4. 仮説設定
5.2. 仮説Ⅱの検証方法
5.2.1. 調査対象企業
い」の評価方法は、「5.2.2. 組織ルーティンの揃いの評価(説明変数)」で示されている。
仮説Ⅱ-2)およびⅡ-3)の検証で使用する被説明変数「研究テーマ創出」の程度の評価方法は、
「5.1.3. 研究テーマ創出の評価(被説明変数)」で示す通りである。仮説Ⅱ-4)の検証につ いては主としてインタビュー調査(定性的アプローチ)結果に基づいている。
5.2.1. 調査対象企業
本研究での対象サンプルとして中堅規模以上に属する化学系企業計 22 社の協力を得て アンケート調査を実施した。大企業、中堅企業の定義は先に「5.1.1. 調査対象企業」と同 様である。特に「6. 検証結果」で述べる「平均値の差の検定(t検定)」では、この定義 にしたがって大企業および中堅企業それぞれ11社づつに二分して行った。
5.2.2. 組織ルーティンの揃いの評価(説明変数)
本研究では先のTiddらのフレームワークで示される6つの各基本的能力についての「そ の能力のために用いるルーティン」に対応するものとして、R&D活動での研究テーマ創出 に関係するとみられる各組織ルーティンを3項目づつ計18項目、先行研究より抽出し、統 計処理上の説明変数と位置付けた。その一覧を表 5に改めて示す。インタビュイーに対す る具体的な質問形式としては付属資料2を用いて行っている。付属資料2は組織ルーティ ンと研究テーマ創出それぞれに関する質問群よりなる。ここで取り上げる18項目の質問群 はそのうち組織ルーティンに関するもので、付属資料2では「Q5:研究テーマ創出のアク ティビィティ」で表されている。
また、表5において、「基本的能力」の列内においてカッコ書きで示した「探索段階」等 の各段階表示は、一連の研究テーマ創出活動のどのステージに相当するかを示したもので ある。なお、表5と先に示した表4の内容に相違はない。
35
表5で示す18項目について付属資料2に記載された(a)「方針として重視していると思わ れる程度」および (b)「R&D組織での現実の活動状況の十分の程度」を尋ねたアンケート から得られた回答のうち、現状分析に重点を置く趣旨から、(b)「R&D組織での現実の活動 状況の十分の程度」について「①きわめて十分」から「⑤十分でない」までの 5段階のリ ッカート・スケールによる回答部分を今回の分析に採用している。
・設問
「貴社のR&D組織にとって、それぞれ18項目は現状行われているやり方で十分です
か?」
①きわめて十分(5点)
②十分(4点)
③十分に近い(3点)
④あまり十分でない(2点)
⑤十分でない(1点)
36
表5. 研究テーマ創出マネージの為の中核的能力(再掲)
出所:Tidd (2001)の表2.4をもとに筆者作成
5.2.3. 研究テーマ創出の評価(被説明変数)
被説明変数は、「研究テーマの創出」を設定した。次の設問を用意し、研究テーマ創出が
「きわめて十分」から「まったく不十分」までの 7段階のリッカート・スケールで回答を 求めた。具体的な質問は付属資料2を用いて行った。付属資料2は上述のように組織ルー ティンと研究テーマ創出それぞれに関する質問群よりなる。付属資料 2 によるアンケート の目的は組織ルーティンを構成する各組織ルーティン要素と研究テーマ創出との関係を見 ることにある。ここで取り上げる研究テーマ創出に関する質問群は付属資料 2 では資料冒 頭の「Q2:研究テーマの創出」で表されている。
37
・設問
「新製品開発の出発点の 1つとなるのが研究員等による『研究テーマの創出』ですが、
それでは貴社のR&D組織において研究テーマ創出が現実に十分行われていますか?」
5.2.4. 説明変数と被説明変数の相関分析(定量的アプローチ)
これら説明変数、被説明変数の関係をまとめると図9のように示される。
この図9において、仮説Ⅱ-1)は、説明変数を構成する6つの基本的能力についての組織 ルーティン要素の揃いに関する仮説であることを示している。この分析は先に示した中堅 規模以上の化学系企業22社を大企業と中堅企業、それぞれ11社づつに二分し双方企業群 の組織ルーティン要素18項目についてそれぞれ平均値を算出し、平均値の差の検定にて有 意差を求めることで双方での組織ルーティン要素の揃いの違いを求めることを目的として いる。
また、仮説Ⅱ-2)は、化学系企業 22 社について、各社の「組織ルーティン要素の十分の 程度」と、「研究テーマ創出の十分の程度」の関係に関する仮説であることを示している。
この分析は、化学系企業22社それぞれについて、説明変数と被説明変数間で重回帰分析を 実行することで、研究テーマ創出に関連する組織ルーティン要素を特定することを目的と している。
さらに仮説Ⅱ-3)は、図9には図示していないが、仮説Ⅱ-1)と仮説Ⅱ-2)の結論より導くこ とを可能とする仮説であることを示している。もし、中堅化学系企業において、仮説Ⅱ-1) でいくつかの組織ルーティン要素の不揃いが見つかり、かつ、仮説Ⅱ-2)で研究テーマ創出 に関連する組織ルーティン要素を特定できれば、その重複する組織ルーティン要素が研究 テーマ創出と何らかの関係があると考え得るからである。
最後に、仮説Ⅱ-4)は、後に示すインタビュー調査から結果が導かれるため、図9に示さ れる説明変数、非説明変数の関係からは説明できないため、ここには表現されていない。
なお、図9の右下の例 2および例4 は、調整能力および創作能力それぞれについての3 要素の例示である。