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→  要介護状態などで長期療養が必要となった時、主にどこで過ごしたいかという問いに対して、自ら の場合も、家族の場合も全体としては、ほぼ同様の結果となっています。

    男女別でみると、自らの場合、男性は女性よりも「自宅」、女性は男性よりも「介護施設」が高いと いう結果となり、家族の場合はその逆となりました。女性は家族の負担を考え、自分は介護施設を望 み、家族はなるべく自宅で看たいと考えていることが推測されます。また、「自宅」以外を選択する理 由は、どちらも「家族に負担や迷惑がかかる」が最多で、自らの場合は「仕事をやめないといけなく なる」、家族の場合は「急に病状が変わった時の対応が不安」が次に一番多い結果となっています。

かかりつけ薬局、お薬手帳、薬局の選択について 

○ かかりつけ薬局について、「かかりつけ薬局を持っている」は約3 割、「いつも調剤してもらう薬局は ほぼ決まっている」をあわせると約 7 割。 

○ お薬手帳について、「利用している」は約 7 割、「知っている」をあわせると約 9 割。 

○ 薬局を選ぶ上で、「かかっている医療機関(病院・診療所)に近い」を最も重要視。 

→  「かかりつけ薬局をもっている」の割合は、60歳代以上で50歳代未満と比べ高い。20歳代から60 歳代では「かかりつけ薬局といえる薬局はないが、いつも調剤してもらう薬局はほぼ決まっている」

の割合が高く、また、50歳代のみ「そのような薬局はない」の割合が高いという結果となっています。

    お薬手帳は、全ての年代において、「利用している」割合が6割を超える結果となっています。また、

薬局を選ぶ際には「かかっている医療機関(病院・診療所等)に近い」「自宅から近い」「通院できる 状態の時にかかりつけていた薬局」が「重要」「やや重要」の割合が高く、薬局自体の機能というより は、利便性を重視する結果となっています。

終末期医療について 

 

○ 人生の最期を過ごしたい場所は「自宅」が最も多く約4割、「緩和ケア病棟」約 3 割、「病院で入院を 継続」約 2 割。 

○ 男女別では、男性は「自宅」、女性は「緩和ケア病棟」を希望。 

→  全体では、「自宅」が最も多く、「緩和ケア病棟」「病院で入院を継続」「介護施設」と続きます。

自らが要介護状態となった場合にどこで過ごしたいですかの結果と比較すると、「自宅」が一番多く なり、その割合も増加しています。また、男女ともに「自宅」の割合が増加しますが、男女間の比較 では、男性は「自宅」を、女性は「自宅」以外(要介護時の介護施設、終末期の緩和ケア病棟)を希 望する結果となっています。

年齢別では、50 歳代、60 歳代で「自宅」よりも「緩和ケア病棟」を希望し、「病院で入院継続」の 割合は年代が上がるごとに増加する結果となっています。

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延命治療、延命治療等の希望をあらかじめ記載する書面(リビングウィル等)の作成について 

○ 「延命治療を望まない」は約 6 割、「どちらかと言うと望まない」を合わせると約 8 割。 

○ 「リビングウィル等を作成したい」は約 5 割、「分からない(どちらともいえない)」が約 3 割 

→  性別、年代、世帯、生活圏域、全ての分類において、「延命治療を望まない」の割合が高く、年代が 上がるごとに増加する傾向にあり、わからない(どちらともいえない)は、年代が上がるごとに減少 する傾向という結果となっています。リビングウィルなどの作成については、年代別において20歳代

〜60歳代で「作成したい」が5割を超えており、80歳代のみ「どちらともいえない」が「作成したい」

を上回る結果となっています。

小児救急医療について 

○ 出雲休日・夜間診療所を「利用したことがある」は約 3 割、「知っている」と合わせて約 9 割。 

〇島根県小児救急電話相談事業(#8000)を「知らない」は約 7 割。 

〇夜間・休日に体調不良となった場合(医療機関での受診が必要だと思うが、何とか自力で医療機関に 行ける程度)の対応は「とりあえず県立中央病院や島根大学付属病院等の救急外来に行く」が約4 割 で最多。 

→  出雲休日・夜間診療所は性別、年代、世帯、生活圏域の分類を問わず、「利用したことがある」また は「知っている」が最多となっています。その一方で、島根県小児救急電話相談事業(#8000)は性 別、年代、世帯、生活圏域の全ての分類において「知らない」の割合が高い結果となっています。ま た、夜間・休日に体調不良となった場合の対応は、「とりあえず県立中央病院や島根大学付属病院等の 救急外来に行く」の次に「自分の知っている夜間や休日に対応可能な医療機関を受診する」の割合が 高く、「かかりつけ医に問い合わせて相談する」は年代が進むごとに高くなる傾向となっています。こ れら、救急医療の対応は、出雲市における医療介護提供体制の評価(救急医療の充実)の結果につな がっていると推測されます。

出雲市における医療介護提供体制について 

 

〇「在宅医療が充実している」「地域で介護サービスが受けられる体制が整っている」「医療(医療機関 のかかり方、救急医療の利用など)に対する情報が十分提供されている」は「とてもあてはまる」は 1 割未満、「やや当てはまる」をあわせても約 4 割から 5 割。 

〇「救急医療が充実している」については、「とても当てはまる」約2 割、「やや当てはまる」をあわせ て約 7 割。 

→  出雲市は、全体として比較的医療・介護資源に恵まれている地域と言われていますが、救急医療 以外はあまりそのように思われていないという結果となっています。また、救急医療については、 

 

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出雲休日・夜間診療所の認知度が高いことや、県立中央病院、島根大学医学部付属病院等の救急外 来が充実していることから、比較的高い評価となったと推測されます。在宅医療の充実については、

「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を合わせて約4割となっています。その一方で、別の問に おいて、自宅で療養を継続できる体制を社会全体で進めていくべきと約7割の方が考えており、ま た、自宅等で療養するにあたって必要な情報は「訪問診療・看護やヘルパーなど在宅ケアサービス について」「医療機関・医師の対応できる疾患・専門分野について」という結果となっています。こ れは在宅医療・介護を受けることについてどのようなイメージを持つかという問いにおいて、「とて も思う」、「やや思う」の回答が多かった「在宅でどのような医療をうけられるか分からない」「在宅 でどのような介護のサービス利用ができるかわからない」「訪問看護でどのようなことがしてもらえ るのかがわからない」と結びつく結果となっています。医療等の情報が市民に十分提供されていな いと考えられます。

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〜おわりに〜

 

    今回の在宅医療等に関する市民意識調査の結果から、市民には、在宅医療・介護サービスの内容に ついて十分に理解されていないことや、家族の介護力や経済的負担など、在宅での生活に不安を持つ 人が多いといった様々な課題があることが分かりました。 

市としては、まず、医療・介護関係者間でアンケート結果から見えてきた課題を共有し、対応策を 検討していく必要があると考えています。そして、市民が、在宅でどのような医療や介護が受けられ るか、正しく理解してもらうこと、さらには、在宅医療・介護サービスが不十分な地域や、介護する 家族、独居等で介護をする人がいない高齢者等を支えていくための体制の構築が重要と考えています。 

    具体的には次の点が、今後重点的に取組むべき項目と考えています。 

 

〇医療・介護関係者間での課題の共有と問題解決に向けた対応策の検討 

    ・  医療・介護機関や団体の代表者等で構成する、在宅医療・介護連携推進連絡会議において、ア ンケート調査結果から見えてきた課題の共有及び、問題解決に向けた対応策の検討。 

・  アンケート結果の公表等、市民がかかりつけ医や薬局を選択するうえで重要と考えていること 等について関係機関、団体等への情報提供。 

   

〇かかりつけ医や在宅医療・介護に関する普及啓発の強化 

    ・  コミュニティセンターや町内会単位を基本として、直接市民と意見交換をおこなう在宅医療座 談会や講演会等の開催。 

・  事例検討会等の在宅医療・介護に関する研修を通じ、関係者間での情報共有、事例等への共通 認識の形成等「顔の見える関係」の強化。 

・  市民や関係者からの在宅医療・介護に関する相談等に対応できる体制の充実。 

 

〇在宅医療・介護サービスの提供が不十分な地域における体制の構築 

・  市内北部の海岸部や南部の山間部等の条件不利地域を対象とした訪問診療・訪問看護確保対策 事業など、安心して在宅医療・介護サービスを受けることができる体制の構築。 

 

〇在宅療養を地域の住民が相互で支え合う体制の整備 

・  高齢化に伴い、独居や高齢者の夫婦のみの世帯が増加し、支援を必要とする高齢者が増加する ことから、生活支援や介護予防サービスについて地域の住民相互による支えあいの体制作り。 

 

以上のような項目を重点的に取り組むべき項目として、引き続き、関係のみなさまのご意見やご協 力をいただきながら、出雲市らしい地域包括ケアシステムの構築に向けたまちづくりを進めていきた いと考えています。 

   

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