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触媒のキャラクタリゼーション

第3章 カーボンナノチューブとPtから構成されるコンポジットの触媒への応用

3.3 結果・考察

3.3.1 触媒のキャラクタリゼーション

Fig. 3.1にはエチレン分解前後のPt/MgOおよびCNT@PtのTEM像を示し た.Fig. 3.1 (a)に示したエチレン分解前のPt/MgOのTEM像から,直径5~10 nm 程度の Pt ナノ粒子が MgO担体上に担持されていることが確認できる.こ のPt/MgOにエチレンを接触させCNT生成を行った.Fig. 3.1 (b), (c)にはエチ レン分解後の Pt/MgO の TEM 像を示したが,直径 5~20 nm 程度の CNTが

Pt/MgO触媒上に生成しており,CNTの先端にはPt粒子が存在していることが

わかる.またMgOを除去することを目的にエチレン分解後のPt/MgOを塩酸水 溶液により洗浄し,その試料のTEM像をFig. 3.1 (d), (e)に示した.エチレン分 解後のPt/MgOのTEM像ではCNTに加え,Pt/MgO触媒を確認できたが,CNT

@PtのTEM像ではPtナノ粒子とCNTは観察されるものの,担体であるMgO は見られなかった.よってエチレン分解後の Pt/MgO を塩酸水溶液で洗浄する ことで,MgOが除去できたと考えられる.またFig. 3.1 (e)にはCNT@Pt中の CNT先端のTEM像を示したが,CNT先端にPtナノ粒子が確認できる. CNT とPtナノ粒子の直径はほぼ一致しており,Pt粒子表面はむき出しになっている ように見える.よってこのPt粒子は触媒活性を示すと考えられる.

Fig. 3.1 TEM images of fresh Pt/MgO (a), Pt/MgO after ethylene decomposition (b and c) and CNT@Pt (d and e).

50nm

(a) (b)

(c) 50nm (d)

10nm

(e)

Fig. 3.2には各Pt触媒のXRDパターンを示した.Pt/MgO のXRDパターン では,面心立方構造の金属Ptに由来する回折線が39,47°に,MgOに由来す る回折線が 37,43°に観察される.エチレン分解後のPt/MgOのXRDパター ンでも金属 Pt と MgO による回折線が観察された.またエチレン分解後では

26°付近にブロードなピークが生成した.エチレン分解後には Pt/MgO 上に

CNTが生成したことより,このピークはグラファイトに由来すると考えられる.

一方CNT@Ptでは,金属Ptとグラファイトによる回折線は確認できるものの,

MgOに由来する回折線は見られなかった.以上の結果より,エチレン分解後の

Pt/MgOを塩酸水溶液で洗浄することでMgOが除去されたと考えられる.また

CNT@Pt を蛍光 X 線分析により元素分析したところ,MgO の存在は確認でき

なかった.この結果は先に示したXRDから得られた結論と一致する.

先に示したようにCNT@Pt中のCNT先端にはPtナノ粒子が存在する.この Pt 種の電子状態を明らかにするために,Pt-L殻 XANES(X-ray Absorption Near-Edge Structure)スペクトルを測定した.Fig. 3.3 (a)にはPt 1原子あた りに規格化したPt foil ,Pt/MgOおよびCNT@PtのXANESスペクトルを示 した.これら 3 種類の試料の XANES スペクトルの形状はほぼ一致しているこ とが分かる.したがってPt/MgO及びCNT@Pt中のPt種は金属Ptとして存在 していると結論できる.またFig. 3.3 (b)では,各Pt触媒のXANESスペクトル における11564 eVあたりのピーク部分を拡大した.Pt-L殻XANESスペクト

ルの11564 eVに見られる吸収は,Ptの2p軌道からフェルミ準位近傍の空軌道

への一電子遷移に帰属される.このピークの強度は,Pt foilとPt/MgO で一致 するものの,CNT@Pt のピーク強度は前者に比較して小さいことが分かる.こ の結果から,Pt foilに比べ,CNT@Pt中に存在する金属Ptのフェルミ準位近傍 の電子密度は高いと考えられる.CNTからPtへ電子が移動した結果,CNT@Pt 中の金属Ptの電子密度は高くなったことが予想される.

これまで Pt は水素化触媒に利用され Pt の電子状態が変化することでその触 媒特性が変化することが報告されている.たとえば 1 分子構造内に C=C, C=O の 2 重結合を有するα,β―不飽和アルコールの水素化では,Pt粒子に Fe を 合金化することで,Pt の電子密度が向上し,不飽和アルコールの選択性が向上 することが報告されており,電子密度が向上することでC=C結合と比較し,C=O 結合が Pt粒子上で優先的に水素化されると考えられている[12].本研究で調製

した CNT@Ptでは先に述べたようにCNTから Ptへ電子が移動することで Pt

粒子の電子密度が高かったことから,CNT@Pt 触媒上ではα,β―不飽和アル デヒドの水素化により不飽和アルコールが選択的に生成すると考えられる.

Fig. 3.2 XRD patterns for Pt/MgO, Pt/MgO after ethylene decomposition and CNT@Pt.

(b) (a)

Fig. 3.3 Pt L-edge XANES spectra for Pt foil, Pt/MgO and CNT@Pt.

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