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第4章 技術試験

4.2 試験方法

4.3.3 距離イメージ

(1)遠距離のイメージ

図表4-6に示すとおり、送受信端末間が遠距離(同一エリア内の遠端、数 km 程 度を想定)で希望チャネル(D)の受信レベルが小さい場合において、規格の異なる送 信端末から受信端末への干渉チャネル(U)とのD/U比を変えることにより、異なる 規格の送受信端末間の距離を変えることと等価となる試験を実施する。

T80送信

D

T80受信

U

D

T79送信

T80送信 U

D

T80受信

T79送信 D

T79受信

D

T79送信 D/U比を変化させる

(異なる規格の端末 間を離したり近づけ たりするイメージ)

T79受信

T79送信 D

T79受信 T79受信

同一エリアの イメージ

D/U比を変化させる

(異なる規格の端末 間を離したり近づけ たりするイメージ)

図表4-6 距離イメージ(遠距離)

(2)近距離のイメージ

図表4-7に示すとおり、送受信端末間が近距離(同一エリア内の近端、100m程度

を想定)で希望チャネル(D)の受信レベルが大きい場合において、規格の異なる送信

端末から受信端末への干渉チャネル(U)とのD/U比を変えることにより、異なる規

2)試験結果

パターン1の試験結果を要約すると以下のようになる。(詳細は参 17 2.1第1 回試験(1)を参照)

ア T80から T79への干渉のケース

・T79自動選択チャネルとT80手動選択チャネルが同一チャネル時の干渉 送受信端末間の通話が遠距離、近距離に係らず、T79受信機においてD/U比 が+10[dB]以上であれば「音質劣化あっても通話可能」であったが+10[dB]未 満になると「通話困難」となる結果もあり、干渉波の影響を受けることを確 認した。

・T79自動選択チャネルとT80手動選択チャネルが隣接チャネル時の干渉 送受信端末間の通話が遠距離の場合、T79 受信機においてD/U比が-40[dB]

以上であれば、全てで「音質劣化あっても通話可能」との結果となり、干渉 波の影響を受けないことを確認した。近距離の場合も同様と考えられるが、

有線回路試験での受信レベル設定の制約によりD/U比が-10[dB]までは、全 てで「音質劣化あっても通話可能」との結果となり、干渉波の影響を受けな いことを確認した。

イ T79からT80への干渉のケース

・T80受信機において、同上のことが言える。

※T79 が送信出力の大きい車載機(5[W])を使った試験では、送受信端末間が 遠距離をイメージした試験において、空中から伝搬して影響を受けたケー スが見られた。

ウ 機種による違い

・製造者が異なる T79 の5機種と T80との試験において、結果に大きな差は認 められなかった。

エ 試験結果からの考察

・同一エリアにおいて、T80 手動選択チャネルと T79 自動選択チャネルで同一 チャネルを使用すると、「音質劣化あっても通話可能」だけではなく「通話 困難」との結果もあり、相互に影響を受けるが、隣接チャネルを使用した場 合には相互に影響は受けないと考えられる。

・T79 が自動選択チャネルで通話中に T80 が同一チャネル及び隣接チャネルで 接続できたことから、T79とT80の相互間でキャリアセンスが働かない(送信 の抑制は働かない)ことを確認した。

エ 試験結果からの考察

・同一エリアにおいて、T80 手動選択チャネルが T79 制御チャネル(Ch.9)の隣 接チャネルを使用すると、T79 送信端末の制御チャネル動作への影響がある と考えられる。

・T79 が自動選択チャネルで呼接続するときに T80 が制御チャネルの隣接チャ ネルを使用していると、「接続不可」の場合があったことから、T79 での自 動選択による呼接続時には T79 のキャリアセンスが働く(制御チャネルによ る空きチャネル検索に影響を与える)ことを確認した。

(3)パターン3

1)試験ケースと評価方法

ア T80から T79への干渉のケース(図表4-11参照)

最初に、T79を手動チャネル(Ch.4)を使用した通話状態としておく。次に、T80 を T79と同一チャネル(Ch.4)又はその隣接チャネル(Ch.3)に手動設定して発呼す る。

このときの T79の通話継続性への影響を確認するものとし、「音質劣化あって も通話可能」、「通話困難」、「通信断」の三段階で評価した。接続後の通話品 質については標準音源の聞き取りにより判定した。

イ T79からT80 への干渉のケース(図表4-12参照)

最初に、T80を手動チャネル(Ch.4)を使用した通話状態としておく。次に、T79 を T80 と同一チャネル(Ch.4)に手動設定して発呼する。又は、T80 を手動チャネ ル(Ch.3)を使用した通話状態としておき、T79 をその隣接チャネル(Ch.4)に手動 設定して発呼する。

このときの T80の通話継続性への影響を確認するものとし、「音質劣化あって も通話可能」、「通話困難」、「通信断」の三段階で評価した。接続後の通話品 質については標準音源の聞き取りにより判定した。

の影響がないことを確認した。

イ T79から T80への干渉のケース

・T80受信機において、同上のことが言える。

ウ 機種による違い

・製造者が異なる T79の5機種と T80との試験において、結果に大きな差は認 められなかった。

※T79 が送信出力の大きい車載機(5[W])を使った試験では、送受信端末間が 遠距離をイメージした試験において、空中から伝搬して影響を受けたケー スが見られた。

エ 試験結果からの考察

・同一エリアにおいて、T80 手動選択チャネルと T79 手動選択チャネルで同一 チャネルを使用すると、「音質劣化あっても通話可能」だけではなく「通話 困難」との結果もあり、相互に影響を受けることが考えられる。

・同一エリアにおいて、T80 手動選択チャネルが T79 手動選択チャネルの隣接 チャネルを使用しても相互に影響は受けないと考えられる。

(4)第1回試験のまとめ

同一エリアで T79 と T80 の無線機が相互に干渉を受ける状況下においては、単信 による直接通信動作への影響は次のようになる。

1)T80 手動選択チャネルと T79 自動選択チャネルで同一チャネルを使用すると相互 に影響を受けるが、隣接チャネルを使用した場合には影響は受けないと考えられ る。

2)T80 手動選択チャネルが T79 制御チャネル(Ch.9)の隣接チャネルを使用すると、

T79送信端末の制御チャネル動作への影響があると考えられる。

3)T80 手動選択チャネルと T79 手動選択チャネルで同一チャネルを使用すると相互 に影響を受けるが、隣接チャネルを使用した場合には影響は受けないと考えられ る。

上記のまとめを基に、共用の可否と試験結果の概要を図表4-13に整理する。

試験 パター

区分 与干 渉

被干

渉 結 果 の 概 要 共用の

可否 備 考 1 同一チャネル T80 T79 D/U 比+10dB の 維 持 が

必要

同 一 エ リ アで は 共 用不 可(相 当 の 離 隔 距 離 が 必要)

不可

T79 T80

隣接チャネル T80 T79 D/U 比-40dB の 維 持 が 必要

同 一 エ リ アで 概 ね 共用 可(移 動 環 境 で は 概 ね 10m 以上の離隔)

可 利 用 の 遠 近 (受 信 電 界 の 強 弱)に 依 存 せず。

T79 T80

2 隣 接 チ ャ ネ ル

被干渉 ( 受 信 機 側)

T80 T79 D/U 比-40dB の 維 持 が 必要

同 一 エ リ アで 概 ね 共用 可(移 動 環 境 で は 概 ね 10m 以上の離隔)

可 利 用 の 遠 近 (受 信 電 界 の 強 弱)に 依 存 せず。

T79 T80

被干渉 ( 送 信 機 側)

T80 T79 隣 接 で あ って も 、 わず か な 漏 洩 干渉 チ ャ ネル に よ り 、 呼接 続 が 機能 しない。

不可 呼 接 続 時 の 空 き チ ャ ネ ル 検 索 の 結 果、空きがな いと判定 3 同一チャネル T80 T79 D/U 比+10dB の 維 持 が

必要

同 一 エ リ アで は 共 用不 可(相 当 の 離 隔 距 離 が 必要)

不可 現状の割当 T79 T80

隣接チャネル T80 T79 D/U 比-40dB の 維 持 が 必要

同 一 エ リ アで 概 ね 共用 可(移 動 環 境 で は 概 ね 10m 以上の離隔)

可 利 用 の 遠 近 (受 信 電 界 の 強 弱)に 依 存 せず。

T79 T80

図表4-13 第1回試験のまとめ

2)試験結果

T79自動選択チャネルが固定されている場合、その隣接チャネルを T80が使用し ていると T79 複信通信の接続に影響を受けることを確認した。通常の運用では、

T79自動選択チャネルは4波の候補の中から自動選択を行うため、一つのチャネル がT80 の影響を受けても次候補が影響を受けていなければ問題はない。

ただし、T79発信側から着信側に通知できる周波数候補は最大 3チャネル(1チ ャネルのみ必須)であるため、T80の影響を受けていないチャネルを選択できない 可能性はある。(詳細は参 30 2.2第2回試験(3)を参照)

(4)第2回試験のまとめ

同一エリアでT79 とT80の無線機が相互に干渉を受ける状況下においては、T79の 複信による直接通信動作への影響は次のようになる。

1)複信通信においても、T79 制御チャネルの隣接チャネルを T80 が使用していると

影響があると考えられる。

2)T79通話中に T79通話チャネルの隣接チャネルをT80が使用する場合、T79受信機 においてD/U比が-40[dB]以上であれば影響を受けることはないと考えられ る。

3) T79自動選択チャネルが固定されている場合、その隣接チャネルをT80 が使用し

ているとT79複信通信の接続に影響を受けると考えられる。なお、通常の運用で は、T79自動選択チャネルは 4波の候補の中から自動選択を行うため、一つのチ ャネルが T80 の影響を受けても次候補が影響を受けていなければ問題はないと 考えられるが、T79発信側から着信側に通知できる周波数候補は最大3チャネル

(1チャネルのみ必須)であるため、T80の影響を受けていないチャネルを選択 できない可能性はある。

上記のまとめを基に、共用の可否と試験結果の概要を図表4-17に整理する。

試験 パター

詳細区分 与干

渉 被干渉 結 果 の 概 要 共用の

可否 備考 4 隣 接 チ

ャネル

被干渉 (呼 接 続 関係)

T80 T79 (複信)

隣接であっても、わずかな漏 洩干渉チャネルにより、呼接 続が機能しない。

不可

5 隣接チャネル T80 T79 (複信)

D/U比-40dBの維持が必要 同 一 エ リ ア で 概ね 共 用可(移 動 環 境 で は 概 ね 10m 以 上 の 離隔)

6 隣 接 チ ャネル

被干渉 (呼 接 続 関係)

T80 T79 (複信、

単信)

隣接であっても、わずかな漏 洩干渉チャネルにより、呼接 続が機能しない。

ただし、T79通話チャネルは 4 チ ャ ネ ル の 候 補 か ら 自 動 選択を行うため、1つのチャ ネ ル が 使 用 中 で も 問 題 は な いと考えられる。

図表4-17 第2回試験のまとめ

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