少年法の一部を改正する法律(第190回国会閣第▲▲号)
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 雑則(六十一条)」を「第四章 推知報道等の禁止(六十一条
―六十四条)」に改める。
第四章を次のように改める。
第四章 推知報道等の禁止
(推知報道及び推知報道をして不安を覚えさせることの禁止)
第六十一条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴 を提起された者(以下、「少年等」という。)については、氏名、年齢、職業、就学 する学校の名称、住居、容貌等によりその者が当該事件の本人であることを推知さ せる記事若しくは写真を新聞紙その他の出版物に掲載し、放送番組を放送し、又は 情報を電気通信回線を通じて不特定若しくは多数の者に提供すること(以下、「推 知報道」という。)をしてはならない。
2 何人も、推知報道をして、少年等又はその配偶者、直系若しくは同居の親族そ の他当該少年等と社会生活において密接な関係を有する者(以下、「親族等関係者」
という。)に対し、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の 自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。
(勧告及び命令)
第六十二条 法務大臣は、前条の規定に違反する行為により少年等又は親族等関係 者の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該違反者に対し、当該 違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告するこ とができる。
2 法務大臣は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告 に係る措置をとらなかった場合において少年等又は親族等関係者の重大な権利利益 の侵害が切迫していると認めるときは、当該違反者に対し、その勧告に係る措置を とるべきことを命ずることができる。
3 法務大臣は、前項の規定による命令をしようとするときは、行政手続法(平成 五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分に かかわらず、聴聞を行わなければならない。
4 法務大臣は、前三項の規定にかかわらず、前条第二項の規定に違反した場合に おいて少年等又は親族等関係者の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措 置をとる必要があると認めるときは、当該違反者に対し、当該違反行為の中止その 他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(主務大臣の権限の行使の制限)
第六十三条 法務大臣は、前条の規定により勧告又は命令を行うに当たっては、表 現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない。
(罰 則)
第六十四条 第六十二条第二項又は第四項の規定による命令に違反した者は、三年 以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)の代表 者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務 に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に 対しても、前項の罰金刑を科する。
附 則 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で 定める日から施行する。
(検 討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による 改正後の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検 討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その 他の所要の措置を講ずるものとする。
理 由
少年事件に対する推知報道により、少年の更生が阻害され、また、親族等の生活の 平穏が脅かされるおそれがあるため、法務大臣に推知報道を是正するための勧告及 び命令を行う権限を付与する必要がある。これが本法律案を提出する理由である。