第 4 章 火炎のレンダリング
4.6 調整と拡張
本研究では,調整容易性を重視しているため,リピートレベルとアルファテスト閾値に よる比較をそれぞれ示す.本手法は,この2つのパラメータで直感的に調整することがで きる.また,既存APIによる実装は拡張が容易であり,拡張例として煙の付加とラインの 描画を示す.
4.6.1 リピートレベル
リピートレベルが多いほど描画精度は向上するが,レンダリング時間も増加するため,要 求されるフレームレートや使用しているハードウェアに応じて調整する必要がある.観察 者自身の残像効果も強く発生するため,比較的少ないリピート回数でも,高速にレンダリ ングが行われると火炎らしさが生成しやすい.比較画像を図4.5に示す.
(a)リピートレベル1 (b)リピートレベル10 (c)リピートレベル20
図4.5:リピートレベルによる画質比較
リピートレベルが増えるに従い,粒子から構成されている印象が薄くなる.
4.6.2 アルファテスト閾値
アルファテスト閾値が低いと,多くの画素が合格してしまうため,繰り返し投影,平均 化されると,不透明に近づいていく.アルファテスト閾値が高いと,多くの画素が不合格 となるため,繰り返し投影,平均化されると,透明に近づいていく.すなわち,アルファ テスト閾値の調整は,不透明度の調整と等価な処理となる.比較画像を図4.6に示す.
4.6.3 煙の付加
一定温度以下の物理粒子を,同様にレンダリングすることで,簡易的な煙の表現も可能 となる.煙の色は一般にグレースケールに近いため,ユーザがこれを指定することとする.
この煙は散乱を考慮していないが,火炎境界が滑らかになる.比較画像を図4.7に示す.
(a)閾値0.25 (b)閾値0.50 (c)閾値0.75
図4.6:アルファテスト閾値による不透明度の比較
アルファテスト閾値を上下させることで,不透明度の調整と等価な処理となる.
(a)煙描画あり (b)煙描画なし
図4.7:煙の有無による比較
煙を用いることで,火炎境界が滑らかになる.
4.6.4 ラインの描画
入力データとして,速度ベクトルが入手可能である場合は,ラインを描画することで,動 的な印象を生成することが可能である.粒子が1点を指定するのに対し,ラインは2点を 指定するだけの違いであるため,同様の枠組みで処理することができる.比較画像を図4.8 に示す.
(a)ライン描画あり (b)ライン描画なし
図4.8:ラインの描画による比較 ライン描画のある方が動的な印象を生成する.