4. ばね型アクチュエータの解析
4.4 磁束密度と電磁力
4.4.1 軸方向磁束密度の計測法と近似
本ばね型アクチュエータは積層鉄粉間の電磁力によりばねを伸縮させるもの であるので,電磁力の計算では積層鉄粉間の磁束密度が必要となる。コイルば ねを軸方向に変位させる力は,各鉄粉層をコイルで近似したとき,その伝導電 流と半径方向磁束密度の積となるが,半径方向磁束密度はばね中心で零,鉄粉 の端で大きくなり,それより大きい径のところで急激に小さくなる。ばねの空 隙は小さいので,半径方向を測定するようにホール素子をばねのコイル内に挿
S
37
4
2 1 6 5
3
S
2S
1Fig.4.3 Arrangement of the sensors.
入することは難しく,またコイル外周では,磁束密度が減少する領域であるの で,正しい値を計測することは難しい。一方,軸方向磁束密度は半径方向に変 化が少なく,また薄いホール素子を鉄粉層間に差し込むことは容易であり,正 しい値を得ることができる.そこで,本研究では軸方向磁束密度を計測し,そ れを基に各鉄粉層に作用する力を求め,それよりばねの変位を求めることとす る。すなわち,ホール素子を鉄粉層間に置き,磁束密度変化を測定する。Fig.4.3 はホール素子の配置を示したもので,電磁石側から鉄粉空隙層に番号を付し,
第 1 層目の空隙にホール素子のセンサ 1を配し,第4層目にセンサ 2 を,第7 層目にセンサ3を配置する。
まず,本ばねの電磁石と反対側に永久磁石を載せ,ばねの自由長に戻して半
径r =12mmの位置における軸方向(z方向)磁束密度をホール素子センサにより
測定したところFig.4.4の黒丸のような結果が得られた。図で縦軸は磁束密度を,
横軸は鉄粉層の番号を表す。ここに,用いた永久磁石は,直径57mm,厚さ14mm の市販の円形永久磁石である。
この磁束密度Bmn [T]は近似的に3次曲線で近似できる(Fig.4.4の実線)。すな わち
3 2 4
1 2 3 4
( ) 10
Bmn d n d n d n d (4.1)
ここに
1 0.0005
d ,d2 0.00384 d3 0.01151 d4 0.01246
また,mは永久磁石を,nは鉄粉層の番号を表し,d1〜d4は近似係数である。η
はFig.4.4では1であるが,後述の計算で残留磁場および鉄粉層表面磁束密度の
分布の変動および鉄粉層間の磁束近似誤差を丸めた誤差を修正する係数である。
一方,永久磁石を取り付けていないばね型アクチュエータの電磁石に1[A]の電 流を印加したときは,Fig.4.4 の白丸のような結果が得られた。この場合は 2 次 曲線で近似できる(Fig.4.4 の破線)。すなわち,電磁石による磁束密度 Ben [T]
は
2 3
1 2 3
( ) 10
Ben I c n c n c (4.2)
ここで
1 0.0001778 , 2 0.004267 , 3 0.0266
c c c
また,I は電磁石に印可される電流,c1 〜c3は近似係数およびβは補正係数であ る。このように,本アクチュエータの軸方向磁束密度はなめらかに変化するの で,数点の測定により,全鉄粉層の磁束密度を簡単な2〜3次の多項式で近似で きる。
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
Layer n
M ag n et ic f lu x d en si ty [ T ]
Experimental (PM) Experimental (EM) Analytical
Approximation
1 2 3 4 5 6 7 8
Fig.4. 4 Distribution of Magnetic flux densities in the axial direction.