第 2 章 実験 11
2.6 設置した検出器
表2.4に、本実験で使用した検出器とビームライン上に設置した物質を示す。2.6.1節で、F3とF7、F8、
F11に設置されたプラスチックシンチレータについて説明する。2.6.2節は、F3とF5、F7、F8、F9、F11 に設置されたPPAC検出器について説明する。2.6.3節では、F7とF11に設置されたICについて説明す
る。2.6.4節では、F8の反応標的の周りをカバーするように設置されたDALI2検出器について説明する。
2.6.1 プラスチックシンチレータ
F3とF7、F8、F11のビームライン上にプラスチックシンチレータを設置した。本実験で使用したプラス
チックシンチレータの仕様を表2.5に示す。プラスチックシンチレータで発生したフォトンの観測には、プ ラスチックシンチレータ左右に取り付けられた光電子増倍管(PMT)を用いて測定した。粒子の入射位置 によりフォトンがPMTに到達する時間が異なるため、粒子の通過時間は、両端のPMTの時間の平均を採 用した。また、左右のPMTへ到達する光の減衰より粒子の入射位置を測定することが出来る。プラスチッ クシンチレータは、時間分解能に優れるため粒子のToFを測定することに適している。本実験では、F3と F7間のToFと、F8とF11間のToFをプラスチックシンチレータを用いて測定した。また、プラスチック シンチレータで粒子が通過した際の光量を測定し、エネルギー損失を観測した。プラスチックシンチレータ でのエネルギー損失による運動量の広がりを軽減するために、薄い厚さのプラスチックシンチレータを使 用した。
表2.5: プラスチックシンチレータの仕様。
Installed location F3, F7, F8, and F11
Thickness 0.2 mm
Width 120 mm
Density 1.02 g/cc
Wavelength of max emission 435 nm
Refractive Index 1.58
H:C ratio 1.109
2.6.2 Delay-line Parallel Plate Avalanche Counters (PPAC)
ビームライン上の粒子の軌道を観測するためにPPAC [62]を使用した。PPACを、F3とF5、F7、F8、
F9、F11のビームライン上に設置した。PPACは、粒子の位置を位置分解能0.5 mm程度で測定が可能で ある。図2.9に、PPACの概要図を示す。PPACはx、y軸方向の位置を測定するためのX面とY面のカ ソードとアノードの3枚で構成されている。カソードは2.4 mmピッチのストリップが貼られておりdelay lineに接続されている。両端の読み出しから時間差を測ることにより、粒子が通過した位置を測定するこ
第2. 実験 2.6. 設置した検出器
とが出来る。PPACは封入したガスの電離電子のアバランシェを利用することで増倍した信号を測定する。
封入ガスには、C3F8を使用した。粒子の入射角度を測定するために2台以上のPPACを用いて粒子の軌道 をトラッキングした。37.4 mm間隔で設置したダブルPPACを各焦点面で2台使用した。したがって、各 焦点面で4台のPPACを設置した。
図2.9: PPAC検出器の概要図[62]。
2.6.3 Ionization Chambers (IC)
粒子のを電荷量を測定するためにICをF7とF11に、それぞれ設置した。図2.10に、F7とF11に設置 されたICの概要図を示す。ICは、封入されたP10ガス3が入射粒子によってイオン化された電離電子を 測ることで、IC中での粒子のエネルギー損失を測定する。ICは、12個のアノードと13個のカソードが交 互に取り付けられている。ガスを閉じ込めるため、ICの窓には厚さ4 µmのマイラー膜が前方と後方に貼 られ、F7とF11に設置されたICの窓の大きさは、それぞれ232 mmϕと260×170 mm2である。
(a) F7
(b) F11
図2.10: ICの概要図。
2.6.4 Detector Array for Low Intensity radiation 2 (DALI2)
F8に設置された反応標的との反応後の残留粒子からの脱励起ガンマ線を測定するために、ガンマ線検
出器DALI2を使用した。DALI2は、検出効率に優れるガンマ線検出器である。DALI2をF8の反応標的
を取り囲むようにビームパイプの周りに設置した。図 2.11に、F8に設置されたDALI2の全体図を示す。
DALI2は3つのタイプのNaI(Tl)シンチレータ計186個から構成されている。DALI2はビーム軸に対し
て、18◦–148◦をカバーする。また、残留粒子からのガンマ線以外のバックグランドを減らすためにアルミ ニウムで作られたビームパイプ厚10 mmの周りに、錫1 mmと鉛1 mmの放射線防護シールドを取り付け た。表2.6に、DALI2の仕様を示す。
表 2.6: DALI2の仕様。
Crystal size 80×40×160 66 pieces 80×45×160 88 pieces 61×61×122 32 pieces
Total 186 pieces
Solid angle coverage 18◦–148◦ Angular resolution 8.8◦ (FWHM)
NaI(Tl)は、ガンマ線との反応有効領域のボリュームを大きくすることが容易であり質量数も大きいため、
ガンマ線に対するストッピングパワーがGe検出器よりも優れている。186個のNaI(Tl)を使用することに