本章では、これまで述べて来た本システムについて2章で取りあげたほかの提案との 定性評価について述べる。
比較は、以下の点について行った。
• 転送方法データの転送をどのような方法で行っているか。
• ノードの状態ノードの状態をオーバレイネットワークのトポロジに反映できてい るか。
• ネットワークの状態ネットワークの状態をオーバレイネットワークのトポロジに 反映できているか。
表6.1に比較結果を示す。
表 6.1: 本システムと既存の提案の比較
転送 ノードの状態 ネットワークの状態
Gnutella Protocol 0.6 直接(HTTP) △ ×
ネットワーク測定による 直接(HTTP) △ ○ 接続先ノード選択
Winny 中継転送 ○ ×
P2Pストリーミング 中継転送(ツリー状) × ×
本システム 中継転送 ◎ ○
ノードの状態という点では、Ultrapeerという形で二段階の階層化を行うGnutellaと 帯域幅を用いて階層化を行うWinnyに比べ本システムではノードの処理性能という新 しい指標を加えた。これにより、暗号化処理が必要な匿名通信路においてパフォーマ ンスが向上する。
ネットワークの情報という点では、ホップ数を用いIPネットワークのトポロジを利 用してオーバレイネットワークの最適化を行っている。Gnutellaにおけるネットワーク 測定による接続先ノード選択の提案においても同様にホップ数を利用しているが、本 システムでは新しくノード広告メッセージを導入することで最適化に必要な通信量を 抑えている。
以上の比較から、本論文で提案する手法では本システムは他のシステムに比べてオー バレイネットワークのパフォーマンスを向上することができ、有効であることが示さ れた。
第 7 章 まとめと今後の課題
7.1 本論文のまとめ
本論文では、IPネットワークやノード毎の状態に基づいてトポロジを動的に変える ことでオーバレイネットワークの効率化を行うシステムを提案した。
現在オーバレイネットワークを用いたサーバに依存しない通信モデルの必要性とそ の上で匿名通信路を実現する手法について述べ、それを実現する上での問題点につい て論じた。
既存のオーバレイネットワークを利用したアプリケーションや技術を取り上げ、匿 名通信路を実現するためのオーバレイネットワークを設計するうえでの問題点につい て考察した。
本論文では現在のオーバレイネットワークの問題点を解決するため、オーバレイネッ トワーク上で交換したノードの情報と測定によって求めたネットワークの情報の両方 を用いて動的にオーバレイネットワークのトポロジを変化させる手法を提案した。さ らにこの手法を用いたシステムを設計・実装し、本論文の提案が他の手法にくらべ優 れていることを示した。
7.2 今後の課題
本節では、以上を踏まえて今後の課題と展望について述べる。
7.2.1 測定するパラメータ
本論文ではパラメータとしてホップ数を測定しているが、より効果的な測定手法を 摸索する。
7.2.2 オーバレイネットワークの効率化の指標
現在はオーバレイネットワークをどれくらい効率化できたかをあらわす指標が存在 しない。本研究の効果を評価するためにもオーバレイネットワークの効率に対する指 標を定めることが考えられる。
謝辞
本研究を進めるにあたり、御指導を頂きました、慶應義塾大学環境情報学部教授の村 井純博士、徳田英幸博士、同学部助教授の楠本博之博士、中村修博士、同大学環境情 報学部専任講師の南政樹氏、重近範行氏に感謝致します。
絶えずご指導とご助言を頂きました慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程 の江木啓訓氏、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程の西田視磨氏 に感謝いたします。
執筆にあたり多大なる助言と励ましを頂いた慶應義塾大学大学院政策・メディア研 究科の西村祐貴氏、須子善彦氏、をはじめとするneco kgの皆様に感謝致します。
関連図書
[1] J. Postel. RFC791 Internet Protocol, September 1981.
[2] Clip2. The gnutella protocol specification v0.4.
http://www.clip2.com/gnutellaprotocol04.pdf.
[3] Inc. Bitmedia Inc.& ANCL. シェアキャスト http://www.scast.tv/.
[4] peercast.org. peercast.org http://www.peercast.org/.
[5] Freenetproject.org
http://www.freenetproject.org.
[6] [email protected]. Winny web site
http://www.geocities.co.jp/siliconvalley/2949/.
[7] R. Fielding, J. Gettys, J. Mogul, H. Frystyk, L. Masinter, P. Leach, T. Berners-Lee. RFC2616 Hypertext Transfer Protocol – HTTP/1.1, June 1999.
[8] Anurag Singla, Christopher Rohrs, and Lime Wire LLC. Ultrapeers: Another step towards gnutella scalability working draft
http://rfc-gnutella.sourceforge.net/proposals/ultrapeer/ultrapeers.htm, 2001.
[9] Yoshihiro Gotou, Shingo Ata, and Masayuki Murata. Methods on logical network construction in peer-to-peer services based on tra.c measurements.
[10] J. Case and M.Fedor and M. Schoffstall and J. Davin. RFC1157 A Simple Network Management Protocol (SNMP), May 1990.
[11] L. Mamakos, K. Lidl, J. Evarts, D. Carrel, D. Simone, R. Wheeler. RFC2516 A Method for Transmitting PPP Over Ethernet (PPPoE), February 1999.
[12] Lbnl’s network research group http://www-nrg.ee.lbl.gov/.