87
88
Fig. 4-24 X-ray irradiation without the line oscillation for the test piece 2 (electropolished point).
(a) Captured image of the imaging plate. (b) cosα diagram.
Fig. 4-25 X-ray irradiation without the line oscillation for the test piece 2 (shot blasted point.).
(a) Captured image of the imaging plate. (b) cosα diagram.
-0.0010 -0.0008 -0.0006 -0.0004 -0.0002 0.0000 0.0002 0.0004 0.0006 0.0008 0.0010
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
a
1cosα
-0.0010 -0.0008 -0.0006 -0.0004 -0.0002 0.0000 0.0002 0.0004 0.0006 0.0008 0.0010
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
a
1cosα
(b)
(a)
(b)
89
Fig. 4-26 X-ray irradiation with the line oscillation for the test piece 2 (electropolished point).
(a) Captured image of the imaging plate. (b) cosα diagram.
4.3.2.2. ライン揺動した応力の測定結果
試験片を X軸上に1mm間隔で, ) 0, 90°の2方向から,Y軸ステージを用いてライ
ン揺動しながらX線を照射し,得られた結果をFig. 4-27に示す.ライン揺動した結果は,
照射線上の平均応力になっていることが見てとれ,試料平面揺動法は X 線の照射した軌跡 の平均応力値を高精度に取得できる手法ともいえる.また測定の目的が平面での平均応力 である場合にも適用可能といえる.
-0.0010 -0.0008 -0.0006 -0.0004 -0.0002 0.0000 0.0002 0.0004 0.0006 0.0008 0.0010
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
a
1cosα
(a)
(b)
90
Fig. 4-27 Multiple lines of the X-ray stress measurements with the line oscillation method.
4.3.2.3. CT法による応力分布測定(BP法)
測定回数が X 線入射角揺動法と同等となるように,X 軸ステージを中心から±14mmを 1mm間隔で,Y軸ステージを用いて29回ライン揺動し,さらに 1, 2ステージを5.76°間 隔で31回測定し,合計899回のライン揺動測定を行った.標準的な BP法を用いて逆投影 し復元された平面応力分布 8•, ž;を2次元画像化した結果をFig. 4-28に示す.またライン
揺動した 8›, ;と,逆投影により復元された平面応力分布から,さらに計算により擬似的
にライン揺動した e8›, ;を比較した結果をFig. 4-29に示す.比較的単純なBP法では,KH の文字は認識できるが平面解像度の低下がみられ,復元精度は低いといえる.またCT法特 有なノイズである,リング状アーチファクトが確認される.
ここで復元精度を表す指標として,測定した 8›, ;と e8›, ;における,すべての›, ラインの誤差の絶対値の平均をT¦と定義し,BP法で復元したとき
T¦ ) 39.1 8MPa; (4-8)
となった.この値が小さいほど復元精度は高いといえるので今後の指標とした.
8›, 0;
8X,90; σx by X-ray (MPa)
σ b x
y X -ra y ( MP
a) ›
91
Fig. 4-28 Stress distribution using the conventional back projection (BP) method.
Fig. 4-29 Relationship between the X-ray stress measurement with line oscillation, 8›, 0; and the calculated average value of the line from the restored stress distribution using conventional back
projection (BP) method, e8›, 0;.
4.3.2.4. CT法による応力分布測定(AFBP法)
AFBP 法のカットオフ周波数により平面応力分布の復元精度に与える影響を調査する目 的で,カットオフ周波数を変えながらT¦の推移を確認した結果をFig. 4-30に示す.カット オフ周波数が14~15付近でT¦が最小となり,復元精度が高くなっている.これはX方向の ライン数が29であるため,ナイキスト周波数である14.5に近い値となったと考えられる.
-150 -120 -90 -60 -30 0 30
-20 -10 0 10 20
Average stress of line(MPa)
X (mm)
σ(X,0) σ'(X,0)
8›, 0;
e8›, 0;
92
そこで,ライン揺動した 8›, 0;と,カットオフ周波数を14として,AFBP法を適用して得 られた e8›, 0;の関係をFig. 4-31に示す.AFBP法の適用によりT¦ ) 14.9MPaとなり,比較 的高い精度で復元されたといえる.復元された平面応力分布 8•, ž;を2次元画像化した結
果をFig. 4-32に示す.AFBP法を用いることにより,平面応力分布が明瞭に見られるが [KH]
の上下の2点において,X線入射角揺動法と比較し30MPa程度の差が認められ定量的な課 題が残ることも認められた.今後フィルタ関数等の工夫が必要であるが,入射角揺動ステ ージを用いずXYステージのみで,粗大結晶材料の平面応力分布をCT法により高精度に測 定できる可能性を示唆する結果であると推察される.
Fig. 4-30 Restore error of the changing cut-off frequency using active feedback back projection (AFBP) method in this study.
0 5 10 15 20 25 30 35
0 4 8 12 16 20 24 28 32 36
Restore error, Ec (MPa)
Cut of frequency
93
Fig. 4-31 Relationship between the line oscillation cosα method 8›, ; and the calculated average value of the line from the stress distribution using active feedback projection (AFBP)
method in this study, e8›, ;.
Fig. 4-32 Stress distribution using the active feedback projection (AFBP) method in this study.
4.4 . 結 言
本研究で開発した X 線応力測定装置を用いて,一般的な構造材として広く用いられる
SS400材の応力測定において,次の知見を得た.
-150 -120 -90 -60 -30 0 30
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Average stress of line(MPa)
X (mm)
σ(X,0) σ'(X,0)
94
(1) 加工層を電解研磨により除去し,30µm程度の結晶粒の状態で回折環を取得すると,
回折環の連続性が失われ,応力の測定精度が低下する.
(2) cosα法においても,X 線入射角揺動法により回折に寄与する結晶を増やすことで,
応力の測定精度が向上することを四点曲げ負荷試験により確認し,また測定精度の 向上はcosα線図の直線近似誤差からも判断が可能である.
(3) X線入射角揺動法を用いる場合,揺動ステージの仮想中点に試料を正確に設置する 必要が有るが,試験片によっては設置が許容できることを確認した.ただし許容範 囲は,回折環の連続性が失われるほど狭くなると考えられるので,事前に同じ鋼種 で測定しておき許容範囲を把握することで測定の信頼性が向上する.
(4) 試料平面揺動法により,回折に寄与する結晶を増やすことで,応力の測定精度が改 善しX線入射角揺動法と同様に,測定精度の向上はcosα線図の直線性からも判断可 能である.
(5) 試料平面揺動法による平面解像度の低下対策には CT 法が有効であり,かつ逆投影 には新しく提案したAFBP法が有効である.
以上により,cosα法を用いた粗大結晶粒材料の応力測定において回折に寄与する結晶の数を 増やす X 線入射角揺動法や,試料平面揺動法などを行うことにより,測定精度が向上する ことを実験により検証した.また測定精度はcosα線図の直線性から推測可能である.
今後,揺動範囲を明確にし,フィルタ関数等の最適化を行うことで,さらなる測定精度 の向上を行う予定である.
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を有する材料のX線測定法開発に関する基礎的研究", 学位論文 (1994).
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(24) 橋本 雄幸, 篠原 広行 , "C言語による画像再構成の基礎", 医療科学社 (2006).
96
第 5 章 結 論
本研究は,イメージングプレートを用いたcosα法によるX線応力測定法に着目し,標準 的なX線応力測定法であるsin" 法のような,大型かつ精密なステージを必要とせずに,従 来の cosα法のような煩雑な過程を省略し,連続的に応力測定が可能な手法を研究したもの である.その手法を模索した結果
(a) 連続的に測定可能とする,イメージングプレートの露光と読取の一体化方式.
(b) 粉末への多重露光を不要とする,X線出射位置を特定するコリメータ位置調整方式.
(c) 複雑な画像処理なしにプロファイルが得られる,スパイラル読取方式.
(d) 試料距離の設置許容範囲が広い,cosα法による応力測定方式.
以上の 4 つの方式の研究を行い適用した装置を開発した結果,単一入射および単一回折環 のみで応力測定が可能であることを示した.また測定に必要な X 線の線量を明確すること で,空冷かつ小型の X 線管を用いることが可能となり,測定者の被爆線量を抑え,かつセ ンサ部重量4.3kg,測定時間75秒,消費電力85Wと従来のcosα法の実験装置と比較し,大 幅な軽量化と測定時間の短縮化および省エネルギー化を実現した.さらに測定精度は
JIS-B2711を満足し,かつ測定値の確かさを四点曲げ負荷試験により検証し,従来のX線応
力測定装置と比較して十分な性能を有していることを確認した.
X線応力測定は,測定対象試料に対しいくつかの基本的な仮定があるが,その仮定が満た される状況においての装置の運用は,簡単に測定できることや,現場に持ち出すことで飛 躍的に有益な知見をもたらすと期待される.また,いくつかの基本的な仮定が成り立たな い場合においても,十分な結晶粒からの回折が得られない場合については,X線入射角揺動 法や試料平面揺動法さらにはCT法を適用することで,精度の高い測定が可能であることを 示した.その他の仮定が成り立たない場合においても,今後研究されると思われる測定手 法や解析手法などにより,さらに有益な知見をもたらすことになると期待されるものであ る.
本研究の内容は大きく分けて 3 つの部分に大別される.最初は,多重露光をなくし煩雑 な過程を不要とした手法を研究し,装置を開発して応力が測定できるようにすること.次 に開発した装置の最適な測定条件を明確にすること,最後に応用として粗大結晶粒材料へ の応力測定を試みた.
97
本研究で得られた結果あるいは理解された事項は,各章の最後にまとめてあるが,さら に要約すると次のようになる.
第1章では,従来のcosα法による応力測定手法の問題である,IPへの露光装置と再生装 置が分離し,X線出射位置の特定のために粉末での多重露光が必要なこと,市販のIPリー ダで得られるデータが直交座標形式であり,応力解析に必要な極座標形式への変換には,
複雑な画像処理技術が必要な点を指摘した.
第 2 章では,従来法の問題であった分離した装置を一体化し,コリメータの位置調整に よって,粉末試料の多重露光を不要とし,スパイラル読み出しにより極座標形式への変換 を不要にした.また cosα法を適用することにより試料設置マージンが広く,簡便に測定可 能な装置を開発し,従来の X 線応力装置の規格である JIS2701-B に添うことを確認した.
さらに四点曲げ負荷試験により応力測定の確かさを検証し,ひずみゲージとの相関が 0.99 以上と高いことを示し,X線応力測定装置として十分な性能であることを示した.
第3章では,装置の測定条件であるX線管の設定条件,光学的条件,IPの読取条件,プ ロファイルの解析条件を変更し,応力測定に最適な条件を導出する試みを行った.X線の線 量に起因する6つの条件,X線管電圧,X線管電流,露光時間,コリメータ径,試料距離,
試験片の種類のいずれを変えても,特定のピーク強度以上では,繰返誤差が小さくならな い結果となり,測定に必要な線量は従来のsin" 法による装置と同様に,ピーク強度から推 測可能であるという知見を得た.IP リーダの4 つの条件,読取感度,読取ピッチ,読取時 の回転数,励起レーザ強度のいずれを変えても,繰返誤差は変わらない結果となり,開発 したIPリーダが応力測定において十分なマージンを有していることを確認した.プロファ イルのピーク位置決定法の5 つの方式,半価幅中点法,フィッティング曲線としてGauss,
Lorentz,pseudeVoigt,放物線近似を適用した結果,X 線の線量の変化と比較すると,繰返
誤差はピーク位置決定法に依存しない結果となり,cosα法はピーク位置決定法に左右されに くいという知見を得た.以上のいずれの条件を変えても,繰返誤差と cosα線図の直線近似 誤差の相関が高いことから,測定精度が cosα線図の直線近似誤差から推測できるという知 見を得た.
第4章では,X線応力測定において測定対象試料に求められる条件である,X線照射域内 に回折に寄与する結晶粒が十分な数だけ存在することを満たさない,粗大結晶粒材料への 応力測定を試みた.粗大結晶粒材料は回折環が斑点状となり,cosα線図の直線性が失われ,
応力の測定精度が得られにくいことを確認した.しかしX 線入射角揺動法や試料平面揺動 法の適用により,回折に寄与する結晶粒の数を増やすことで,応力測定精度が向上するこ