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視覚的なスライドを作る

ドキュメント内 10SS (ページ 60-63)

6.   プレゼンテーション

6.2   視覚的なスライドを作る

⾃自動的に字を読んでしまう性質

 スライドを提示するとき、そこに文章が書いてあったら私たちはどうするでしょう か。読もうと思わなくても文章を読んでしまいます。人は、字が書いてあると「自動

的に」その字を読んでしまうという性質があります。これを「自動的読み

(Automatic reading)」と呼びます。

 もし、スライド一面に文字が書いてあるとしたら、私たちはそれを読んでしまいま す。そしてそれを読んでいる間は、スピーチの言葉は耳に入ってきません。注意の資源 が一定なので、読みに資源が奪われれば、聞く方には注意がいかないということで す。

 もし自分のスピーチを注意深く聞いて欲しいと思うなら、スライドに文章をたくさ ん詰め込んではいけません。スライドとして見せるべき情報は文章ではなく、写真や 図や表などの情報です。

 図6.2を見てください。左側はビル・ゲイツ(マイクロソフト社会長)のスライド、

右側はスティーブ・ジョブズ(アップル社CEO)のスライドです注1。ゲイツのスライ ドは、箇条書き方式を使って簡潔にしようとはしていますが、文字がたくさんです。

一方、ジョブズのスライドは、数字以外の文字はありません。その代わり、写真など のグラフィック情報を載せています。

図6.2 字の多いスライド(左)と少ないスライド(右)

 図6.3と図6.4は、同じ12枚のスライドを、ゲイツのものと、ジョブズのもので対比 したものです。ゲイツのスライドも図版を取り入れてはいますが、箇条書きによる文 章がたくさん入っています。対照的に、ジョブズのスライドでは、写真や図版がメイ ンであり、文字はほとんど入っていません。

 ジョブズのようにスライドの中に文字を最小限にすれば、聴衆はスライドが提示さ れても、自動的読みをする時間は最小限に留まります。そのおかげで、自分の注意を ジョブズのスピーチに振り向けることができるのです。

 一方、ゲイツのようにスライドの中にたくさんの文字があると、文字を読む作業 と、スピーチを聞く作業を切り替えながら理解しなければなりません。そのため、理

注1 「Presentation Zen」より引用。http://www.presentationzen.com/presentationzen/

解のための処理が追いつかず、プレゼンテーションの内容理解が浅いものになってし まうおそれがあります。

図6.3 ゲイツのスライド

図6.4 ジョブズのスライド

 文章の多いスライドは、インパクトが弱くなってしまう危険性もあります。しか し、スピーチをする方としては安心です。話すべき内容はすべてスライドに書いてある からです。もし次に話すことを忘れてしまっても、スライドを見れば、すぐに思い出す ことができます。

 しかし、本来はスピーチを何度も練習して、スライドを見なくても(ましてや原稿 を見なくても)話せるようにしておくべきです。

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