第2-1-34図は、過去の起業関心者に 対して、過去に起業を諦めた理由について聞いた ものであるが、これを見ると、

「資金調達が困難」

と回答する割合が最も高く、次いで「起業への不 安(収入の減少、失敗時のリスク等

)」の順に

なっており、またこれらの二つの項目の割合が突 出して高くなっていることが分かる。

第2-1-34図 過去の起業関心者が、過去に起業を諦めた理由

32.0

28.0

15.7 13.6 12.9 12.5

9.9 8.9

0 5 10 15 20 25 30 35

資金調達が困難 起業への不安

(収入の減少、

失敗時のリスク等)

家庭環境の変化

(結婚・出産・介護 等)

事業に必要な専門 知識、経営に関す る知識・ノウハウが

習得できなかった

健康・体調面の

不安 起業について相談 できる相手がいな

かった

具体的な事業化の 方法が分からなかっ

周囲(家族、友人、

取引先等)に反対さ れた

(%) (n=619)

資料:中小企業庁委託「起業・創業に対する意識、経験に関するアンケート調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング

(注)1.過去の起業関心者の回答を集計している。(株))

2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

3.回答割合が高い上位8項目を表示している。

③過去に起業を諦めた、諦めそうになった時の相 談相手

ここで、過去に起業を諦めそうになったことが あるが、諦めずに起業にまで至った起業家につい て、諦めそうになった時に相談した相談相手の状 況について見てみる(第2-1-35図)。これを見る と、過去に起業を諦めそうになったものの、諦め ずに起業にまで至った起業家は、過去に起業する ことを諦めそうになった時に約

6割が「家族・親

戚、友人・知人」、約

3

割が「周囲の起業家・先 輩経営者」に相談していることが分かる。他方 で、過去に起業を諦めてしまったことがある過去 の起業関心者については、半数以上が「相談相手 はいなかった」と回答していることからも、起業 を諦めそうになった時の周囲の相談相手の存在 は、起業を諦めることをとどまらせるためにも非 常に重要であるといえよう。

4 1 3 2

第2-1-35図 起業家が起業を諦めそうになったものの諦めなかった時の相談相手及び過去の起業関心者が 起業を諦めた時の相談相手の状況

55.7

28.6

9.2 4.9 4.3 3.8 1.1 0.5

26.5 39.2

11.8

5.5 1.8 2.1 1.9 0.8 0.3

51.5

0 10 20 30 40 50 60

家族・親戚、

友人・知人 周囲の起業家・

先輩経営者 職場の同僚・上司 国・地方自治体・

公的支援機関

(よろず支援拠点 等)

商工会・商工会

議所 公認会計士、

税理士、中小企 業診断士、

経営コンサルタント

民間金融機関 政府系金融機関 相談相手は いなかった

起業家(n=185) 過去の起業関心者(n=618)

(%)

資料:中小企業庁委託「起業・創業に対する意識、経験に関するアンケート調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング

(注)1.(株))「過去に起業を諦めそうになったことはあるが、諦めなかった」と回答した起業家の回答を集計している。

2.起業家については、過去に起業を諦めそうになったが諦めなかった時の相談相手の状況について集計している。

3.過去の起業関心者については、過去に起業を諦めた時の相談相手の状況について集計している。

4.「その他」の項目は表示していない。

5.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

④過去に起業を諦めたことがある起業準備者・起 業家が、再度起業を志すきっかけとなった支援 施策等の内容

最後に、過去に起業を諦めたことがある起業準 備者・起業家が、利用することで再度起業を志す きっかけとなった支援施策等について見たものが 第2-1-36図である。これを見ると、

インター ネット等による起業・経営に関する情報提供」を はじめ、

「起業・経営相談」

「起業・経営支援講

座等」等様々な支援施策等を利用することで、一 度は起業することを諦めたものの、再度起業を志 していることが分かる。この結果からも、過去に 起業を諦めたことがある起業準備者・起業家は、

起業することを諦めた後で、インターネット等を 通して起業に関する情報を見たり、家族や友人、

周囲の起業家や経営者等に相談したりすること で、再度起業についての関心が強くなり、再び起 業を志したものと考えられる。

第2-1-36図 過去に起業を諦めたことがある起業準備者・起業家が、再度起業を志すきっかけとなった支 援施策等の内容

33.1

27.5

18.6 16.0 16.0

13.2 13.0 13.0

0 10 20 30 40

インターネット等によ る起業・経営に関す

る情報提供

起業・経営相談 起業・経営支援講

座等 保育施設や家事支 援、介護支援等の 家庭との両立支援

起業に伴う各種手

続に係る支援 人材確保のための

支援 起業支援補助金・

助成金 販路開拓のための 支援

(%) (n=393)

資料:中小企業庁委託「起業・創業に対する意識、経験に関するアンケート調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング

(注)1.(株))「過去に起業を諦めたことがある」と回答した起業準備者・起業家の回答を集計している。

2.「特にない」と回答した人を除いて割合を算出している。

3.回答割合の高い上位8項目を表示している。

4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

以上、本項では過去の起業関心者の実態及び過 去の起業関心者が再度起業に関心を持つために有 効な支援施策等について見てきたが、今後我が国 の起業を増やしていくためには、過去に起業を諦 めた人が再度起業を志すことも重要である。その ためにも、商工会・商工会議所や地方自治体、よ

ろず支援拠点といった支援機関だけではなく、前 掲第2-1-25図で述べた起業家コミュニティのよ うな、起業を志している人であれば誰でも気軽に 悩みを相談できる、受け皿となる支援機関・コ ミュニティ等のより一層の充実が今後求められよ う。

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