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妥当性

プロジェクトの妥当性は高い。

ブラジルにおける自然災害リスク管理のための政策・制度は、

2013

7

月のプロジェ クト開始以降で大きな変更はなく、プロジェクトの妥当性は引き続き高い。法律第

12608

号(

2012

年)は、ブラジルにおける災害リスク管理の基礎、具体的には、国家市

民防衛・保護システム(

Sistema Nacional de Proteção e Defesa Civil

SINPDEC

)、国家市 民防衛・保護審議会(

Conselho Nacional de Proteção e Defesa Civil

CONPDEC

)、予防、

災害準備と対応、復旧に焦点をあてて防災における連邦・州・市の政府機関の権限等を 定めている。法律

12340

号(

2010

年)については法律

12983

号(

2014

年)により改正 され、リスクの高い地域の予防対策、被災地域の緊急対応・復旧対策の実施のために連 邦政府から州・市へ予算を移管する国家市民防衛・公共災害基金(

Fundo Nacional para Calamidades Públicas, Proteção e Defesa Civil

FUNCAP

)等を規定している。また「プロ

グラム

2040 -

災害リスク管理及び対応プログラム」を含む

PPA

2012-2015

)について

は、

2015

12

月に、新たな

PPA

2016-2019

)に改訂された。

PPA

2016-2019

)には、

次の

5

つの目標を掲げる「プログラム

2040 -

災害リスク管理」が記されている。プロ ジェクトは

PPA

2016-2019

)「プログラム

2040 -

災害リスク管理」と整合しており、

これら

5

つの目標の担当機関による達成を支援するものである。

プロジェクトは連邦

4

機関(

MCidades

MI

CEMADEN

CPRM

)により実施されてい る。終了時評価調査では、これら機関の全てから、プロジェクトの活動内容は各機関の マンデートに含まれており、各機関のニーズ及び期待に合致しているとの確認が得られ

た。

MCidades

については、

2017

1

月の組織改編により、現在は都市計画管理部

Departamento de Planejamento e Gestão Urbana

DPGU

)とリスク管理都市復旧部

Departamento de Gestão de Riscos e Reabilitação Urban

DGRRU

)が連携をとりながら プロジェクト活動を実施しており、組織改編によるプロジェクト活動への影響はほとん

MI 2016 12 CENAD

PPA(2016-2019)の「プログラム2040 – 災害リスク管理」に掲げられた5つの目標

1) 目標0602 - 危機的な市町村のマッピングにより自然災害リスクを把握する。(MME)

2) 目標0169 - 工事の計画と実施により危機的な市町村の自然災害リスク低減を支援する。

(MCidades)

3) 目標0173 - 連邦政府、州政府、市政府の機関の統合された行動により監視網を改善し、自然災

害に関する警報発信能力を向上する。(MCTI)

4) 目標0172 - 連邦と海外の連携を含むSINPDECの強化により、市民保護防御のための準備、予

防、軽減、対応、復旧への行動の調整・管理を改善する。(MI)

5) 目標0174 - 州と市の活動に補足的な形で、とりわけ財源、物的資源及び物流リソースを通じて、

被災地域の住民ニーズを満たすための対応措置を促進し、災害の影響を受けたシナ リオを回復する。(MI)

がプロジェクト活動の中でコンティンジェンシープランの作成を進めてきたが、今後は 予防準備部(

Departamento de Prevenção e Preparação

DPP

)がコンティンジェンシープ ランの作成を含む災害予防・準備の責任部署となることが想定される。これら連邦機関 のマンデート及び国家開発計画における役割とプロジェクトの活動が合致しているこ

とは、

PPA

2016-2019

)「プログラム

2040 -

災害リスク管理」の記載からも明確である。

プロジェクトは日本のブラジルに対する援助方針とも引き続き整合している。

2015

2

月に閣議決定された我が国の「開発協力大綱」では、自然災害及び防災対策は、重点課 題の

1

つである「地球規模課題への取組みを通じた持続可能で強靭な国際社会の構築」

に位置づけられている。個別の国に対する支援方針は引き続き国別援助方針により定め ることとなっており、対ブラジル国別援助方針(

2014

4

月)では、持続的開発への 支援と互恵的協力関係の促進を基本方針として、援助重点分野である「都市問題と環 境・防災対策」の中に本プロジェクトが位置づけられている。

2015

3

月の第

3

回国連世界防災会議で採択された「仙台防災枠組み(

2015-2030

)」

では、次の

4

つの優先行動分野について、地方、国、地域及びグローバルのレベルで、

国家によるセクターごと及びセクター横断的な、焦点を絞った行動を求めている。プロ ジェクトは、連邦・州・市の各機関の防災リスク管理にかかる活動(土砂災害リスクの 評価及びマッピング、災害リスクを考慮した都市計画、予警報プロトコルの改善、土砂 災害対策工の計画)の強化・連携・統合を促進し、仙台防災枠組みの

4

つ全ての優先事 項に貢献するものとなっている。日本も仙台防災枠組みのもと、国際社会における防災 協力の一層の推進を約束している。

有効性

プロジェクトの有効性は高い。

「各成果の達成状況」、「プロジェクト目標の達成見込み」に既述のとおり、プロジェク トは残りの協力期間中も計画に基づき活動を継続していくことで、

PDM

に設定された 諸指標を達成することが見込まれる。プロジェクト目標レベルでは、マニュアル等成果 品の承認・採用が指標として設定されており、現在それに向けた検討が各機関で進めら れている。プロジェクトは計画どおり成果をあげ、意図された事業効果を生み出しつつ あることから、プロジェクトの有効性は高いと判断できる。

プロジェクトの計画内容における有効性は高いと判断されるものの、残りの協力期間に おけるプロジェクトの目標達成に大きな影響を及ぼす可能性があるものとして、幾つか

「仙台防災枠組み 2015-2030」における優先行動分野 優先事項1: 災害リスクの理解

優先事項2: 災害リスク管理のための災害リスクガバナンス 優先事項3: 強靭化に向けた防災への投資

優先事項4: 効果的な応急対応に向けた準備の強化と「より良い復興(Build Back Btetter)」

の連邦・州・市の実施機関は、活動予算の不足、人員の不足に言及している。これにつ いては、

PDM

においても「実施機関及び関係機関は、適切に予算が配布され人員が配 置される」として、あらかじめ「外部条件」として記載されている。ブラジル政府の現 在の深刻な財政状況の中で、旅費を含むプロジェクト活動費の制約により、プロジェク ト活動への参加が困難となってきている機関もある。こうした中、会議・研修をパイロ ット活動の実施地域で開催する、参集ではなく

TV

システムを通して会議へ参加する、

機関間で旅費を肩代わりする、活動予算の確保について省幹部・市長と相談する等、プ ロジェクトはできる限り可能なやり方でこの問題に対処してきた。また、人員の不足に ついては、特に

DRR

(国家統合省の組織再編の影響)および市政府(昨年

10

月の市長 選挙の結果による影響)から強調があった。

プロジェクトでは、

4

分野のマニュアル(案)の作成にあたり、その技術的内容の有効 性・統一性が確保できるよう、技術会議を通して実施機関間の連携・調整が図られるよ う特別な努力が払われてきた。これは、ある分野のマニュアルは、他分野のマニュアル の内容を参照・引用(例えば、土砂災害リスク管理を考慮した都市拡張計画マニュアル 及び予警報マニュアルには、リスク評価マッピング・マニュアルに基づいて作成される リスクマップを利用)する必要があるからである。さらに技術用語や技術的内容の

4

分野のマニュアル間での統一を図るため、連邦

4

機関の参加による「論争調整会議」が、

その後「分野間調整会議」、「分野間統合会議」と名称を変更しながら、定期的に開催さ れている。マニュアル策定フェーズで初案が作成されたこれらマニュアルは、パイロッ ト活動における実際のマニュアルの利用と、そこからのフィードバックを踏まえて改 訂・最終化される計画である。また、これらマニュアルは、よりブラジルの背景・文脈 に合致した内容となるよう、関連分野の外部専門家(学識経験者や研究者など)により 検証及び向上を図っていくことが検討されている。なお、パイロット活動及びマニュア ル改訂フェーズの終わりには、

4

分野のマニュアルの統合化、整合性確保のための活動 が予定されている。

2016

3

月の中間レビュー調査では次の

5

項目が提言されており、これら提言はその 後のプロジェクト活動の中で適切に対応されている。

提言 提言に対するその後の対応

1 PDMおよびPOの改訂 2016127日のM/M署名により改訂済み。

2 プ ロ ジ ェ ク ト 参 加 者 リ ス ト の 定期的な更新と、新たな参加者 に 対 す る プ ロ ジ ェ ク ト へ の 適 切な導入

201610月の統一市長選挙の結果、ノバフリブルゴ市とペトロ ポリス市のプロジェクト実施体制に大きな変更があったことか ら、プロジェクト参加者リストを更新し、必要なレターを作成・

送付し、新市長を含めて新たな参加者チームとの会議がもたれ た。

3 マ ニ ュ ア ル の 内 容 の 継 続 的 な 向上(外部有識者による内容の レ ビ ュ ー や 、 分 か り や す い 記 載・様式への留意)

連邦政府および市政府の職員、技術者、研究者を交えてのマニュ アルの向上プロセスが継続している。外部有識者によるレビュー については、公式化に向けたプロセスの一部として検討されてい る。

4 マ ニ ュ ア ル の 公 式 化 に 向 け た公聴会によるレビュー、州・市の市民防衛局によるコンセンサス ABGE

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