胎児心拍数モニターや臍帯血pHにより低酸素状態にあることが認められる場合 現行 早産児は補償対象が限定されている
見直し後
在胎週数 28 週以上を一般審査対象とする根拠について
• 現行制度設計時には、当時の沖縄での調査結果に基づいて千 人対 119 人以上を目安として一般審査の対象外として区分けを 行った ( 一般審査対象外の基準値)。
• 最新の沖縄県での調査結果では、在胎 28 週以上において統計 的にも千人対 119 人以下の発生率となっている。 27 週以下では 統計的には千人対 119 人と同じあるいはそれ以上の発生率と考 えられる。従って、最新の調査結果では、 28 週以上で現行制度 の一般審査対象外の基準を下回っている。
• 現行制度と同じ補償対象基準とすると、 28 週以上を一般審査対 象とするのが妥当である。
現行対象 平成10年~13年 33・34週
発生率11.6人 平成10年~13年 28~31週
発生率119人 本制度
設計時
現行対象外
平成19~ 21年状況
28週以上の発生率は統計的
に基準値以下である。 28週以上を対象とするのが妥当
16
1
早産児の脳性麻痺のリスク因子解析
東京女子医科大学母子総合医療センター
楠田 聡
2
データソース
• 2003 年に周産期母子医療センターネットワー クデータベースが構築
• 全国の総合周産期母子医療センターおよび 地域周産期母子医療センターが参加
• 出生体重 1500g 以下を登録
• 全国の約 190 施設が参加
• 登録数は 5300 例 / 年( 75% のカバー率)
• Web : http://plaza.umin.ac.jp/nrndata/
18
3
重症脳性麻痺の定義
• コメントで「重症心身障害児」
• 3 歳までに施設入所
• 脳性麻痺+以下のいずれかの状況の場合 DQ50 未満
DQ 測定不能
3 歳で歩行不能または尖足歩行
4 生存退院 14,553例
死亡退院 1,693例
1.5歳または3歳時健診で脳性麻痺 726例
(重度脳性麻痺
3歳までに施設入所 8例(重度脳性麻痺と推測)2) ネットワークデータで、2003~2008年に出生した在胎31週以下の児 16,246例
先天異常有 187例 3歳までの予後データ有 6,769例
脳性麻痺 6例1)
脳性麻痺無 5,666例3)
解析対象: 1)+2)+3)+4)+5)=6,406 例 先天異常無し 6,582例
退院後死亡 59例+退院後脳症 1例
18トリソミー1 ダウ ン症15 染色体異 常6 消化管疾 患40 心疾患16 中枢神経 異常8 腎・尿路疾患8 先天代謝 異常5 神経筋疾 患4 骨系統疾 患2 横隔膜 ヘルニ ア1 致死型先 天異常7 他の非致 死型先 天異常25 胎児水腫5 先天CMV感染1 不明42
脳性麻痺の有無不明 136例
脳性麻痺中等度 254例4) 脳性麻痺重度 486例5)
20
5
31 週以下の早産児の死亡率の改善
出生年
(N=16,246)0 2 4 6 8 10 12 14
2003 2004 2005 2006 2007 2008
死亡率(%)
2003 年~2008 年の期間で、31 週以下の早産児の死亡率は、1 年毎
に約 4%有意に減少していた(オッズ比:0.956(0.926-0.987))。
6
脳性麻痺発症率の改善
0 2 4 6 8 10 12 14
2003 2004 2005 2006 2007 2008
出生年
(N=6406)脳性麻痺発症率(%)
同様に、 2003 年~2008 年の期間で、 31 週以下の早産児の脳性麻痺 発 症 率 は 、 1 年 毎 に 約 6% 有 意 に 減 少 し て い た ( オ ッ ズ 比 : 0.936
(0.892-0.982))。
22
7
重度脳性麻痺発症率の改善
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
2003 2004 2005 2006 2007 2008
出生年
(N=6152)重度脳性麻痺発症率(%)
さらに、 2003 年~2008 年の期間で、 31 週以下の早産児の重度脳性 麻痺発症率は、1 年毎に約 9%有意に減少していた(オッズ比:0.909
(0.859-0.963))。
8
年別、在胎期間別の重度脳性麻痺発 症率の比較
0 5 10 15 20 25 30
2003-2005 2006-2008
22-23 24-27 28-31 在胎期間(週)
(95%信頼区間を表示、n=6152)
重度脳性麻痺発症率(%)
出生年
在胎期間別の重度脳性麻痺の発症頻度を、前半(2003~2005 年)
と後半(2006~2008 年)に分けて比較したところ、在胎 22~23 週で は、明らかな差を認めなかった。一方、24~31 週では、有意差は示 されないが、減少傾向を示した。したがって、2003~2008 年での脳 性麻痺の減少傾向は、 在胎期間が 24 週以上の児の重度脳性麻痺が減 少したことによる効果が主であると言える。
24
9
対象の背景因子
脳性麻痺無し 軽度脳性麻痺 重度脳性麻痺 p( 単変量)
( 5 6 6 6 ) ( 2 5 4 ) ( 4 8 6 )
在胎期間( 週) 2 7 .7 ±2 .3 2 6 .8 ±2 .2 2 6 .2 ±2 .3 < 0 .0 1
アプガー1 分 5 .4 ±2 .3 4 .5 ±2 .4 4 .3 ±2 .2 < 0 .0 1
アプガー1 分3 点以下 1 3 0 1 ( 2 3 .1 ) 9 4 ( 3 7 .2 ) 1 9 1 ( 3 9 .6 ) < 0 .0 1
アプガー5 分 7 .5 ±1 .8 6 .5 ±2 .1 6 .7 ±3 .0 < 0 .0 1
出生体重( g) 9 9 5 ±2 7 9 9 4 4 ±2 8 1 8 7 8 ±2 9 4 < 0 .0 1
多胎 1 4 4 0 ( 2 5 .4 ) 6 5 ( 1 2 5 .6 ) 1 1 7 ( 2 4 .1 ) N S 妊娠高血圧症候群 9 8 3 ( 1 7 .3 ) 2 1 ( 8 .3 ) 3 4 ( 7 .0 ) < 0 .0 1 絨毛膜羊膜炎 1 0 0 1 ( 1 7 .7 ) 4 9 ( 1 9 .3 5 ) 1 1 5 ( 2 3 .7 ) < 0 .0 1 組織学的絨毛膜羊膜炎 1 1 6 9 ( 2 8 .7 ) 5 5 ( 2 9 .1 ) 1 1 0 ( 3 4 .0 ) N S PROM 1 7 0 0 ( 3 0 .0 3 ) 8 2 ( 3 2 .3 ) 1 5 5 ( 3 1 .9 ) N S 母体ス テロイド投与 2 5 4 6 ( 4 4 .9 ) 1 1 1 ( 4 3 .7 ) 1 9 2 ( 3 9 .5 ) N S 胎児心拍異常 1 2 3 7 ( 2 1 .8 ) 4 0 ( 1 5 .7 ) 1 0 1 ( 2 0 .8 ) N S 頭位分娩 3 9 4 7 ( 6 9 .7 ) 1 7 1 ( 6 7 .3 ) 3 1 6 ( 6 5 .0 ) N S 帝王切開 4 3 2 5 ( 7 6 .3 ) 1 8 7 ( 7 3 .6 ) 3 4 4 ( 7 0 .8 ) < 0 .0 5 性別 2 8 8 1 ( 5 0 .9 ) 1 4 3 ( 5 6 .5 ) 2 6 5 ( 5 4 .6 ) N S
院外出生 3 8 7 ( 6 .8 ) 2 3 ( 9 .1 ) 4 1 ( 8 .4 ) N S
蘇生時気管挿管 3 3 2 7 ( 5 8 .7 ) 1 9 1 ( 7 5 .2 ) 3 8 0 ( 7 8 .2 ) < 0 .0 1 RDS 3 4 6 3 ( 6 1 .1 ) 1 9 2 ( 7 5 .6 ) 3 7 5 ( 7 7 .2 ) < 0 .0 1 慢性肺疾患 2 1 4 9 ( 3 7 .9 ) 1 2 3 ( 4 8 .4 ) 2 4 4 ( 5 0 .2 ) < 0 .0 1 動脈管開存症 2 0 9 1 ( 3 6 .9 ) 1 2 3 ( 5 0 .8 ) 2 6 7 ( 5 4 .9 ) < 0 .0 1 晩期循環不全 4 4 1 ( 7 .8 ) 4 7 ( 1 8 .5 ) 9 3 ( 1 9 .1 ) < 0 .0 1 脳室内出血 5 6 5 ( 1 0 .0 ) 7 7 ( 3 0 .3 ) 1 5 4 ( 3 1 .7 ) < 0 .0 1 PVL 7 4 ( 1 .3 ) 5 0 ( 1 9 .7 ) 1 5 0 ( 3 0 .9 ) < 0 .0 1 敗血症 3 7 6 ( 6 .6 ) 2 5 ( 9 .8 ) 7 3 ( 1 5 .0 ) < 0 .0 1
脳性麻痺無し群と中等度脳性麻痺、重度脳性麻痺群の背景因子を 単変量で比較すると、脳性麻痺無し、中等度脳性麻痺、重度脳性麻 痺群の順で、より在胎期間が短く、アプガースコアが低く、出生体 重が軽い傾向にあった。同様に、出生前の絨毛膜羊膜炎の存在、蘇 生時の気管挿管の必要性も脳性麻痺およびその重症度に応じて、割 合が増加した。一方、妊娠高血圧症候群の存在、帝王切開は、脳性 麻痺を回避する方向にあった。また、新生児時期の合併症である、
RDS、慢性肺疾患、動脈管開存症、晩期循環不全、脳室内出血、PVL、
敗血症も脳性麻痺の重篤化の傾向が認められた。ただし、この 3 群
間には、在胎期間、出生体重、アプガースコアに有意差が存在する
ので、単変量で認める傾向が、独立したリスク因子であるかどうか
は不明である。
10
在胎期間別脳性麻痺の頻度
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
脳性麻痺重度 脳性麻痺中等度 脳性麻痺無
在胎期間
N=6406頻度(%)
在胎期間別の脳性麻痺の頻度を重症度別に示した結果、脳性麻痺 の頻度は在胎期間が短くなるに従い、在胎週数の減少に応じて増加 した。すなわち、脳性麻痺の発生に児の未熟性が関与する因子が存 在していることを示唆する。
26
11
<脳室内出血について>
在胎期間別、重症度別 脳室内出血の頻度
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
Ⅳ
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ IVH無し
在胎期間
N=6406頻度(%)
脳室内出血の在胎期間別の頻度を脳室内出血の重症後別に示す。
脳室内出血の発症は在胎期間の短縮に従い増加している。したがっ て、 脳室内出血の原因の一つに、 児の未熟性が存在することを示す。
ただし、脳室内出血の重症度の分布は在胎期間には依存せず、在胎
期間が短いだけで重症例が増える訳ではない。すなわち、脳室内出
血は早産児で発症頻度が高いが、重症度については児の未熟性以外
の要因が存在すると言える。
12
脳室内出血重症度と脳性麻痺の関係
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
出血無 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
脳性麻痺重度 脳性麻痺中等度 脳性麻痺無
N=6406
頻度(%)
脳室内出血
脳室内出血の重症度別の脳性麻痺の頻度から、脳室内出血の重症 度に比例して脳性麻痺も重症化する。しかも、脳室内出血が 3 度以 上になると、脳性麻痺の頻度が急激に増加する。
28
13
脳室内出血重症度と脳性麻痺の頻度
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
Ⅰ、Ⅱ度 Ⅲ、Ⅳ度
脳性麻痺重度 脳性麻痺中等度 脳性麻痺無
N=795
頻度(%)
脳室内出血
脳室内出血ⅠおよびⅡ度とⅢおよびⅣ度で、脳性麻痺の頻度が明
らかに異なる。
14
脳室内出血と重度脳性麻痺発症リスク
0 2 4 6 8 10 12 14 16
IVH1 IVH2 IVH3 IVH4
N=795
重度脳性麻痺発症率(%)
脳室内出血
脳室内出血の重症度が進むと脳性麻痺の重症度は加速度的に増加 する。
30
15
脳室内出血重症度と重度脳性麻痺発 症のオッズ比
(在胎期間で調整、N=6152)