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本調査から得られた示唆

ドキュメント内 博物館登録制度等に関する調査研究報告書 (ページ 44-49)

6. 博物館登録制度への考察

6.1 本調査から得られた示唆

理由を登録基準の充足状況、および、それ以外の理由の有無に応じて整理すると次表のとお りである。

図表 6-1 博物館登録基準の充足状況とそれ以外に登録を希望しない理由の有無(N=152) 登録基準 登録基準以外の登録を希

望しない理由の有無

該当する博物 館の割合

満たしている 無し 5.9%

満たしている 有り 25.7%

満たしていない 無し 27.6%

満たしていない 有り 40.8%

これにより、登録基準を満たしていないことのみの理由で登録を希望しない館が 27.6%で あるのに対し、登録基準の充足状況の如何に関わらず、それ以外の理由により登録を希望し ない館が 66.5%に上ることがわかる。

登録を希望しない理由として、「登録の基準のうち設置者用件を満たしていない」(博物館 相当施設と博物館類似施設の合計 335 館の 28.7%)、「登録に必要な学芸員がいない」(同 22.1%)に加え、「登録博物館であることにメリットが感じられない」(同 23.9%)が上位を 占めている。この結果から、前項で述べたメリットが博物館に理解されていない、もしくは、

登録促進のためのインセンティブとして十分に機能していないと考えることができる。

一方、海外に目を向けると、海外における登録に類する制度においては、アメリカの AAM 基準認定制度や、イギリスの MLA 博物館登録制度で見られるように、優秀な館の認定、博物 館全体の活動の質のボトムアップなど、制度の目的が明確であり、かつ、寄附金を受けやす くなる、助成金を受けやすくなる、といったメリットがある。このため、制度の目的の明確 化、およびその目的に応じたメリットの設定は、我が国の登録制度においても検討すべき課 題と考えられる。

(2) 登録博物館に対する資料の種別に応じた優遇・充実方策等の検討の必要

-

重要文化財・国宝の展示や、収蔵品輸送時の付保、稀少資料の入手など展示面での登

録博物館への支援

-

収蔵品の寄附を受ける際の相続税や、展示品の輸入時における関税の減免措置など、

税制上の優遇措置

-

登録博物館のみを対象とした広報普及支援の実施

登録制度に希望する利点に関する設問においては、「重要文化財・国宝の展示に関する登録

実施」、「展示品の輸入時における関税の減免措置」を期待するメリットとして挙げている。

ただし、重要文化財、国宝の展示に関する優遇措置と同様、館種ごとに回答にばらつきが みられる点に留意が必要と考えられる。次表には「強く希望」および「やや希望」と回答し た博物館全体、および「総合博物館」、「歴史博物館」、「美術博物館」、「動物園、植物園、動 植物園、水族館」の館種別の割合を整理した。

図表 6-2 博物館登録制度に対する期待(抜粋、館種別)

合計 (N=514)

総合博物館 (N=57)

歴史博物館 (N=228)

美術博物館 (N=112)

動物園、植物 園、動植物 園、水族館

(N=46) 重要文化財・国宝の展示に関する登

録博物館への優遇措置

63.4% 70.2% 63,6% 74.1% 43.4%

収蔵品の寄附を受ける登録博物館に 対する相続税の優遇措置

60.5% 66.7% 57.9% 73.3% 39.2%

登録博物館の収蔵品輸送における、

公的な付保の実施

66.0% 68.4% 66.3% 74.1% 50.0%

展示品の輸入時における関税の減免 措置

53.5% 52.6% 50.8% 63.4% 50.0%

この結果を見ると、関税の減免措置を期待する声が美術博物館において際立って高いほか、

その他の利点においては動物園、植物園などとそれ以外の博物館では回答に明確な差が見ら れることから、館種に応じたきめ細かな配慮が望ましいと考えられる。実際、「動植物の輸入 手続きなど、稀少資料の入手における優遇措置」を登録制度に期待する利点としてあげた動 物園、植物園などが 73.9%に達しているのに対し、総合博物館では 45.6%、歴史博物館では 36.4%、美術博物館では 29.5%にとどまっている。

また、博物館登録制度に対する期待として、「登録博物館のみを対象とした広報普及支援の 実施」25を「強く希望」もしくは「やや希望」と回答した館は、この質問に対する回答館(514 館)の 56.6%、現在は登録していないが登録を希望している館の 65.4%を占めた。こうした 結果から、登録博物館への広報の支援も、登録博物館制度の利用促進につながると考えられ る。

(3) 登録博物館に対する財政面での優遇措置の充実方策の検討の必要

-

登録博物館への寄附金の寄附者に対する寄附金控除

-

助成金、補助金等の審査等における優遇措置

-

私立登録博物館における税制上の優遇措置の維持

-

登録博物館の不動産取得などに関する地方税法上の優遇措置

アンケートにおいて、回答館全体、また、現在は登録博物館ではないが登録を希望してい る館のうち、「登録博物館への寄附金の寄附者に対する寄附金控除」、「助成金、補助金等の審

25 全国の登録博物館を掲載した公式リストの作成と公開や、登録博物館であることを示すパネルを建物に表示す る制度などが想定される。

査等における優遇措置」、「私立登録博物館における税制上の優遇措置の維持」、「登録博物館 の不動産取得などに関する地方税法上の優遇措置」を希望すると回答した館の割合は次表の とおりである。

図表 6-3 博物館登録制度に対する財政面での期待

合計(N=514) 登録を希望する 博物館(N=55)

登録博物館への寄附金の寄附者に対する寄附金控除 64.1% 63.6%

助成金、補助金等の審査等における優遇措置 70.5% 81.9%

私立登録博物館における税制上の優遇措置の維持 53.7% 50.9%

登録博物館の不動産取得などに関する地方税法上の 優遇措置

53.1% 61.8%

「登録博物館への寄附金の寄附者に対する寄附金控除」については、全回答館 514 館のう ち、64.1%が「強く希望」、もしくは「やや希望」と回答しており、登録を希望する博物館も 63.6%と概ね同じレベルでの回答が寄せられている。その一方、「助成金、補助金等の審査な どにおける優遇措置」を「強く希望」もしくは「やや希望」と回答した館の割合に関しては、

全体と登録を希望する館の間で 10 ポイント以上の差が開いている。このほか、「私立登録博 物館における税制上の優遇措置の維持」についてはほぼ同一のレベルであるが、「登録博物館 の不動産取得などに関する地方税法上の優遇措置」は回答館全体と、登録を希望する博物館 の間で 10 ポイント近い差が開いている。

この結果を見る限りでは、博物館の財政面の支援に対する関心は総じて高いが、登録を希 望している館の期待を考慮すると、助成金、補助金等の審査における優遇措置が登録制度の 利用促進に向けたインセンティブになりうると考えられる。

(4) 現行の登録制度における登録基準のさらなる検討の必要

-

登録の基準の運用方法、ルールの明確化

-

各博物館の活動の特性に応じた基準の適応

博物館登録基準についての設問は、「登録申請資格の設置主体の限定を撤廃する」、「館種 の主たる活動別に複数の登録基準を設ける」、「現在の外形基準を柔軟化する」、「登録の基 準を明確にする」の 4 つの項目について 4 段階で賛否を調査した。最も賛成が多かった項 目が、「登録の基準を明確にする」、すなわち、登録基準の運用方法、ルールの明確化に係

もしくは「やや賛成」と回答している。現状の登録制度の外形基準は設置者、建物床面積、

年間開館日数など極めて少ない規定しか設けていないが、ヒアリングでは「古屏風のよう に、コレクション劣化防止の観点から、展示日数が制限され、開館日数が限られる博物館 も、そのコレクションや活動の内容によっては登録されても良いのではないか」との指摘 が寄せられた。こうしたことから、各博物館の活動内容に応じた基準を適用することに、

一部ではニーズがあるものと考えられる。

「登録申請資格の設置主体の限定の撤廃」については、全回答館の 77.6%が回答を寄せ、

44.6%(回答館の 57.7%)が「賛成」もしくは「やや賛成」と答えている。上記の二項目 に比較すると相対的には低い割合である。しかしながら、本項目に「賛成」もしくは「や や賛成」と回答した館に対して、登録申請資格を与えるべき団体について質問したところ、

「国立施設」、「独立行政法人」、「自治体首長部局所管施設」、「大学」、「一般財団法人」、「企 業」すべてについて概ね 60%以上、特に「国立施設」、「独立行政法人」、「自治体首長部局」

については 80%近く、もしくはそれ以上の割合で登録申請資格を与えるべきとの回答を得 た。「登録申請資格の設置主体の限定の撤廃」に関しては 32.9%(回答館の 42.3%)が「反 対」もしくは「やや反対」と回答しており、賛否が分かれるものの、選択肢のすべての団 体について極めて高い割合で「登録申請資格をあたえるべき」としていることから、本項 目については、さらなる検討が必要と考えられる。

(5) 登録博物館の質の保証基準の検討の必要

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登録基準への「展示、公開」、「収集、保管」、「調査、研究」に関する項目の追加

-

博物館による学習支援、学校教育の援助など、従来の博物館の活動とは異なる項目の追

加の検討

博物館登録の基準に関し、博物館の活動の質を保証するために、必要と考えられる登録 基準の内容に関する設問においては、博物館の中心的な役割である、「展示、公開」、「収集、

保管」、「調査、研究」に関して高い賛同が得られた。全回答館 545 館のうち 75~80%の博 物館が、「展示、公開」、「収集、保管」、「調査、研究」に関する項目が、博物館活動の質を 保証するうえで、博物館登録基準に盛り込むことが「必要」もしくは「やや必要」である と回答している。その他の選択肢、すなわち、「案内書の作成などの出版事業」、「講演会、

講習会、上映会」、「他の博物館等との連携」、「児童生徒の学習支援」、「学校教育の援助」、

「他の社会教育施設との連携、協力」などの事業についても、全て回答館の 50%以上が「必 要」もしくは「やや必要」と回答している。特に「児童生徒の学習支援」と「学校教育の 援助」に関しては、65%以上の館が「必要」もしくは「やや必要」と回答している。

なお、博物館の活動には館種による分類など、多様な広がりがあり、かつ、各館の実態 に対応した基準に対する要請もある。こうしたことから、このような基準を導入する際に は、画一的な基準を博物館に押し付けることにならないよう配慮することが必要であると 考えられる。

ドキュメント内 博物館登録制度等に関する調査研究報告書 (ページ 44-49)

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