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調査統括と提言

が杜氏を勤め家族の手でこだわって造ることであった。その一方では、旧来の製法にこだわりな がら、新しい時代にあうテイストの酒作りを研究・試作にも取り組んでいる専務の経営姿勢に強 い共感を覚えた。

5.   地域イベントと波及効果 

  この千葉県は各地域で特色ある歴史と文化が根付く大地である。黒潮は温暖な気候を提供し、

農業、林業、水産業、畜産業が盛んである。その規模は質量とも全国上位に位置している。関東 という大消費地域にあるため、食の生産・加工・流通基地として大きく発展する可能性を秘めて いる。また自然再生の取組が効果を表し印旛沼周辺ではコウノトリプロジェクトが検討されてい る。豊かな自然回復への歩みは、多くの県民や訪問客に憩いと安らぎを与える身近な故郷になる であろう。

6. 観光客入込数の伸び悩み 

  南房総地域における観光客入込数は、ピーク時の1,400万人規模から減少し、1,200万人台後 半まで落ち込み伸び悩みが続いている。これまでに個店により展開してきた売り上げ拡大諸施策 は飽和状態に達してきており、来年以降の高速道路・自動車道路網完成や県等行政と連携した観 光振興への取組みによる観光客増加は期待できるものの、中長期的に特産品流通ビジネスを安定 的・持続的に拡大させていくためには独自の強みを活かした経営革新(イノベーション)が望ま れるところであろう。

7. 競合状況 

  千葉県内の「道の駅」を取り巻く競合状況は、需要サイドの観光客入込数の落ち込み同様、厳 しい状況にあるといえる。他業態との競合はもちろんのこと、南房総地域にみられるように同一 業態間でのカニバライゼーション(共食い)が懸念される地域もあり、各「道の駅」ごとのオリ ジナリティの発揮と地域一体となった集客活動の展開が今後ますます重要になってくると考えら れる。

8. 新商品開発 

特産品の新商品開発は、①季節性や生産の変動性などのマイナスの要因の克服や商品の幅を広 げ売上拡大・顧客満足向上につながる特産品の特徴を活かした加工品の開発すること(=ハード グッズ)、②加工品の製作だけにとどまらない消費者参加による(消費者の体験を加えた)商品を 開発すること(=ハーフグッズ)、③地域全体で消費者が地域イベントの参加や地域施設の利用を 通じて、商品の購入や商品作りへ消費者参加を促すこと(=ソフトグッズ)、④消費者に商品の魅 力・特徴を伝えて、商品を消費者に届けること(=マーケティング)、といった幅広い視点に立っ た上での特産品の新商品開発が求められてくるのではないだろうか。

9. 共同事業の対応 

地域と行政が足りない部分を補完しあうことで相乗効果を生み出す。これが「道の駅  とみう ら」の成功要因であるといえる。地域特産品の成功には、民で培われた経営感覚と、官による地 域経済活性化の目標のふたつをあわせ持つことが不可欠なのである。

以上、400万人の大消費地と国内トップクラスの大生産地をつなぐ千葉県内地域特産品流通に は、いろいろな課題が考えられる。我々は、今回の調査・研究を通して得たノウハウを活用し、

様々な局面において積極的な支援を行っていきたいと考えている。

(布 施 光 義)

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