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解釈のあり方

ドキュメント内 □2009年度テーマ研究論文 (ページ 76-82)

第 4 章 交際費課税のあり方

第 2 節 解釈のあり方

1.問題の集約

前述してきたとおり、交際費の範囲に関する法令の規定が概括的であるため、取扱通達 も交際費等を直接的に定義づけることをせずに、消去法によって、まず、「主として次に掲 げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。①寄附金②値引及び 割戻し③広告宣伝費④福利厚生費⑤給与等」(措通61の4(1)-1)として除外し、交際 費等と隣接費用との区分に関する取扱いを定め、交際費等から除かれる費用を明らかにす ることにより間接的に交際費等を定義づけようとしている。しかし、交際費等の範囲に関 する定義規定が概括的であり、かつ、消去法によっているため、隣接費用との区分が明確 でなく、従って、交際費等の範囲が拡大されている傾向がある。このため、交際費等の判 定が困難となっている。このように、税法に規定されている交際費等の定義は、解釈によ

112 前出(13)124頁

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っては、企業の支出する費用の相当部分が交際費等に該当するように書かれている。それ ぞれの通達においてはある程度の判断基準を与えているとは考えられるが、さらに隣接費 用との区分に関する取扱いを定めた通達の見直しがなされるべきであると考える。しかし、

そもそも通達そのものは法令ではなく、国税庁という組織内の職務上の命令であるのであ って、納税者を法的に規制するものではない113。一方で、第3章で述べたように、交際費 課税は通達行政の最たるものとなっているのも現実であり、通達がなければ実際の適用が 困難である。本節においては、通達の運用のあり方について検討する。

また、交際費等に該当するためには、①支出の相手方が事業に関係ある者等であり、② 支出の目的が事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ること であるとともに、③行為の態様が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であ ることの三要件を満たすことが必要であるが、この判定要件の解釈のあり方についても検 討する。

2.通達による取扱いの当否

第3章において、交際費課税は、交際費等の範囲に関する定義規定が概括的であるため、

通達による判断(解釈)が、いわゆる通達行政の最たるものとなっていると提起したよう に、法令ではない通達上の取扱いの是非と運用のあり方が問題となる。この場合、交際費 等の定義を法律上明確にするには限界があるので、現行のような通達に依存することにや むを得ない点もある。しかし、その運用が、法令の趣旨を逸脱しないように配慮されなけ ればならない。そこで、法人税基本通達の前文では、同通達の制定の趣旨と同通達運用の 基本方針について、次のとおり述べている114ので、その趣旨に沿った通達の運用が必要で ある。

「この法人税基本通達の制定に当たっては、従来の法人税に関する通達について全面的に 検討を行い、これを整備統合する一方、その内容面においては、通達の個々の規定が適正 な企業会計慣行を尊重しつつ個別的事情に即した弾力的な課題処理を行うための基準とな るよう配意した。すなわち、第一に、従来の法人税通達の規定のうち法令の解釈上必要性 が尐ないと認められる留意的規定を積極的に削除し、また、適正な企業会計慣行が成熟し ていると認められる事項については、企業経理にゆだねることとし規定化を差し控えるこ

113 品川芳宣「租税法律主義と税務通達」ぎょうせい(平成 15年)34頁

114 前出(113)160頁

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第二に、規定の内容についても、個々の事案に妥当する弾力的運用を期するため、一義 的な規定の仕方ができないようなケースについては、「~のような」、「例えば」等の表現に よって具体的な事項や事例を例示するにとどめ、また、「相当部分」、「おおむね…%等」の 表現を用い機械的、平板的な処理にならないよう配意した。

したがって、この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景の みならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように 努められたい。いやしくも、通達規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体 の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないと かの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈に陥ったりすることのない ように留意されたい115。」

なお、税務通達は、第一次的には税務官庁部内の職務命令手段として発出されるもので はあるが、納税者を実質的(法的)に拘束し、かつ、租税法律主義が保障している予測可 能性と法的安定性に深く関わることになる。その意味では、税務通達は、税務官庁と納税 者によって共有されていると言える。また、税務通達は、納税者に対して公表されるもの は法令の解釈に係るもの(いわゆる法令解釈通達)が多いが、その法令解釈は、一般的な 事実関係を想定してその事実関係に適用させようとするものであるから、個別事情を有す る事実関係の全てに適用し得るとも限らない。そのため、税務通達の運用においては、そ れぞれ個別事情に応じた弾力的運用がのぞまれる116。つまり、税務通達は、社会通念にて らし、運用を上手に、弾力的に活かされるべきものであるといえる。

3.判例・学説を踏まえた解釈

第3章第 2節3で述べたように、交際費等の判定要件は、学説、判例の変遷を経て、三 要件説に落ち着いていると言える。この三要件説については、前掲の東京高裁平成15年9 月9日判決において採用されており、大方の賛成を得ている。また、当該判決の概要につ いては、第3章第2節3(2)において検討したように、当該事案に応じて適切なものと考 えられる。したがって、今後ある費用が交際費等に該当するか否かが問題になった場合に は、この三要件説に沿った検討が望まれる。

115 前出(113)161頁

116 前出(113)160頁

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しかし、三要件説とする際、第3章でも述べたように、各要件についても解釈の幅が依 然として広いままであり、この要件についても、まだまだ検討の余地があると考えられる。

もっとも、支出の相手方については、「事業に関係ある者」から社内の役員及び従業員を除 くことによって相当に明確にすることができる。しかし、それでも、「事業に関係のある者」

の要件については、近い将来事業関係を持つにいたるものまで含まれるという点など不確 実性を有するから、一層の定義の明確化が求められるところである。

また、「行為の態様」行為の態様の判断、解釈においては、金額の多寡、または、その支 出が不必要(冗費)あるいは過大(濫費)といった要素を考慮する必要がないことが、判 示されたことについては、量的規制を採用している以上止むを得ないと考えられる。しか し、明らかに冗費又は濫費と認められる支出については、損金性がない(交際費でもない)

として、前述の50%損金不算入(損金算入)とは別に、その金額を損金不算入とすべきで ある。

三要件説には、まだ検討されるべき点は多いとしても、交際費等の拡大解釈を抑制する ためには、三要件説において示される判定要件にこだわるべきであると考える。

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むすびに

交際費課税の現状と問題点として、第 1 章では我が国の交際費課税の実態を昭和 29 年 の制度創設から現在に至るまでの沿革、現行規定の概要として法令の規定、通達の取扱い をみてきた。第2章では、諸外国の交際費課税制度と我が国の制度との比較をした。第 3 章において、制度上の問題点として、①損金不算入制度、②交際費等の範囲、③中小法人 の特例、④飲食費の軽減の4つの問題点を挙げた。解釈上の問題点として、交際費等の意 義、通達による取扱いの当否、判例・学説の動向として東京高裁平成 15年9月 9日判決

(萬有製薬事件)を事例として、交際費等の判定要件を考察した。第4章においては、交 際費課税のあり方の提言をし、各問題点について検討してきた。

交際費等は、企業活動に必要な費用であるため、本質的には損金性があるものである。

一方で、冗費・濫費の抑制といった意味合いからも、ある程度の規制は必要となる。諸外 国のような質的規制の採用は、税務執行上の事実認定の困難性、事務手数の煩雑性という 問題がつきまとうことから現実的でないとしても、量的規制を継続して採用する中で、一 部(50%程度)損金算入を認める制度にすることにより、交際費等は事業経費であるとい う大前提に合致するような改善を図ることができると考える。交際費等の範囲について、

本稿においては、従業員等を含むことの是非について検討した。現行の規定では、従業員 等に対する社内交際費も交際費等に該当することになるため、所得税との二重課税の問題 が生じる。このため、事業に関係ある者から従業員を除くことを提言した。しかし、交際 費等の範囲については、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、

その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他 これらに類する行為(第二号において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲 げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいう。

一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用 二 飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第 2 条 第15号 に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出す るものを除く。)であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算 した金額が政令で定める金額以下の費用

三 前 2 号に掲げる費用のほか政令で定める費用」(措法第 61 条の 4(3))としている だけであり、交際費等の範囲(意義)が概括的であるのに変わりはない。本稿の交際費等

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