5. 財政計画
5.2 財政計画の検討
5.2.1 各種条件の設定
投資計画では、将来の建設改良費について、項目ごとに将来値を整理した。このうち、
拡張事業費以外は財源が決まっていないことから、この財源割合をケースごとに設定 し、財政シミュレーションへと反映させ、本市水道事業における最適な財政計画を選 定する。財源割合のケースは、以下のとおりとする。
財源割合の設定 ケース1 更新事業費の全額を企業債に依存する場合
ケース2 更新事業費の半額を企業債に依存し、残りを一般会計繰入金と自己 財源にて賄う場合
ケース3 更新事業費を施設と管路に分け、施設は企業債に依存し、管路は国 庫補助金・一般会計繰入金・自己財源で均等に負担する場合
ケース4
更新事業費を施設と管路に分け、施設は半額を企業債に依存し、残 りを一般会計繰入金、自己財源にて均等に負担し、管路は国庫補助 金・一般会計繰入金・自己財源で均等に負担する場合
5.2.2 財政収支見込み
投資計画で求めた事業費を財政計画に反映し、財源割合の異なる上記の4ケースによ り、水道料金を現状維持とした場合の、今後の宇陀市水道事業の財政収支を予測する。
1)給水原価
給水原価でみると、どのケースでも給水原価は増加傾向にある。事業費の財源のう ち、企業債への依存率が高いケースほど、給水原価は高くなる。このため、どのケ ースも年度を追うにつれ、供給単価と乖離していく様子が分かる(図5.1参照)。
- 28 -
単位:円/m3
H28 H32 H37 H42 H47 H52 H57 H62 H67
ケース1 383.00 459.20 536.50 680.90 872.70 1,088.00 1,331.90 1,597.20 1,936.40 ケース2 383.00 459.20 517.40 624.50 777.30 955.30 1,163.30 1,400.60 1,709.30 ケース3 383.00 459.20 521.00 632.00 787.70 958.90 1,155.20 1,396.00 1,715.50 ケース4 383.00 459.20 509.60 600.10 734.80 890.80 1,075.00 1,300.00 1,598.90
(参考)供給単価 247.00 247.00 247.00 247.00 247.00 247.00 247.00 247.00 247.00 給
水 原 価
150.00 350.00 550.00 750.00 950.00 1,150.00 1,350.00 1,550.00 1,750.00 1,950.00 2,150.00
H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66
給水原価・供給単価(円/m3)
( 年度)
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 (参考)供給単価
図5.1 投資計画の財政シミュレーション反映結果(給水原価・供給単価)
2)企業債残高
建設改良費の企業債依存度が最も高いケース1では、企業債残高が最大で現状の5 倍である200億円を超えてしまう。ケース2およびケース3では、ケース1よりも 抑えられてはいるが、現状の2倍程度の企業債残高となる。ケース 4では、現状に 最も近い値となっているが、それでも10億円以上企業債残高が増加している(図5.2 参照)。
単位:百万円
H28 H32 H37 H42 H47 H52 H57 H62 H67
ケース1 3,872 3,562 6,895 11,393 15,709 18,519 20,187 19,946 18,937 ケース2 3,872 3,562 4,681 6,438 8,442 9,723 10,417 10,195 9,682 ケース3 3,872 3,562 5,099 7,066 9,216 9,813 9,819 10,062 10,061 ケース4 3,872 3,562 3,783 4,275 5,195 5,370 5,233 5,252 5,245
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000
H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66
企業債残高(百万円)
( 年度)
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4
図5.2 投資計画の財政シミュレーション反映結果(企業債残高)
- 29 - 3)資金残高
どのケースでも資金残高は大きく減少しており、ケース1では平成44年度、ケー ス2では平成39年度、ケース3では平成41年度、ケース4では平成38年度に資 金不足となる。現状のままでは、資金不足となることが避けられない状況である(図 5.3参照)。
単位:百万円
H28 H32 H37 H42 H47 H52 H57 H62 H67
ケース1 895 1,125 1,317 724 -870 -4,097 -8,982 -15,325 -22,594 ケース2 895 1,125 291 -1,207 -2,956 -5,443 -8,868 -12,882 -17,368 ケース3 895 1,125 784 -247 -1,614 -4,050 -7,341 -10,828 -14,800 ケース4 895 1,125 174 -1,326 -2,743 -4,575 -6,944 -9,394 -12,093
‐25,000
‐20,000
‐15,000
‐10,000
‐5,000 0 5,000
H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66
資金残高(百万円)
( 年度)
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4
図5.3 投資計画の財政シミュレーション反映結果(資金残高)
5.2.3 収支均衡策の検討
これまで財源計画として、ケース1からケース4の4つの場合を想定して、将来の財 政状況を推計したが、この中からすべての財源を企業債に依存するケース1を除き、
資金不足となるまでの期間が最も長いケース3を用いて、関係部局との調整を行いな がら、計画期間中の収支均衡策について検討を行う。
1)各種条件の設定
検討にあたっては、独立採算制を採用する公営企業として、収益性を確保しつつも、
利用者への負担を極力抑え、水道事業の継続的な経営を行わなければならない。
そこで、表5.1に示す各種条件を踏まえ、検討を行うこととする。
- 30 - 2)検討結果
収支均衡策の検討結果を以下に示す。結果は、5.2.1 で設定したケース3を「当初 設定」とし、これを基に収支均衡の調整を行ったケースを「収支均衡策」として、
次より示す。
(結果の概要)
収入 ・ 計画期間中の一般会計繰入金の年度間調整により、計画期間中の水道料金改 定を回避することができる。
・ 計画期間後の収支均衡策については、今後も検討が必要である。
支出 ・ 県水受水等への切り替えに伴って浄水場の廃止を行う。
・ 更新基準に基づく更新事業費の平準化(P.25)を行い、各年度の投資を抑える。
・ さらなる経費削減については、今後も検討が必要である。
収益的収入
収益的収支は、当初設定では緩やかな減少傾向であるが、収支均衡策では、一般会 計繰入金の増加等によって収益的収入が増加傾向にあることがわかる。平成38年度 では、当初設定では 1,051 百万円、収支均衡策では 1,206 百万円の収益的収入とな る(図5.4参照)。
単位:百万円
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当初設定 982 1,117 1,103 1,118 1,108 1,098 1,090 1,087 1,082 1,073 1,051 収支均衡策 994 1,126 1,113 1,131 1,123 1,134 1,121 1,141 1,169 1,201 1,206
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
収益的収入(百万円)
( 年度)
当初設定 収支均衡策
図5.4 収支均衡策を反映した財政シミュレーション結果(収益的収支)
- 31 - 収益的支出
収益的支出は、当初設定と収支均衡策のどちらも、平成 34 年度以降は増加傾向に ある。平成38年度では、当初設定では1,134百万円、収支均衡策では1,200百万円 の収益的支出となる(図5.5参照)。
単位:百万円
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当初設定 940 1,115 1,107 1,082 1,073 1,061 1,048 1,065 1,092 1,121 1,134 収支均衡策 940 1,115 1,100 1,121 1,112 1,123 1,110 1,132 1,158 1,188 1,200
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
収益的支出(百万円)
( 年度)
当初設定 収支均衡策
図5.5 収支均衡策を反映した財政シミュレーション結果(収益的支出)
当年度純損益
当年度純損益(単年度黒字又は赤字を示す)は、現状のままでは平成 30 年度及び 平成36年度以降は財政収支が赤字となってしまう。収支均衡策を反映した場合、一 般会計繰入金等により財政収支の黒字を保つことができる(図5.6参照)。
単位:百万円
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当初設定 42 1 -4 35 35 36 41 21 -10 -48 -83
収支均衡策 53 11 12 10 10 10 10 9 10 13 5
‐100
‐80
‐60
‐40
‐20 0 20 40 60 80
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当年度純損益(百万円)
( 年度)
当初設定 収支均衡策
図5.6 収支均衡策を反映した財政シミュレーション結果(当年度純損益)
- 32 - 企業債残高
拡張事業および更新事業を行うにあたり、企業債にて資金調達を行っているが、起 債割合は現状のままでも収支均衡策でも同率であるため、2つのケースによる差は 生じない(図5.7参照)。
単位:百万円
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当初設定 3,872 3,750 3,692 3,659 3,562 3,454 3,861 4,273 4,687 5,099 5,465 収支均衡策 3,872 3,750 3,692 3,659 3,562 3,454 3,861 4,273 4,687 5,099 5,465
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
企業債残高(百万円)
( 年度)
当初設定 収支均衡策
図5.7 収支均衡策を反映した財政シミュレーション結果(企業債残高)
資金残高
平成 33 年度を境に、資金残高が増加傾向から減少傾向に転じている。収支均衡策 では、平成33年度以降の減少率が小さく、資金不足となる時期が先延ばしとなる傾 向にある(図5.8参照)。
単位:百万円
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
当初設定 895 941 980 1,049 1,127 1,202 1,138 1,044 928 789 616
収支均衡策 907 963 1,019 1,061 1,115 1,165 1,069 963 867 789 703
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38
資金残高(百万円)
( 年度)
当初設定 収支均衡策
図5.8 収支均衡策を反映した財政シミュレーション結果(資金残高)