付録 2. B パイロットチャネル推定適用時の BER 表現式の導出
4. MC-CDMA 仮想 MIMO システムおよび繰り返し ICI キャンセラ
4.6 計算機シミュレーション結果
4.6.1 計算機シミュレーション諸元
シミュレーション諸元を表1に示す.送受信アンテナ本数はNtおよびNrとした.サブキャリ
ア数はNc=256,拡散率はSF=256とした.データ変調にはQPSKを用いた.受信機におけるチャ
ネル推定は理想的に行われるものとしている.送受信機間のチャネルは減衰指数γ=0dBのLパス 周波数選択性フェージングチャネルとし,第lパスの遅延時間はl-FFTサンプルと仮定した.マ ルチアンテナ伝送時には,受信機における信号分離法としてMLDを用いた[4.12].
4.6.2 平均BER特性
シングルコード伝送時(U=1)の受信アンテナあたりの平均受信 Eb/N0に対する提案法の平均 BER 特性を送信アンテナ数 Ntをパラメータとして図 4.5 に示す.また比較のために従来法の
MRC-周波数領域等化[4.4]と MMSE-周波数領域等化[4.4]の特性,式(4.54)で与えられる理論下界
も示す.まずパス数 L=4 の場合に,提案法では送信アンテナ本数が増大するにつれて若干特性 が劣化していることがわかる.これはパス数が少ない場合には仮想アンテナ本数を増大すること ができないためであると考えられる.しかしながら,パス数L=16の場合には,アンテナ本数を 増大させても提案法はほぼ同じBER特性となっていることがわかる.また,コード多重数をU=1 としてはいるものの,提案法ではMRC-およびMMSE-周波数領域等化を用いた場合と比較して Nt倍の伝送速度を実現できている.また,Matched filter boundからの特性劣化は,GIの挿入損に よるもの10log10(Nc/(Nc+Ng))=10log10(256/(256+32))≈0.51dBである.
97 (a) L=4.
(b) L=16.
図 4.5 平均BER特性.
10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
0 5 10 15
MRC-FDE MMSE-FDE Nt=1
Nt=2 Nt=4
Average BER
Average received Eb/N0 per receive antenna (dB) Matched filter bound
Proposed
Nc=256 SF=256 U=1 L=4-path γ=0dB
Nr=1 Nr=2
10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
0 5 10 15
MRC-FDE MMSE-FDE Nt=1
Nt=2 Nt=4
Matched filter bound
Average BER
Average received E
b/N
0 per receive antenna (dB) Proposed
Nc=256 SF=256 U=1 L=16-path γ=0dB
Nr=1 Nr=2
98
図 4.6 パス数Lの影響.
図 4.7 コード多重伝送時の平均BER特性.
4.6.3 パス数の影響
図 4.6に提案法に対するパス数Lの影響を示す.受信Eb/N0は8dBに固定した.図からわかる ように,送信アンテナ本数が1の場合にはパス数Lによらず,提案法はMRC-およびMMSE-周 波数領域等化と同じBER特性となっている.一方で,アンテナ本数がNt=2および4の場合には
10-4 10-3 10-2 10-1 100
5 10 15
MRC-FDE (Nt=1) MMSE-FDE (Nt=1) Nt=1
Nt=2 Nt=4
Average BER
Number of multipaths, L Nc=256
SF=256 U=1 γ=0dB Eb/N0=8dB
Matched Filter Bound Proposed
10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
0 5 10 15
MRC-FDE (Nt=1) MMSE-FDE (Nt=1) Proposed (Nt=2) Proposed (Nt=4)
Average BER
Average received E
b/N
0 (dB) Utotal=32
Utotal=64
Nr=1 Nc=256 SF=256
L=16-path γ=0dB GI loss = 0.51dB Matched filter bound
99 (a) Nr=1.
(b) Nr=2.
図 4.8 ICIキャンセラの適用効果.
パス数が少ない場合に,大幅に特性が劣化していることがわかる.しかしながら,パス数 L の 増大に伴いMRC-およびMMSE-周波数領域等化との特性差が縮小していることがわかる.これ は,パス数Lが少ない場合には,仮想受信アンテナ数が少なくなるためMIMO信号分離を適用
10−5 10−4 10−3 10−2 10−1 100
0 5 10 15
MRC-FDE (Nt=1) MMSE-FDE (Nt=1) Proposed (Nt=4)
Average BER
Average received Eb/N0 per receive antenna (dB) Nr=1 Nc=256 SF=256 Utotal=256 L=16-path γ=0dB
itr=0
itr=4
Matched Filter Bound
10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
0 2 4 6 8 10
MRC-FDE (Nt=1) MMSE-FDE (Nt=1) Proposed (Nt=4)
Average BER
Average received Eb/N0 per receive antenna (dB) Nr=2 Nc=256 SF=256 Utotal=256 L=16-path γ=0dB Matched Filter
Bound
itr=0
itr=4
100 しても,検出精度が劣化してしまうためである.
4.6.4 コード多重伝送時の伝送特性
図 4.7にトータルコード多重数Utotalを32および64とした場合の特性を示す.提案法の場合に は,各アンテナにおけるコード多重数 U は U=Utotal/Ntとなる.図からわかるように,従来の
MRC-FDE (Nt=Nr=1)を用いた場合には多重数によらず特性が大きく劣化していることがわかる.
これは,MRCによりチャネルの周波数選択性が強められICIが大きくなってしまったためである.
また,MMSE-FDE (Nt=Nr=1)を用いた場合には,特性劣化を抑えられてはいるものの,Utotal=64の
ときには特性が劣化してしまっていることがわかる.一方で,提案法ではまずNt=2とした場合,
Utotalが64になった場合に特性が大きく劣化しているものの,Utotal=32とした場合でも特性劣化が
ないことがわかる.これは,アンテナあたりのコード多重数UがUtotal/Nt=32となったため,ICI が大きくなったためである.一方で,Nt=4とした場合の提案法では,Utotalが64となった場合で も,アンテナあたりのコード多重数UはUtotal/Nt=16であり,ICIを抑えることができるため優れ た特性を示していることがわかる.
4.6.5 繰り返しICIキャンセラの適用効果
図 4.8に提案法を用いるMC-CDMA伝送時に対する繰り返しICIキャンセラ適用効果を示す.
最大繰り返し数はitr=0と4回とし,総コード多重数をUtotal=256とした.図からわかるように,
受信アンテナ本数をNr=1とした場合(図 4.8 (a))では,残留ICIの影響を十分に除去できてい ないために平均BER特性の改善効果が小さいことがわかる.一方で,受信アンテナ本数をNr=2 とした場合(図 4.8 (b))には,ICIキャンセラの適用により,平均BER特性を改善できている ことがわかる.