第 7 章 評価 32
7.2 データ展開の評価
7.2.4 評価結果
データ転送待ち時間
通常のデータ展開の場合とキャッシュノードを利用したデータ展開の場合を図7.3に示す.
図7.3において,x軸は経過時間(分),y軸はデータ転送までの待ち時間(分)となっ ている.
図7.3より,通常のデータ展開の場合,最初にオリジネータノードにアクセスした,2 個のノード(同時データ転送数が上限に達する前に接続したノード)は待ち時間なくデー タ転送を開始できている.しかし,同時データ転送数が上限に達したあとに接続したノー ドに関しては,少なからずデータの待ち時間が発生しており,計67個のノードに対して,
最大で62分の待ち時間が生じる結果となった.図7.3において,データ展開の前半に接
7.2. データ展開の評価 第 7章 評価
0 10 20 30 40 50 60 70
0 :0 1 0 :0 5 0 :0 9 0 :1 3 0 :1 7 0 :2 1 0 :2 5 0 :2 9 0 :3 3 0 :3 7 0 :4 1 0 :4 5 0 :4 9 0 :5 3 0 :5 7 1 :0 1 1 :0 5 1 :0 9 1 :1 3 1 :1 7 1 :2 1 1 :2 5 1 :2 9
W a it in g T im e ( m in .)
Time Elapsed (min.)
Waiting Time (without Cache) Waiting Time (with Cache)
図 7.3: データ転送待ち時間
れているためである.そのため,データ展開の後半に接続を試行した場合には,総データ 転送数が増加しているため,待ち時間は発生するが,待ち時間は短くなる.そして,一度 ボトルネックが解消されると,P2Pシステムの負荷分散が有効に働くため,ノード数が 増加してもボトルネックは発生しない.
また,図7.3より,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合,キャッシュノード を作成するために,データ展開の前半に接続を試行したノードはデータ転送を待たされる ことになる.しかし,データ転送を待たされるのは,データ展開の前半に接続を試行した 計28個のノードとなり,待ち時間に関しても最大で29分となるため,通常のデータ展開 の場合と比べて,待ちノード数と待ち時間を短縮することが可能となっている.
データ展開
実際にデータ展開がどのように行われているかを考察するために,データ転送開始時間 とデータ転送完了時間から,データ転送開始ノード数とデータ転送完了ノード数を計算し た.通常のデータ展開の場合を図7.4に,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合 を図7.5に示す.
図7.4と図7.5において,x軸は経過時間(分),y軸はノード数となっている.
図7.4より,通常のデータ展開の場合,データ転送完了ノード(配信者)は,オリジネー タノード以外に存在しない状態が長く続き,ボトルネックが発生している様子がわかる.
そして,ボトルネックは,オリジネータノード以外にキャッシュノードが出来た場合にも,
すぐには解消されず,データ転送開始から1時間を経過して,キャッシュノードがある程
7.2. データ展開の評価 第 7章 評価
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N u m b e r o f N o d e s
Time Elapsed (min.) Processing
Complete
図 7.4: 通常のデータ展開
度確保され,P2Pシステムの負荷分散が働く状態になることで,解消に向かっている.そ のため,最初にオリジネータノードにアクセスした,2個のノード以外は,7.2.4項で述べ たように大幅に待たされることになる.
図7.5より,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合,キャッシュノードを作成 している間はすべてのノードのデータ転送要求を処理できないが,キャッシュノードの作 成が完了すると,ボトルネックを発生させることなくデータ展開を行うことが可能となっ ている.特に,最初から多くのキャッシュノードを作成したことで,(データ公開までの時 間はかかるが,)すべてのノードのデータ転送要求を処理しても,データ展開は問題なく 行えている様子がわかる.
また,データ転送を完了するまでの時間という意味でも,キャッシュノードを利用し たデータ展開は通常のデータ展開に比べて優位な点がある.図からは読み取りにくいが,
データの取得処理を開始した時間からデータ転送を完了するまでの時間を比べると,表 7.2のようになっている.
最初に接続した2個のノードは,通常のデータ展開の方が,キャッシュノードを利用し たデータ展開よりも早くデータ転送を完了しているが,3番目以降にデータの取得処理を 開始したノードは,キャッシュノードを利用したデータ展開の方が速くデータ転送を完了 している.そのため,キャッシュノードを利用したデータ展開を行った場合には,P2Pシ ステム全体として高速なデータ展開が可能となっていることがわかる.
7.2. データ展開の評価 第 7章 評価
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N u m b e r o f N o d e s
Time Elapsed (min.) Processing
Complete
図 7.5: キャッシュノードを利用したデータ展開 表 7.2: データ転送完了時間の比較
完了順 通常のデータ展開 キャッシュノードを利用したデータ展開
1 0:27:00 0:43:00
2 0:30:00 0:43:00
3 0:55:00 0:43:00
4 0:57:00 0:43:00
5 0:57:00 0:43:00
キャッシュヒット
キャッシュノードを利用したデータ展開の場合には,事前にデータを転送するため,将 来データを取得するノードを選ばなければ,資源の無駄遣いにつながる可能性がある.そ のため,本評価では,キャッシュノードを利用したデータ展開において,要求したデータが 既にダウンロード済みであった場合(キャッシュヒット数)について計測を行った.キャッ シュヒット数を表7.3に示す.
表7.3において,キャッシュ数が81となっているのは,オリジネータノードのデータ をカウントしているためである.キャッシュヒットが起こった場合のデータ例を表7.4に 示す.