4‑1は じ め に
段 階 的 な分 析 を 行 うた め 、 分 析 段 階 を以 下 の4つ に分 割 す る
① 事件 現 場 と実 際 に建 物 が建 て られ た 敷 地 との 関係 を 分 析 す る 「敷 地 」
② そ の敷 地 に お け る建 物 や慰 霊碑 、 遺構 の位 置 関 係 を 分 析 す る 「配 置 」
③ 建 物 の 概形 や フ ァサ ー ドに 用 い られ て い る手 法 を分 析 す る 「外 観 」
④ 継 承 空 間 お よび 追 悼 空 間 に お け る手 法 を 分 析 す る 「空 間 」
博物館
③外観
.追悼空間
④空間
①敷地 概形
遺 構 一:
敷
現場ツ
慰
②配置
手法分析 の区分 前 章 ま で の 考 察 を も と に ダ ー ク ツ ー リ ズ
ム にお け る 建 築 を構 成 す る コ ン テ ン ツ と して 、 事 件 との 関 連 性 を 左 右 す る 「敷 地 、 事 件 現 場 」、 事 件 内 容 の 表 象 が 求 め られ る
「建 築 の 概 形 、 フ ァ サ ー ド」、 訪 問 者 の 継 承/追 悼 行 為 を 喚 起 す る 「継 承 空 間 、 追 悼 空 間 」、建 築 設 計 に お い て 重 要 な 要 素 と な る 「遺 構 」、 さ らに 抽 出 した 事 例 の 多 く に 見 られ る 「慰 霊 碑 」 を 取 り上 げ 、 こ れ らの 設 計 手 法 や 関係 性 を 分 析 す る 。
40 AnAnalysisonDeslgnMethodofDarkTounsm
AnAnalysisonDesignmethod
/
4‑2手 法 分析
4‑2‑1敷 地 と 事 件 現 場
各 事 例 につ い て敷 地 と事 件 現 場 の 関 係 を以 下 の3段 階 で 評 価 した
① 敷 地 と事件 現 場 が 一 致 した 「合 致 」、
② 敷 地 が 事件 現 場 に お ける 都 市 内 で あ る 「近 接 」、
③ 敷 地 が 事件 現 場 に お ける 国 や都 市 で は ない 「遠 方 」
各事例 における事件現場 と敷 地
形態
No.事件現場 敷地 勘 近接 合致
国名 都 市(町)
国名
都 市/詳細近接 現場
新築
1 ホ ロコー ス ト関連 国 ドイ ツ ベ ル リ ン/フクロ イ ツベル ク区
国 都市
一
一
2 ホ ロコー ス ト関連 国 ドイ ツ LowerSaxony州/OsnabrUck 3 ホ ロコー ス ト関連 国 ドイ ツ ベ ル リ ン/Cora‑Berliner.StraBe 4 ホ ロ コー ス ト関連 国 イ スラ エル エ ルサ レム/ヘル ツル の丘 5 ホ ロ コー ス ト関連 国 アメ リカ カ リフ ォル ニ ア/ロサ ンゼ ル ス
6 西 アル メニ ア全 域 アル メニ ア エ レバ ン 匿
■
1
‑
一
一 1
7
日本 広島県
日本広島県/広島市
8
日本 長崎県
日本長崎県/長崎市
9 ア メ リカ ハ ワイ ア メ リカ ハ ワイ 州/オ ア フ島真 珠湾
10 カナ ダが 関わ った 戦争 地 カ ナ ダ オ ンタ リオ州/オ タワ ー
11 日本
神戸市
日本兵庫県/神戸市
12 イ ン ドネ シア ア チェ州 イ ン ドネ シア ア チェ州/バ ンダ アチ ェ 13 アメ リカ ニ ュ ー ヨ ー ク ア メ リカ ニ ュ ー ヨ ー ク/マ ン ハ ッ タ ン 14 アメ リカ ニ ュ ー ヨ ー ク チ リ サ ンテ ィア ゴ/ビ タキ ュラ 15 スペ イ ン マ ド リー ド スペ イ ン マ ド リー ド/ア トー チ ャ 駅 16
北大西洋海上
アイル ラ ン ド アイル ラ ン ド/ベルフ ァス ト17 フラ ンス全 域(ナ ン ト) フラ ンス ナ ン ト
保存
18 ポ ー ラ ン ド オ シフ ィエ ンチム ポ ー ラ ン ド オ シフ ィエ ンチム/事件 現 場 19 ス コ ッ トラ ン ド エ デ ィンバ ラ ス コ ッ トラ ン ド エ デ ィンバ ラ/中心 市街 地改修
20 ウ クライ ナ キ エフ ウク ライ ナ キ エ フ/事件現 場 か ら少 し離 れるAnAnalysiSonDesignMethodofDarkTourism 41
《結 果 》
「合 致 」 で は ア ウ シ ュ ビ ッ ツ な どの 事 例 に見 られ る よ うに 、敷 地 そ の もの が 惨 劇 を 継 承 す る重 要 な 要素 とな り、 高 い継 承性 と集 客性 を保 持 して い る。
「近 接 」 で は 事 件 現 場 が 郊 外 で あ る場 合 な どに 、集 客 力 を保 持 して い る 都 市 部 に博 物 館 が建 設 され る とい う背 景 を持 つ 。 敷 地 に よる継 承性 が 弱 い こ とか ら、建 築 設 計 に よ る惨 劇 の 想 起 に よ っ て 事 件 との 関係 を 高 め て お り、 ユ ダ ヤ 博 物 館 で は 形 態 や フ ァ サー ドが惨 劇 を表 象 して い る。
「遠 方 」 で は 事 件 現 場 との 関 連 性 を獲 得 す る た め 他 の コ ンテ ク ス トを援 用 して お り、
ヤ ドヴァ シ ェム ・ホ ロ コー ス ト ・ミュー ジ ア ム は ユ ダ ヤ 人 の 聖 地 エ ル サ レム に建 設 す る こ とで ホ ロ コー ス トとの 関係 性 を向 上 させ て い る。
ま た ダ ー ク ツー リズ ム ・スペ ク トラ ム よ り敷 地 と事 件 現 場 が 「合 致」 す る ほ ど事 件 との 関 わ りは深 くな り、惨 劇 の 継 承 性 は 高 度 化 され る。
エ ル サ レ ム:
標 高800メ ー トル の 小 高 い丘 の 上 に 位 置 す る 。 ユ ダ ヤ 人 が 住 む 西 エ ル サ レ ム と ア ラ ブ 人 居 住 区 で あ る 東 エ ル サ レ ムか ら成 り立 っ 。 また 、 イエ ス ・
キ リス トが 処 刑 さ れ た 地 で も あ り、
ユ ダ ヤ 教 ・キ リス ト教 ・イ ス ラ ム教 共 通 の聖 地 と な っ て い る。
Higher politicalinfluence&idgology
[高 い政 治 的 影 響]
噸 織 翻 鯵 ,
1
2
Lower politicalinfluence&idgoユogy
[低 い 政 治 的 影 響]
、勲 塾3蝋 繭 七幽h面d
【・死や「繍1こ 関わ る場所 】
Edhncetionorientation [教 資 的 志 向]
Hユ5torycentric (COロsgr‑vation/Cotmeli)retive) [歴 史 中 心(保 護 ノ記 念 的価 値)]
Perceivedauthenticprgduct interpretation [真 実 をそ の まま 解 説]
.機 駕 騰 整 ・
、
Shortertirne‑scaユefr㎝the evgnt [出 来事 か ら の 経過 時 闇 は 短 い]
3
4
5
6
7
Entertai㎜entorientatユon [娯 楽 的 志 向]
HeritagecentrユC
〔corm}erciaユ/romanticistn) 随 産 中 心く商 藁 的 ノロマ ンテ ィ シズ ム刀
Perceivedinauthenticproduct interpretetion [真 実 を脱 却 して餌 説]
Non‑locutiota鶴U慮bg漉icity [本 物 の 場 所 と は限 ら な い ユ
Lo㎎grtitne‑sealefromthe event [出 来 事 か らの 経 過 時 間 は 長 い]
SUPPly
〔non‑purposefulness) [意 図 的 な供 給 で は な い ユ
8
SUPPユy
〔purposefulness) [意 図 的 な供 給]
Lo▼ertourユ5面 ユnfrastracture
[ッ ー リ ズ ム イ ン フ ラ整 傭 が脆 弱] 9 Hlghertourユ5mユnfrastracture [高 度 な ツー リズ ム イ ン フ ラ整 傭]
建 築 的 観 点 か ら敷 地 特 性 に 関 わ る評 価 項 目 は"2""6"で あ る。
故 に ダ ー ク ツ ー リ ズ ム に お け る 建 築 の 敷 地 が 合 致 す る ほ どDarkest
に 近 づ い て い き 、 事 件 と の 関 連 度 は 強 く な っ て い く。
42 AnAnalysisonDesignMethodofDarkTourism
AnAnalysisonDesignmethod
圏 敷地
×
口 事件現場
一一
都市 \
畷
合 致
/都 市
口 圏
近接
圏 ) ∴ 口
遠方
距離による頒
ア ウ シ ュ ビ ッ ツ=ビ ル ケナ ウ強 制 収 容 所:
事 件 の 大 き さや 被 害 考 数 の 膨 大 さ か ら 、他 施 毅 の 建 毅 に よ る継 承 で は な く 、 当 時 の 遺 構 を 完 全 保 存 す る こ と で 、記 憶 を継 承 し てい る。
ユ ダヤ 博 物 館=
ダ ニ エ ル ・リベ ス キ ン ド般 計 の 当 施 設 は 、郊 外 に ザ ク セ ン ハ ウ ゼ ン 強 制 収 容 所 が 存 在 す る が 、集 客 力 を保 持 す る た め にベ ル リ ン の 中 心 部 に 建 て ら れ た 。 建 物 の 外 形 や フ ァサ ー ドは 惨 劇 を抽 象 化 し表 象 され て い る 。
アウシユビソツ尋ビノけ ナウ"悌 蜥 ユ ダ ヤ 博 物 館
真 偽
ヤ ドヴァシェム ・ホ ロコー・ス ト・ミュー ジ7'ム
灘
偽ホ ロコー ス ト
騰
ヤ ドヴ ァ シ ェ ム ・ホ ロ コ ー ス ト ・ ミュ ー ジ ア ム:
モ シ ェ ・サ フ デ ィ設 計 で イ ス ラ エ ル に 建 設 され た 世 界 最 大 の ホ ロ コー ス トミ ュ ー ジ ア ム で あ る。 事 件 現 場 か らは 大 き くは 離 れ る が 、 ユ ダ ヤ 人 の 聖 地 で あ る エ ル サ レム を敷 地 と して 選 定 す る こ と で 、そ の 関 連 性 を 向 上
させ て い る 。
敷 地や 建築 自体 が当 時を物 語 る重要 な資料 で 、高 い継 承性 と集客 力 を保 持 して い るた め、それ らを適切 に保 存される.
事 件現 場が 郊外 の場 合な ど に、近接 した 都市 に礎 設す る こ とで 集客 力 を担保。事 件現場 との関連性 は弱体化 す るた め、建築毅 計 によ る 関連姓の向上 を図 ってい る。
事 件 現 場 と の 関 連 性 は 低 い た め 、 事 件 の コ ン テ ク ス ト に 関 連 の あ る 敷 地 を選 定 し、
そ れ を援 用 す る こ と で 、 関 速 性 を 向 上 させ て い る 。
↓
㈱
ホ ロ コ ー ス ト ・ミ ュ ー ジ ア ム とい う 同 種 の 施 設 で あ る が 、建 設 され た敷 地 な どの 影 響 を 受 け な が ら 、建 築 の 性 質 は変 化 してい く。
高
一
事件との関連度
低
敷地 と事件現場 の関係 と特性
AnAnalysisonDesignMethodofDarkTourism 43
一手 法 分 析 に あ た っ て 一
ダー ク ツー リズ ム に お け る 建 築 設 計 手 法 に 関 す る言 説 を抽 出 し 、そ れ らが 建 築 の ど の 部 分 に 使 わ れ て い る か を ま と め た 。 抽 出 され た 手 法 はそ の 効 果 か ら以 下 の の4つ に 分 類 した。
① 惨 劇 を継 承 す る 「継 承 的 手 法 」、
② 訪 問 者 の 追 悼 の 念 を喚 起 す る 「追 悼 的 手 法 」、
③ 周 辺 環 境 と の調 和 を図 る 「調 和 的 手 法 」、
④ ツー リ ズ ム とい う商 業 性 を 担 保 す る 「商 業 的手 法 」 の4つ に 分 類 した 。
44 AnAnalysisonDeslgnMethodofDarkTourism
AnAnalysisonDesignmethod
〜
手法 分類 建築的操作 配置計画外観 空間
彫1・ ・サー ド継 承 空間
■
[【
追悼空間
継承的手法 事件参照
歴史/内容の表象
数字的内容 の視覚化
一
形容詞的内容の表象 生存者 の証言 を再現 関連 オ ブジ ェク トの踏襲 復興の軌跡復興 の軌跡を表象
防災/減災
追悼的手法 圧迫感
反復配置 視界を覆 う 壁面の傾き
静寂な空間
水盤 を張る
■
地下化 暗闇 神聖な空間円形
印象的な光
調和的手法 周辺環境
文化/伝統を参照 地形の参照 都市構造の反映
■
商業的手法 連鎖的利用
追悼 空 聞 の外部 化 一
公園や広場 による接続
オー プ ン な状 態 一
AnAnalysisonDesignMethodofDarkTourism 45
4‑2‑2配 置 計 画
継 承 空 間 や 追 悼 空 間 、 慰 霊 碑 、 遣 構 の配 置 関係 と断 面 構 成 を 分 析 す るた め 、各 事例 を簡 略 化 した 断 面 ダ イ ア グ ラ ム を 作成 し 、そ の 特徴 ご と に表 を ま と め た 。
《結 果 》
(K)単 独 型 で は 継 承 を 主 目的 と した 教 育 的 な 施 設 と して 、(丁)単 独 型 で は 追 悼 を 主 目的 と した オ ー プ ン な 追 悼 施 設 と して の性 質 を帯 び て い る。(K,T>共 存 型 で は 継 承 空 間 や 追 悼 空 間 、慰 霊 碑 、遺 構 を 体 験 す る順 序 や 構 成 が 計 画 され て い る 。 ま た 継 承 空 間 は ク ロー ズ な状 態 で 、追 悼 空 間 は オ ー プ ン な 状 態 で 配 置 され て い る。
単独型 ではそ の機 能 に特 化 した施設 となってい る。 共存型 では様々 な機 能 の動線計画 な どが 為 され 、戦略 的 な体験 に よる継 承 と追悼 行為が実 施 され る。
さ らにNo.5に 見 られ る よ うに 慰 霊 碑 な どに よ っ て 追 悼 空 間 を外 部 化 し、 周 辺 環 境 や 離 散 配 置 に お け る接 続 部 分 に は 公 園 や 広 場 を配 置 す る とい っ た 構 成 を 取 っ て い る 事 例 も あ る 。
46 AnAnalysisonDesignMethodofDai"kTourism
単独型:継 承空聞 も しくは追悼空 間 のみ を保持 してい る施設
共存型:継 承空聞 と追悼 空閥 ともに 保持 してい る施設
集約 配置:継 承 空間や 追悼空 聞、慰 霊碑 、遺 構が分節 され ず、一っの建 築内に収 まってい る
離散 配置:継 承 空間や 追悼空 閲、慰 霊碑 、遺構 が分節 され てい る
オ ー プ ン=誰 も が 自 由 に 、 入 場 料 無 しで 入 れ る施 設
ク ロ ー ズ:お 金 を 支 払 っ て 入 場 す る 一 般 的な タイ プ
\
AnAnalysisonDesignmethod癒 襖$曇 瓢 lI
劇田蓬\副魚卦倉V劇田簗鰍\副慧醤(冨)
ロ甚 緬 ミ旺 11
劇田興諜\測慧醤(↑)
志 薩租葦麟 睦