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退院後支援の体制整備、実施状況の適切な把握

ドキュメント内 包括的支援マネジメント 実践ガイド (ページ 71-84)

自治体による精神障害者の 退院後支援に関するガイドライン

IV. 計画に基づく退院後支援の実施

9. 退院後支援の体制整備、実施状況の適切な把握

自治体は、自治体が中心となって退院後の医療等の支援を行うことが必要であると認められる者につ いて、必要な支援を提供できるよう、精神保健福祉士等の専門職の配置や研修の実施を行うなど、必 要な体制整備を進めることが望ましい。

また、退院後支援の実施状況に関しては、各保健所設置自治体において、計画の作成数(単独・

共同作成の別)、計画に基づく支援期間及び転帰、会議の開催状況、職員 1 名あたりの担当者数等 を把握し、適正な運用となるよう努めることが適当である。

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V. おわりに

本ガイドラインでは、自治体が中心となって行う精神障害者の退院後支援の運用のあり方について示 した。一方で、本ガイドラインに示すような退院後支援を実施するためには、地域における精神保健医療 福祉体制のさらなる充実が望まれる。我が国では精神障害者の地域生活を援助するための仕組みが十 分に確保されていないという大きな問題があり、長期入院者の地域移行、必要な医療を提供できていな い未受診者、治療中断者等への支援のあり方、精神障害者の社会参加の促進など、取り組むべき課 題は山積している。

今後、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、アウトリーチ活動の普及、ピアサポート活 動等を通じて、精神障害者の地域生活支援をいっそう進めていくこと、非自発入院者に対する人権擁 護の仕組みを拡充させることは、いずれも喫緊の課題である。そして、非自発的入院制度のあり方そのも のについての検討を重ねることもまた重要な課題であろう。

最後に、本ガイドラインの作成にあたり、アンケート及びヒアリングにご協力いただいた精神障害の当事 者の方々、精神障害者のご家族、自治体職員の皆様に、研究班一同、心より感謝申し上げます。

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<参考:計画の作成の具体的な手順の流れ>

計画を作成する具体的な手順の流れを以下に示す。

① 計画の作成に向けた手続等の確認【作成主体の自治体、入院先病院】

作成主体の自治体は、入院先病院との間で計画の作成に向けた今後の手続(③~⑧)等につ いて確認する。

※ 措置入院の場合は、措置を行った都道府県等が、措置入院後速やかに確認を行うことが望ましい。

措置入院以外の入院形態の場合は、本人や家族その他の支援者、又は入院先病院から自治体 に計画の作成依頼があり、自治体がその必要性があると認めた場合に確認を行う。

② 退院後生活環境相談担当者の選任【入院先病院】

12 ページ参照。なお、医療保護入院者の場合は、退院後生活環境相談員が通常の業務に加え、

計画の作成に関する業務を担うことが望ましい。

③ 計画に関する説明と本人の意向の確認【作成主体の自治体、入院先病院】

4 ページ参照。本人の症状が一定程度落ち着いた段階で、作成主体の自治体は、必要に応じて 入院先病院と協力しつつ、計画に基づく支援に関する説明を行い、計画の作成等について本人の意 向を確認し、その同意を得る。

④ ニーズアセスメントの実施【入院先病院】

13 ページ参照。

⑤ 計画に係る意見書等の自治体への提出【入院先病院→作成主体の自治体】

14 ページ参照。入院先病院は、支援対象者の症状が一定程度落ち着き、退院後支援のニーズ をある程度評価できるようになった段階で、ニーズアセスメントの結果を踏まえて計画に係る意見書を 作成し、直近のニーズアセスメントの結果とともに作成主体の自治体に提出することが望ましい。

⑥ 会議の開催【作成主体の自治体、入院先病院、地域援助事業者等】

7 ページ参照。なお、措置解除後に医療保護入院等で継続して入院する場合には、会議の開催 は不要である。

⑦ 計画の決定【作成主体の自治体】

作成主体の自治体は、計画に係る意見書、会議における協議等を踏まえ、計画を決定する。

※ 措置入院の場合には、入院先病院の管理者は、症状消退届を提出する際に、本人の直近の状 態等からその時点で作成されている計画の内容を修正する必要があると認めた場合には、症状消退 届の「訪問指導等に関する意見」又は「障害福祉サービス等の活用に関する意見」の欄に、修正意

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見を記載して提出することが適当である。作成主体の自治体は、この内容も踏まえて計画を決定す る。

⑧ 計画の交付、支援関係者への通知【作成主体の自治体】

11 ページ参照。

(注)

・ 入院期間が短い場合や、計画の内容の検討に時間を要し、入院中に作成することが難しい場 合等は、退院後速やかに計画を作成する(4 ページ参照)。

・ 措置解除後に医療保護入院等で継続して入院する者が、医療保護入院等から地域に退院し た後も、引き続き自治体による退院後支援を受けることを希望している場合には、医療保護入 院等から退院する段階で会議を開催して、全ての項目を記載した計画に見直し、当該計画に 基づき必要な支援を行うことが望ましい。

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謝辞

このガイドラインは、厚生労働行政推進調査事業費補助金(障害者政策総合研究事業(精神障害 分野))「精神障害者の地域生活支援を推進する政策研究」(研究代表者:藤井千代)の分担 研究「措置入院者の地域包括支援のあり方に関する研究」(分担研究者:椎名明大)の助成によっ て作成された。

研究班の構成

【研究代表者】

藤井 千代(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会復帰研究部 部長)

【研究分担者】

椎名 明大(千葉大学社会精神保健教育研究センター 治療・社会復帰支援研究部門 特任准教 授)

【研究協力者】(五十音順)

相澤 明憲(弓削病院 病院長)

浅見 隆康(群馬県こころの健康センター 所長)

東 美奈子(訪問看護ステーション Relisa 所長)

新垣 元 (新垣病院 理事長)

今井 淳司(東京都立松沢病院)

稲垣 中(青山学院大学 国際政治経済学部 教授)

伊豫 雅臣(千葉大学 精神神経科 教授)

遠藤 悦夫(全国精神保健福祉相談員会 品川保健センター)

遠藤 謙二(千曲荘病院 理事長・院長)

遠藤哲一郎(全国精神保健福祉相談員会 川口市保健センター)

太田 順一郎(岡山市こころの健康センター長)

大塚 達以(宮城県立精神医療センター)

大槻 知也(全国精神保健福祉相談員会 埼玉県川口保健所)

大屋 未輝(日本精神保健福祉士協会)

川副 泰成(国保旭中央病院 院長補佐)

菊池安希子(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 司法精神医学研究部 室長)

吉川 隆博(東海大学 健康科学部看護学科 准教授)

木本 達男(全国精神保健福祉相談員会 岡山市こころの健康センター)

金田一 正史(全国精神保健福祉相談員会 千葉県精神保健福祉センター)

熊取谷 晶(全国精神保健福祉相談員会 京都府精神保健福祉総合センター)

小関 清之(医療法人社団斗南会秋野病院 地域連携室長)

25 榊 明彦(成増厚生病院 看護師長)

佐々木英司(全国精神保健福祉相談員会 埼玉県草加保健所)

紫藤 昌彦(紫藤クリニック 院長)

島田 達洋(栃木県立岡本台病院 医務局長兼診療科長)

杉山 直也(沼津中央病院 院長)

瀬戸 秀文(長崎県精神医療センター 診療部長)

田所 淳子(全国精神保健福祉相談員会 高知県中央東福祉保健所 健康障害課)

田中 究(兵庫県立ひょうごこころの医療センター 院長)

田村 綾子(聖学院大学 人間福祉学科 教授)

塚本 哲司 (全国精神保健福祉相談員会 埼玉県立精神保健福祉センター)

辻本 哲士(滋賀県立精神保健福祉センター 所長)

津田 多佳子(川崎市精神保健福祉センター 担当課長)

中島 公博 (五稜会病院 理事長)

長野 敏宏(御荘診療所 院長)

中原 由美(福岡県粕屋保健福祉事務所 保健所長)

成瀬 暢也(埼玉県立精神医療センター 副病院長)

野口 正行(岡山県立精神保健福祉センター長)

橋本 望 (岡山県精神医療センター)

長谷川 直美(ほっとステーション 院長)

長谷川 花(沼津中央病院)

波床 将材(京都市こころの健康増進センター 所長)

平田 豊明(日本精神科救急学会 理事長)

平林 直次(国立精神・神経医療研究センター病院 第二精神診療部長)

廣江 仁 (社会福祉法人養和会 理事長)

本田 浩子(東京都福祉保健局障害者施策推進部 精神保健医療課計画担当)

増茂 尚志 (栃木県精神保健福祉センター 所長)

松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長)

武藤 岳夫(肥前精神医療センター 精神科医長)

村上 優(国立病院機構榊原病院 院長)

柳 尚夫 (豊岡健康福祉事務所 保健所長) 山岡 功一(神経科浜松病院 理事長・院長)

山縣 正雄(全国精神保健福祉相談員会 埼玉県立精神医療センター)

山本 賢(全国精神保健福祉相談員会 飯能市健康福祉部健康づくり支援課)

山之内芳雄(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部 部長)

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