第 5 章 BSM モデルとの比較と考察 56
5.1.1 解析結果
図5.3から5.5は各レプトンチャンネルでの標準模型と新物理モデルとのずれを示した図で ある。各図はビームに対する粒子の角度の分布が、標準模型を基準にした時に新物理モデルに おいてどれくらいの割合でずれるのかを表している。黒の誤差棒は各チャンネルの角度分布か ら求めた1σ の統計誤差を表している。右巻き偏極より左巻き偏極の方が同じ質量・同じモデ ルを仮定した場合に標準模型とのずれが大きくなると考えられているため、ここでは左巻き偏 極の場合のみ載せている。どのチャンネルにおいてもALRモデルが標準模型よりも大きくず れがあることがわかる。逆に E6 のψ, ηモデルはここで表示しているものではほとんど標準
5.1 SSM、E6モデルによるZ′ボソンの効果 59
図5.2 各ハドロンチャンネルにおけるビーム軸に対する角度分布。左 (右) 図は 左(右) 偏極時の角度分布を表している。 上段、下段はそれぞれb¯b, c¯cチャンネル赤線はCharge IDが成功しているシグナル。青線はCharge IDが上手くいかず反転しているシグナル。
緑線は背景事象。
模型とのずれを見ることが困難であることがうかがえる。また、これらの図ではZ′ の質量が
2.5 TeVの場合と5.0 TeVの場合を仮定した場合のずれを表示しているが、どのチャンネル・
モデルにおいても質量が2.5 TeVの方は容易に発見ができるが、5.0 TeVの場合は比較的発見 が難しいことがわかる。図5.6および図5.7はクォークチャンネルでの標準模型と新物理モデ ルとのずれを示した図である。bクォークのSSMモデルにおいては、右巻き偏極の方がBSM によるずれがかなり大きいため、右巻き偏極の場合を載せている。のCharge IDのefficiency が下がることにより、角度分布のずれが小さくなり発見が難しくなることがわかる。
レプトンのチャンネルで各モデルで様々な質量を仮定して求めたχ2 から標準模型と無矛盾 になる確率を求めたグラフが、図5.8である。また、レプトンのチャンネルと今回解析を行っ たハドロンのチャンネルを合わせて、標準模型と無矛盾になる確率を求めたグラフが図5.9で ある。この確率が低いほどその質量および新物理モデルにおいてZ′ 粒子が見つけやすくなる ということを表す。このグラフから3σ*1以上のずれを以って見つけることができる質量の上 限をモデルごとに表したものが表5.1である。
*13σにおける標準模型と無矛盾になる確率は0.0027である。
表5.1 重心系エネルギー250 GeVのILCのe+e− → ℓ+ℓ− の測定で3σ 以上のずれで 検出可能なZ′の質量の上限。チャンネルを追加して質量の上限が下がる場合は、追加前の 上限の値を用いている。これはχ2の値が1のままbin数が増えると確率が上がるためで ある。
Z′ model ℓ b c ℓ+b ℓ+b+c
SSM 2.8 TeV 4.5 TeV 2.7 TeV 4.5 TeV 4.5 TeV ALR 4.0 TeV 2.9 TeV 2.8 TeV 4.0 TeV 4.0 TeV χ 2.9 TeV 2.4 TeV 1.4 TeV 2.9 TeV 2.9 TeV ψ 1.4 TeV 2.1 TeV 1.4 TeV 2.1 TeV 2.1 TeV η 1.8 TeV 2.3 TeV 1.4 TeV 2.3 TeV 2.3 TeV
5.1 SSM、E6モデルによるZ′ボソンの効果 61
図5.3 Z′の SSM及びE6モデルにおける標準理論のe+e− →e+e− の反応断面積との ずれ。赤(青)線はZ′ の質量が2.5 (5.0) TeVの場合のずれを表している。エラーバーは 今回の解析で期待される精度を表している。
図5.4 Z′のSSM及びE6モデルにおける標準理論のe+e− →µ+µ− の反応断面積との ずれ。赤(青)線はZ′ の質量が2.5 (5.0) TeVの場合のずれを表している。エラーバーは 今回の解析で期待される精度を表している
5.1 SSM、E6モデルによるZ′ボソンの効果 63
図5.5 Z′のSSM 及びE6モデルにおける標準理論のe+e− →τ+τ− の反応断面積との ずれ。赤(青)線はZ′ の質量が2.5 (5.0) TeVの場合のずれを表している。エラーバーは 今回の解析で期待される精度を表している。
図5.6 Z′ の SSM 及びE6モデルにおける標準理論のe+e− →b¯bの反応断面積とのず れ。Z′ の質量が2.5 TeVの場合のずれを表しており、赤線はCharge IDのefficiencyが 100%の場合、青線は今回の解析(60%)の場合である。エラーバーは今回の解析で期待さ れる精度を表している。
5.1 SSM、E6モデルによるZ′ボソンの効果 65
図5.7 Z′ の SSM 及びE6モデルにおける標準理論のe+e− →c¯cの反応断面積とのず れ。Z′ の質量が2.5 TeVの場合のずれを表しており、赤線はCharge IDのefficiencyが 100%の場合、青線は今回の解析(60%)の場合である。エラーバーは今回の解析で期待さ れる精度を表している。
図5.8 Z′モデルのずれが標準模型と無矛盾になる確率を示すグラフ。これはレプトン チャンネルを合わせたものである。横軸は、仮定したZ′の質量で縦軸が確率。下図は3σ から5σ の範囲内で標準模型のずれが見られる範囲を拡大したもの
図5.9 Z′モデルのずれが標準模型と無矛盾になる確率を示すグラフ。横軸は仮定した Z′の質量で、縦軸が確率。左図はレプトンチャンネルとb¯bチャンネルを合わせたもの、右 図はレプトンチャンネルとb¯b, c¯cチャンネルを合わせたものである。