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計算結果

ドキュメント内 2019 (ページ 35-38)

3. 「NK-UTWind」の精度検証

4. 計算結果

4.1 セミサブ型浮体式風車の動的応答

 準静的カテナリーモデルを使用した場合のセミサ ブ型浮体式風車の動的応答を見る。まず風車静止時 の波のみに対する荷重ケースの代表例としてホワイ トノイズ波に対するLC3.5について、NKUTWindによ る解析結果と実験結果のパワースペクトル密度の比 較を図11に示す。図11(a)、(b)より、Surge、Heaveに ついては解析値と実験値でよく一致していることが わかる。一方で図11(c)からわかるようにPitch方向 の変位については解析値の方が過小評価となってい るが、このPitch方向変位の変動が過小評価される現 象はFASTやBladedを始め、他の多くの解析ツールで 共通して見られた。図11(d)に示すNo2係留の張力の 結果を見ると、Surgeの変動成分に対応する0.01Hz前 後の成分は実験値とよく一致しているが、それ以上 の高周波成分について解析値は実験値を再現できて

いないことがわかる。今回の解析においてNK-UTWind と同様にカテナリー解による準静的解析を使用し た他コードでも同様の傾向があることから、カテナ リー解による準静的解析の特徴であると推測され る。図11(e)、(f)より、タワー荷重についてはPitch 変位成分に対応する0.03Hz程度の周波数成分が解析 値で過小評価となっており、Pitch変位の過小評価が 原因と考えられる。一方で、0.32Hz周辺のタワー固有 振動に対応する周波数成分は解析値の方が実験値を 少し上回った。

 次に風車が回転しているケースであるLC4.1につ いて、NKUTWindによる解析結果と実験結果のパワー スペクトル密度の比較を図12に示す。図12(a)、(b)よ りSurgeおよびHeave方向の変位の変動成分について 解析値と実験値でよく一致していることがわかる。

一方、図12(c)より、Pitch方向の変動成分については LC3.5と同様、解析値は実験値を過小評価している。

また図12(d)より、係留張力についても低周波成分は 図9 全体座標と係留配置の概要[1] 図10 係留索の初期形状

表3 カテナリー係留の主な諸元 係留長さ 835.5 m

係留索直径 0.139 m 空中質量 125.5 kg/m ヤング率 8.25E+10 Pa 初期張力 1.12E+6 N

表4 各荷重ケースの条件

ケース名 回転数 Wave Wind

LC3.5 0 rpm White noise

Hs=10.5 m, T=6−26 s None LC4.1 12.1 rpm Irregular, JONSWAP

H=7.1 m, T=12.1 s 12.91 m/s

図11 LC3.5の(a)Surge変位、(b)Heave変位、(c)Pitch 変位、(d)係留張力、(e)タワー基部曲げモーメントの 解析値と実験値のパワースペクトル密度の比較

図12 LC4.1の(a)Surge変位、(b)Heave変位、(c)Pitch 変位、(d)係留張力、(e)タワー基部曲げモーメントの 解析値と実験値のパワースペクトル密度の比較

実験値とよく一致しているが高周波成分について解 析値は大幅な過小評価となっている。図12(e)、(f)よ り、タワー荷重の変動成分については0.02Hz付近の Pitch変位に対応するピークと0.32Hz付近のタワー 固有周期に対応するピークで解析値が実験値を大幅 に過小評価していることがわかる。タワー固有周期 に対応するピークの解析値が実験値より大幅に大き くなる現象は、デンマーク工科大学のHAWC2、IFEの 3DFloat等のコードでも同様の現象が見られ、これら のコードは全て流体力の評価にモリソン式を使用し ていることから、モリソン式特有の現象であると推 測される。具体的には、例えば付加質量成分について ポテンシャル論をベースとしたものでは周波数依存 性が考慮されるがモリソン式では一定値を使用して いるため、タワー固有振動数に対応する周波数成分 に着目するとモリソン式では過大評価になるのでは ないかと推測される。一方0.02Hz付近のPitch変位に 対応するピークについては全ての計算コードで大幅 な過小評価となっており、この原因究明が今後の課 題となっている。

4.2 係留モデルによる影響

 次に、係留モデルにランプドマスモデルを使用し た場合の結果について検討する。はじめに、規則波を 作用させた時のランプドマスモデル、準静的カテナ リーモデルと実験値の応答の比較を図13及び図14に 示す。図13より、準静的モデルと比べてランプドマス モデルの方が、係留張力の振幅および位相をよく表

していることが分かる。LC3.1と比べて入力波の振幅 が大きいLC3.2で解析解と計測値に差がみられるが、

浮体応答の非線形性等の影響が原因のひとつとなっ ている可能性が考えられる。図14より、LC3.2では準 静的モデルとランプドマスモデルで浮体のSurge、

Heave変位の平均値および振幅に差が生じているが、

この影響はLC3.1では非常に小さいことがわかる。

 不規則波を作用させた時のランプドマスモデル、

準静的カテナリーモデルと実験値の応答のパワー スペクトル密度の比較を図15に示す。図15(a)より、

1番係留の張力について準静的モデルで過小評価に なっていた波強制力の周波数成分が、ランプドマス モデルによってよく再現できていることがわかる。

図15(b)より、2番係留でも1番係留と同様の傾向が見 られるが、ランプドマスモデルを使用しても実験値 を過小評価していることがわかる。この原因の究明 は今後の課題である。図15(c)より係留モデルは浮体 のSurgeにも影響を与えており、準静的モデルで少し 課題評価されていたSurge応答がランプドマスモデ ルにより改善されていることがわかる。また図15(d)

より、Heaveに関しても0.06Hz付近の応答でランプド マスモデルの方が実験値に近い値が得られている。

一方、浮体のPitch応答が解析で過小評価される問題 が文献[1]でも指摘されており、これに関しては図15

(e)のように、ランプドマスモデルによる改善は見ら れなかった。

図13 LC3.1の(a)1番係留の張力および(b)2番係留 の張力、LC3.2の(c)1番係留の張力および(d)2番係 留の張力の解析値と実験値の比較

図14 LC3.1の(a)Surgeおよび(b)Heave、LC3.2の(c)

Surgeおよび(d)Heaveの解析値と実験値の比較

5. NK-UTWind用プリ・ポスト処理ツール

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