6. 解決手法のまとめと考察
6.2 課題の解決による効果
課題を解決することで,検証作業をコントールでき,品質を確保して期間内での検証を完了でき る.提案した各アクティビティにおける課題の解決手法とその効果を表 36 に整理する.
表 36. 課題解決による効果
アクティビティ 解決手法 効果(到達点)
計画 手法 1
(検証作業の合理化に よる検証期間の削減)
検証計画:1 ヶ月
従来手法で要する期間:2 ヶ月 提案手法での実績:1 ヶ月
計画したスケジュール どおりの検証の実現
事前のリスク軽減 手法 2
(検証作業の合理化に よる検証期間の削減)
検証計画:5 ヶ月
従来手法で要する期間:約 6 ヶ月 提案手法での実績:5 ヶ月 手法 3
(検証作業の合理化に よる検証期間の削減)
検証計画:5 ヶ月
従来手法で要する期間:約 7 ヶ月 提案手法での実績:5 ヶ月 テ ス ト ケ ー ス
生成
手法 4
(検証項目の重要度付 けによる検証精度と検 証期間とのトレードオフ のコントロール)
検証計画:5 ヶ月
従来手法で要する期間:約 8 ヶ月 提案手法での実績:5 ヶ月
品質を確保して網羅 的な検証項目の半分 以下の工数での検証 完了
テ ス ト 環 境 の 開発
手法 5
(検証作業の合理化に よる検証期間の削減)
検証計画:7 日
従来手法で要する期間:0.5 ヶ月 提案手法での実績:7 日
検証実施時間の短縮
再実施のない検証の 実現
手法 6
(検証作業の合理化に よる検証期間の削減)
検証計画:0
従来手法で要する期間:0.5 ヶ月 提案手法での実績:0
1 点目の課題「大量な検証データの早期データ準備」の解決手法は,手法1「I/O デバイスをチ ューニングした高速データ登録手法」である.手法1は,ネットワーク I/O には「TCP バッファのサイ ズを 1.5 倍」にするチューニングを適用して性能要件以上の書き込み速度の実現し,ディスク I/O には「Merge Compaction の実行契機のランダム化」のチューニングを適用してスループットを安定 させることで,高速登録を実現した.手法 1 により,検証期間を削減でき解決手法の適用前では約 2 ヶ月要するところ,適用後では計画どおり 1 ヶ月の期間内で完了させることができた.
2 点目の課題「検証実施時間の見積もり精度向上」の解決手法は,手法 2「大量データ観点の事 前検証による見積もり精度向上手法」である.手法 2 は,大量にリソースを使用する検証の観点で 類似の項目が 2 項目以上ある場合,そのうち 1 項目を代表的な項目として事前に検証を実施する ことで見積もり精度の向上を実現した.手法 2 により,検証期間を削減でき解決手法の適用前では 約 1 ヶ月の遅れを生じていたが,適用後では計画どおり 5 ヶ月の期間内で完了させることができ た.
3 点目の課題「効率的にバグ摘出するマシン台数分割による検証実施」の解決手法は,手法 3
「検証マシン台数分割と段階的検証による検証実施手法」である.手法 3 は,検証マシンを分割し,
マシン台数が小規模から大規模までの数段階の検証環境に検証項目の内容に応じて項目を割り 当てて段階的に検証することで,問題の解析を容易にすることができ効率的な検証を実現した.手 法 3 により,検証期間を削減でき解決手法の適用前では約 7 ヶ月要するところ,適用後では計画ど おり 5 ヶ月の期間内で完了させることができた.
上記のとおり,計画のアクティビティでは,上記 3 つの課題を解決することで,検証期間を削減で き,かつ事前のリスクを軽減し,計画したスケジュールどおりの検証をすることができた.
4 点目の課題「大量な検証項目の項目削減と期間内の検証完了」の解決手法は,手法 4「システ ム特徴と問題発生傾向による項目削減と重要度による期間内検証手法」である.手法 4 は,重要な 検証観点を大規模分散処理システムの特徴である「資源効率性」,「障害許容性」,「回復性」に絞 り込み,さらに発生した問題を中心とした項目に絞り込むことで 1/4 に削減した.そして,計画した 期間で重要度の順に検証した.手法 4 により,検証精度と計画した検証期間とのトレードオフをコン トロールでき解決手法の適用前では 8 ヶ月要するところ,適用後では計画どおり 5 ヶ月の期間内で 完了させることができた.この作業のコントロールにより,品質を確保して網羅的な検証の約半分の 工数で検証を完了することができた.
5 点目の課題「性能確認や機能確認の効率化」の解決手法は,手法 5「データ生成とログの出力 を組み込んだテストドライバ(TP)の作成手法」である.手法 5 は,プログラムの機能とデータの読み 書きの性能を確認できるように,(1)作業効率化のために複数台の TP(Test Program)を集中制御,
(2) 書き込みデータの圧縮率等を考慮して外部パラメータで任意に内容を変更,(3)スループットの 計測やデータ内容の確認,の 3 つを可能にする仕組みを具備した.手法 5 により,検証期間を削 減でき解決手法の適用前では 0.5 ヶ月要するところ,適用後では計画どおり 7 日で完了することが できた.
6 点目の課題「故障検知と故障対応の迅速化」の解決手法は,手法 6「予備機の入れ替えと監視 ツールによる検証環境の正常化手法」である.手法 6 は,実際の故障実績に基づきマシン全体の 1 割の台数を予備に持ち,Shell script や OSS の Nagios などのネットワークやマシンの監視ツールを 用いて故障を検知し,故障したマシンを予備機と逐次入れ替えることで,検証への影響を最小限 にした.手法 6 により,検証期間を削減でき解決手法の適用前ではマシンの調整の対応で 0.5 ヶ 月要するところ,適用後では対応することなく完了することができた.
上記のとおり,テスト環境の開発のアクティビティでは,上記 2 つの課題を解決することで,検証 期間を削減でき,検証実施時間の短縮と再実施のない検証を実現することができた.