- Improvement of Rotational Accuracy by Optimization of Feed Hole Positioning -
6. 試作機の振れ測定
以上のような検討結果にもとづき,軸受cを選定し てスピンドルを試作し,繰返し振れおよび非繰返し振 れを測定して,軸受a0を用いた原形機と比較した.
試作機の構造は図2に示したものと同一である.ただ し,従来機よりもジャーナル軸受の軸受幅を15mm 延長したため,全長が30mm長くなっている.ジャ ーナル軸受が支持する部分の長さが伸びることは,軸 受部の角度剛性を増加させる効果もある.なお,試作 機と原形機とは,ジャーナル軸受以外の部分は同一で ある.
図13は,3点法による,試作機の繰返し振れ測定 結果である.原形機(図4)では,5,9,17次のピ ークがあったが,試作機では特に目立つピークは存在 しない.給気孔の千鳥配置によって,形状誤差と給気 孔配置に起因する5次の振れが低減されるとともに,
3列配置によって減衰係数が増加したため,9,17次 の振れが小さくなったと考えられる.
7. まとめ
3列給気,給気孔千鳥配置を採用した新しい静圧気 体ジャーナル軸受の振れ精度改善の効果を,計算と実 験によって確認した.
エアスピンドルの振れ回り精度には,ここで取上げ た軸受性能の他にも様々な要因が関連しており,今後 は,それらを総合的に見直していくことが必要である.
また,回転速度の精度についても,さらなる向上の要 求がある.これらの課題を解決し,今後も市場ニーズ に対応できる先進的な精度を実現していきたい.
[参考文献]
1)特許公開公報 特開2002-334498,川口,山崎,
草茅
2)青木,大園,精密機械,32,12(1966)831 3)矢部,機械学会論文集(C),58,548,(1992)
1177 原形機と試作機の非繰返し振れ測定結果を,それぞ
れ図14,図15に示す.非繰返し振れの測定は,次の ような方法で行った.
図3に示した三点測定法と同様の測定系で,静電容 量型変位計を1個使用する.
¡ロータリエンコーダの原点信号(1回/回転)をト リガーとして静電容量型変位計の出力を2000回転 分サンプリングしてメモリに蓄積する.
¡得られた2000個のデータについて,それぞれの1 回転前のデータとの差をとり,得られた1999個の データを非繰返し振れとする.
この測定法で測定したエアスピンドル単体での非繰 返し振れは,通常±数nm程度であるが,図14に示し た原形機の非繰返し振れは,±33nmである.これは 今回のエアスピンドルは軸受部から大きく突き出した ダミークランプを取付け,さらにその先端部に鋼球を 固定して振れを測定しているためである.
原形機に比べて試作機の非繰返し振れ(図15)は,
約1/2の±17nmに改善されている.ジャーナル軸受 の減衰特性が3列給気によって改善されたためと考え られる.
図14 非繰返し振れ測定結果(原形機)
Measured non-repetitive runout of the conventional spindle
図15 非繰返し振れ測定結果(試作機)
Measured non-repetitive runout of the improved spindle 測定ポイント
非繰返し振れ nm
0 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
測定ポイント
非繰返し振れ nm
0 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
執筆者近影
藤川 芳夫 精機商品事業部 プロダクトエンジニアリング部
原口 隆 精機商品事業部 プロダクトエンジニアリング部
青野 和幸 精機商品事業部 プロダクトエンジニアリング部
堀内 照悦 精機商品事業部 プロダクトエンジニアリング部