【外国第 III 相臨床試験(REGARD 試験)における死亡例】
ラムシルマブ群の死亡例 2 例のうち、治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係を否定されず、死亡原 因が当該有害事象であると報告された 1 例を〔表 1〕に示す。
〔表 1〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 60代
転移性の胃又は 胃食道接合部腺 癌
事象名:胸痛、心筋梗塞
投与1日目 胃食道癌の治療のため、本剤8 mg/kg(392 mg)の投与を開始。
[初回投与の15日目(第2サイクル)に過量投与あり]
投与73日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
投与開始76日目
(最終投与4日後)
重労働後に胸中央部痛を感じ、鎮痛剤で一時痛みは和らいだもの の、次第に悪化。息切れは認められなかった。(グレード2の狭心 症)
投与開始83日目
(最終投与11日後)
救急受診。クレアチンキナーゼ及びトロポニン陰性、心電図上T波 異常、血圧79/55 mmHg、脈拍87、呼吸数16.6、体温35.2℃。
ニトログリセリン0.5 g舌下、モルヒネ硫酸塩5 mg及びメトクロプラ ミド10 mg静注の効果なく、ジクロフェナク75 mg筋注により痛みが 軽減。状態が安定し、帰宅。
投与開始84日目
(最終投与12日後)
胸痛が再発し、救急受診。グレード3の胸中央部疼痛で入院。
投与開始85日目
(最終投与13日後)
血圧120/75 mmHg、脈拍82、呼吸数16、体温36.4℃、ヘモグロビン 10.2 g/dL、ヘマトクリット28.7%、クレアチンキナーゼ373 U/L、白血 球数23.5×109/L、好中球絶対数22.13×109/L、リンパ球数 0.24×109/L、単球1.11×109/L、赤血球数3.60×1012/L、クレアチ ニン154 mol/L、尿素9.3 mmol/L、クロール75.3 mmol/L、ナトリウ ム112 mmol/L。凝固検査:部分トロンボプラスチン時間(APTT)比 1.72、APTT41秒、国際標準化比(INR)1.16。トロポニンI 0.2 ng/mL 以下、尿検査異常なし、胸部X線上心臓肥大。
感染の可能性及び脱水治療のため、セフロキシムナトリウム、メト ロニダゾール及びピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム の投与並びに補液の静脈内投与を開始。
投与開始86日目
(最終投与14日後)
死亡(血液及び尿の培養結果から、敗血症は否定的であった。)
既往歴:網膜色素変性症、高血圧、便秘、けん怠感、間欠性心窩部痛
併用薬:エナラプリル、bendroflumethiazide(本邦未承認)、(必要時)アセチルサリチル酸/コデインリン酸塩/パラセタモ ール、dextropropoxyphene hydrochloride(本邦未承認)/パラセタモール、銅/葉酸/鉄/ビタミンB/亜鉛
3. 重度の消化管出血の有害事象が報告されているため設定した。
「5.慎重投与内容とその理由」及び「8.副作用」の項参照
【国際共同第 III 相臨床試験(RAINBOW 試験)における死亡例】
治験担当医師によりラムシルマブ/パクリタキセルとの因果関係を否定されず、死亡原因が胃腸出血である と報告されたラムシルマブ群の死亡例 1 例を〔表 2〕に示す。
〔表 2〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 70代
胃腺癌 事象名:胃腸出血
投与1日目 胃癌の治療のため、本剤8 mg/kg、パクリタキセル80mg/m2の投 与を開始(1サイクル28日)。
投与43日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
最終投与後 強い脱力感及び胃腺癌による疼痛があった。グレード3の貧血に 対し、輸血を実施。
投与54日目
(最終投与12日後)
虚脱状態になり、全身状態が急速に悪化。腫瘍部位からとみられ る胃腸出血が原因とみられ、同日死亡。治療の有無は不明。
臨床検査値
検査項目 投与開始1日前 投与開始35日目 投与開始42日目 ヘモグロビン値 8.8 g/dL - 7.8 g/dL
血小板数 225/nL - 302/nL
国際標準化比(INR) 1.1 1.1 -
Quick一段法 89% 92% -
部分トロンボプラスチン
時間(APTT) 58秒 59秒 -
合併症:肺転移 既往歴:貧血
併用薬:ヒドロクロロチアジド、metamizol(本邦未承認)
【外国第 III 相臨床試験(REGARD 試験)における死亡例】
治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係を否定されず、死亡原因が食道ステントであると報告された ラムシルマブ群の死亡例 1 例を〔表 3〕に示す。
〔表 3〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 60代
胃食道癌 事象名:胃出血
投与開始10日前 体重減少及び栄養状態改善のための食道ステント留置。
投与1日目 胃食道癌の治療のため、本剤8 mg/kgの投与を開始。
投与41日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
投与43日目
(最終投与3日後)
患者は1回嘔吐し、少量の黒い液体を吐出。患者は診察のため、
一般開業医を受診。患者にはメレナの病歴なし。患者は帰宅し、
数日後にフォローアップが予定された。
投与44日目
(最終投与4日後)
家で大量出血し、倒れているのを発見され、同日死亡。食道下部 ステント留置と関連あり。患者は、放射線治療後の壊死及びステ ント留置により生じた血管びらんによる食道出血のため死亡した。
臨床検査値
検査項目 投与開始
11日前
投与 1日目
投与 40日目
投与 41日目
プロトロンビン時間 13.6 - - 14.2
国際標準化比(INR) 1.01 - - 1.07
部分トロンボプラスチン
時間(APTT) 27.6 - - 31.9
ヘモグロビン 138 109 119 -
赤血球数 4.37 3.48 4.0 -
血小板数 270 324 388 -
好中球数 4.1 - 8.11 -
平均赤血球容積(MCV) - 91 92 -
既往歴:化学療法、放射線療法歴あり
併用薬:エソメプラゾールマグネシウム、オキシコドン塩酸塩、movicol(本邦未承認)、鉄剤、パラセタモール及び塩酸メトク ロプラミド
4. 消化管穿孔の有害事象が報告されているため設定した。
「5.慎重投与内容とその理由」及び「8.副作用」の項参照
【外国第 III 相臨床試験(REGARD 試験)における死亡例】
治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係を否定されず、死亡原因が腸管穿孔であると報告されたラム シルマブ群の死亡例 2 例を〔表 4〕〔表 5〕に示す。なお、国際共同第 III 相臨床試験(RAINBOW 試験)において、
穿孔による死亡例が 1 例認められているが、治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係が否定されている。
〔表 4〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 50代
胃癌 事象名:腸管穿孔
投与開始前 心窩部灼熱感のためクリニックを受診し、検査の結果、胃切除 施行。腸管穿孔の明らかな危険因子はなかった。
投与1日目 胃癌の治療のため、本剤の投与を開始。
投与57日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止(第5サイクル)。
理学的検査の結果、背部痛が認められた。
投与64日目
(最終投与8日後)
2日間続く腹痛と排便不能を訴え、緊急治療室を受診し、精査の ため入院。検査の結果、触診で右側に圧痛があり、腹部の膨張 が認められた。
投与69日目
(最終投与13日後)
腹部及び恥骨等骨盤近傍の超音波検査の結果、大腸にガスの 膨満と便が認められた。浣腸剤、エノキサパリンナトリウム、カ ルシウム/グルコース/マグネシウム/カリウム/ナトリウム
(isolyte)、pantoprazole sodium(本邦未承認)、メトクロプラミド、
イオプロミド及びジクロフェナクを投与した。直腸検査と浣腸の 後、大量のガスと便を排泄した。経過観察中、患者の訴えは減 少し、経口摂取が可能になった。全身状態は良好で、検査所見 は安定しており、経口投与による治療後に回復を確認し、退院。
同日、腹痛が再発し、他院に再度入院。
投与70日目
(最終投与14日後)
腹痛は腸穿孔の症状と診断。経過観察中、腹部膨満は悪化。
呼吸困難が悪化し、酸素飽和度が84%に低下したため、2 Lの酸 素吸入が行われた。呼吸困難が継続し、腹部膨満が悪化したた め、バイタルサインを厳密に管理し、人工呼吸器による補助を 行うために集中治療室に移動した。全身麻酔下で試験開腹し、
緊急で半結腸切除術を実施。腹部に大量の便があり、結腸全 体が青白く、虚血状態であった。虚血所見は特に盲腸で進行し ていた。盲腸から約1.5 cmの部分に壊死と穿孔が認められた。
手術中に、盲腸内に1.9 cmの穿孔が認められた。穿孔部分に腫 瘍は認められなかった。穿孔した腸でリンパ節の明らかな腫脹 は認められなかった。腫瘤病変は認められなかった。右半結腸 切除術の際に造孔術施行。切除標本の病理検査の結果、盲腸 に4×3.5 cmの穿孔が認められた。腸間膜組織から分離したリ ンパ節の18個中13個に印環細胞癌が認められた。投与63日目 の入院理由となった腹痛は、手術中に診断された腸穿孔による 症状であった。
投与71日目
(最終投与15日後)
患者は集中治療下にあり、抗生物質と昇圧剤[チゲサイクリン、
セフォペラゾンナトリウム/スルバクタムナトリウム、セボフルラ ン、netilmicin sulfate(本邦未承認)、ネオスチグミン、リネゾリ ド、etomidatesulfate(本邦未承認)、ロクロニウム臭化物、
anidulafungin(本邦未承認)、ドパミン、総合ビタミン、アトロピン、
アセチルシステイン、アルブミン等]が投与された。新鮮凍結血 漿、赤血球輸血、人工肛門ケア、フォーリーカテーテル、動脈の モニタリング、非経口的栄養剤の最大量への増量、人工呼吸器 による補助が行われた。
投与72日目
(最終投与16日後)
腸穿孔に関連する多臓器不全及び敗血症(いずれも穿孔による ものであり、重篤な有害事象としては報告されなかった)のた め、死亡。
臨床検査値
検査項目 投与
68日目
投与 69日目
投与 70日目
投与 71日目
ALT 21 42 - -
アルブミン 3.3 2.0 - -
アルカリホスファターゼ 72 - - -
アミラーゼ 33 - - -
AST 34 62 - -
総ビリルビン 0.5 - - -
-GTP 34 18 - -血糖 153 62 - -
BUN 18.692 38.785 - 47.196
クレアチニン 1.2 2.0 - -
マグネシウム 2.0 - - -
カリウム 3.8 - - 5.0
ナトリウム 135 - - 148
白血球数 5.9 1.7 3.7 6.8
ヘモグロビン 12.8 11.2 13.0 11.5
ヘマトクリット 38.0 34.6 38.4 -
血小板数 265 148 48 82
好中球数 5.3 1.0 3.3 -
トロポニン - 0.02 - -
プロトロンビン - 15.60 - 19.56
INR - 1.42 - 1.81
既往歴:関節痛、消化不良、扁桃摘出
併用薬:カフェイン/コデインリン酸塩/パラセタモール、シアノコバラミン、グラニセトロン塩酸塩及びトラマドール塩酸塩
〔表 5〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 60代
胃癌 事象名:大腸穿孔
投与1日目 本剤の投与を開始。
投与14日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止(2サイクル投与)。
来院時に、腹痛とそう痒症があった。
投与24日目
(最終投与11日後)
グレード4の結腸穿孔のため入院。腸閉塞を疑って行なったX線 検査及びCTスキャンで肝角(結腸穿孔肝角)に気腹が認められ た。原疾患の増悪(新病変:腹膜がん症)が認められたが、重篤 な有害事象とは判断されなかった。患者は入院を継続し、腹痛 に対する治療を受けたが、臨床検査や画像診断は行われなかっ た。本事象は未回復であった。外科医は患者の病態から手術適 応ではないと判断し、対症療法が行われた。
投与36日目
(最終投与23日後)
結腸穿孔のため死亡。死亡直前に腹痛とそう痒症が認められ た。新病変の腹膜がん症による原疾患の増悪が認められたが、
治験担当医師は本事象が治験薬に関連するものであると考え た。
既往歴:慢性閉塞性肺疾患、痛風、結腸憩室症及びポリープ 併用薬:なし