第 3 章 歩行者空間のためのグレア評価手法
3.3 実験結果
3.3.1 観測位置の影響
図3-4 グレア評価と観測距離の関係 1
2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
評価得点の平均値
観測距離 [ m ]
Light-01 Light-02 Light-03 Light-04 Light-05 Light-06 Light-07 1
2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
評価得点の中央値
観測距離 [ m ]
Light-01 Light-02 Light-03 Light-04 Light-05 Light-06 Light-07
1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
評価得点の75%タイル値
観測距離 [ m ]
Light-01 Light-02 Light-03 Light-04 Light-05 Light-06 Light-07 (a)
(b)
(c)
図 3-5 に、あらためて観測距離に対するグレア評価の変化を示す。図 3-5 (a) (b) は、周辺視評価と中心視評価それぞれで最も被験者間で標準誤差(SE)が大きかっ たデータ(各々Light-05 と Light-07)である。なお、他のテスト光は、周辺視と中 心視ともに縦軸の値は上下するが同様の傾向であった。
図3-5 (a) に示す周辺視による評価は、観測位置A地点からE地点へと観測距離
が近くなるほどグレアが増加する傾向にあるが、もっともテスト光に近いF地点で グレアが減少している。これは被験者の視界からグレア源となるテスト光が外れた ことを意味する。E地点の評価は、多くの被験者がD地点と同様あるいはそれ以上 にグレアを強く感じると回答したが、F 地点と同じ理由でグレアを感じないとした 被験者が約30%いた。したがってグレア源は、E 地点(仰角25 度)と F地点(仰 角40度)との間で被験者の視野から外れたことが分かる。その境界は仰角30度付 近であったと推定できる。以後の周辺視評価の解析は、テスト光が視野の外側に位 置したと判断できるF地点とE地点の一部のデータを除いて行うこととした。
一方、図 3-5 (b) に示す中心視によるグレア評価は、全体的に周辺視より高い評
価値となり、テスト光に近づくほどまぶしいと評価されている。これは、テスト光 が視野の中心に位置することに加え、テスト光の見かけの大きさが影響したと思わ れる。
(a) 周辺視評価の標準誤差
(b) 中心視評価の標準誤差
図3-5 不快グレア評価と観測距離との関係 1
2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
不快グレア評価
観測距離 [ m ]
Light-07
F E D C A 1
2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
不快グレア評価
観測距離 [ m ]
Light-05
F E D C B A
すべてのテスト光の周辺視評価と中心視評価の結果を図3-6 (a) (b) に示す。図 3-6 (a) は、テスト光ごとの相違が見やすいように縦軸の最大値を6とした。図3-6 (a) に 示した周辺視評価では、Light-05 と Light-06 が高い(まぶしい)評価となった。こ のテスト光は、グローブ越しにLEDモジュールが見えるという特徴を有する街路灯 である。次に高い評価となったのはLight-02(蛍光灯)である。続いてHIDのLight-01、
低出力LEDであるLight-07、20°拡散版を付けたLight-03(LED)がほぼ同程度で、
80°拡散版を付加した Light-4(LED)が最も低い(まぶしくない)評価となった。
図3-6 (b) に示した中心視評価では、Light-05(LED)とLight-06(LED)が最も高 い評価なのは周辺視と同様だが、Light-01(HID)とLight-02(蛍光灯)の順位が周 辺視とは逆転して Light-01 の方が高い評価となった。低出力 LED である Light-07
と 20°拡散版を付けた Light-03 がほぼ同程度なのは周辺視と変わらない。ただし
80°拡散板を付加したLight-04が突出して低い結果となったのは周辺視と明確に異
なっている。
結果の全体的な傾向としては、発光面の不均一性が顕著な光源はグレアが高い
(まぶしい)と評価され、発光面が比較的均一な光源ほどグレア評価が低くなって おり、視覚系の空間解像度の良い中心視の方がその傾向が顕著に表れている。例え ば、周辺視評価での D 地点(11.2m)での結果に注目すると、Light-05(LED)は、
Light-01(HID)、Light-02(FL)、Light-04(80°拡散版 LED)より 9 段階のグレア 評価スケールで約1(0.7~1.2)段階まぶしいと評価されている。同じD地点の中心 視評価では、Light-05(LED)とLight-04(80°拡散版LED)の相違は 2.45となり、
周辺視より差が顕著になった。また、周辺視評価では、いずれのテスト光ともC地 点(17m)から E 地点(6.4m)の間で不快グレアを強く感じている。したがって不 快グレアを感じにくい街路灯を開発するには、この間(仰角10度から30度)の配 光特性が特に重要であることが示唆されたといえよう。
(a) 周辺視評価の平均値
(b) 中心視評価の平均値
図3-6 不快グレア評価と観測距離との関係 1
2 3 4 5 6
0 10 20 30 40
不快グレア評価
観測距離 [ m ]
Light-01 Light-02 Light-03 Light-04 Light-05 Light-06 Light-07 F E D C B A
1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 40
不快グレア評価
観測距離 [ m ]
Light-01 Light-02 Light-03 Light-04 Light-05 Light-06 Light-07 F E D C A