第一節 視聴覚教育につかわれる機材の現状
この小論の擦的は,視聴覚機材,ないし媒体:を利用しておこなわれる鑓本 語教育について考察することにある。
現在,一般に視聴覚教育に利梢されている機器,機材としてつぎのものが あげられる。
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以上のもののなかには,
うったえるものと,そしてそれらの双方にかかわるものとの三種に大壷する ことができる。なお前記の分類はあくまで便宜的なもので,素材,機材,機 器,機能などにかかわる名称が混在している。しかしなるべく一一般になじみ のある用語を使用したためにこのようなものになった。
さて,この分類の1〜3にあげたものが視覚にうったえるもの,4〜8に あげたものが聴覚にうったえるものs9以降がそれらの双方にかかわるもの
である。
カード ボード スライド ラジオ レコード
テーープ。レコーーダー ソノシート
ランゲッジ・ラボラトリー 映画
テレビ
ビデオ・テープ
もっぱら人間の視覚にうったえるものと,聴覚に
視覚的な媒体にほ癒像が静止したものと,移動するものとがある。静庇し たものとして1#1 i.〜3が,移動するものとしては9以降があげられる。この
うち移動する爾像のことを特に「映像」といっておくが,これはこの小論に おけるかりの名称である。この「映像」に対して聴覚にうったえる機能,な いし媒体の構成要素を「音声」ということにする。これらの音声と映像とが ともに使用されるのが9以降の映癒,テレビ, ビデオ。テープの三種であ る。これらの媒体にあっては,音声も映像もともに同格の価値を有する表現 手段であって,どちらが主でもなく,また従でもなく,一方が欠如したり,
また不完全であってはならない。しかもそれらが同時的に連動している
(synchronize)ことが必要な条件である。
たとえば,以前におこなわれていた無声映画(サイレント・フィルム)は この要件を満足させていない。また,工場,商店,事務所,銀行などで,そ の事業所の管理や制御のために使用されているモニター・テレビも,一般に 音声を具備しない場合がおおいから,その場合もやはりこの要件を満足させ ていない。
なお,1〜11にあげた各種のものをいくつかくみあわせてつくられている ものにティーチング。マシンとよぼれるものがある。また10と11とを区別 した理由は,4のラジオと5以降の音声媒体とを区別した理由と同様,ラジ オやテレビは放送を受信する機構として,レコード,テープ・レコーダー,
ビデオ・テープなどほ音声や映像をもっぱら再生する機構としてかんがえた からである。
最後に映画とテレビとの決定的な根違を指摘しよう。この両者はその機 構,材質等の相違は趨として,現在おこっているできごとを完全に同時に伝 達しうるかどうかという点で重要な相違がある。映画においてそれが絶対に なしえないのに対し,テレビにおいて同時放送ということがなしうる。もち ろんテレビという機構をつうじて伝達される音声や映像は,そのおくり手に よって取捨選択されたものではある。いわゆる編集と称する手段であり,こ れをある人は擬似同時性などとよぶこともある。しかもテレビ放送のほとん
どが録画されたものであることもよくしられている。同時放送のおおくは報 道,運動競技,舞台などの中継と一部の視聴者参加番組と称する制限された 要素の濃厚なスタジオ番組である。それでもなおかつ,この同時性という契 機は特筆しなければならない。
第二節 ビデオ教材の機能と可能性
テレビないしはビデオ・テープと,映画との根本的な差異については先述 したが,ここではそれらを実際に再現するに際しての機材,機器あるいはい わゆるハード・ウ=アの側面から考察したい。
視聴覚教育が音声または映像,もしくほそれら両者を素材にしておこなわ れるものであり,それが言語教育に利用されるにあたっては,それら素材の 長所や利点を十分に活用するものでなければならないことは論をまたない。
音声と映像とが有機的に結合し,旛互に緊張を保持しあうような素材を利用 するとき言語教育の四分野である「よむ,きく,かく,はなす」のうち「き く」という要素と,「みる」という別の要素が結合したような素材を利用す るとき,その特徴はいかんなく発揮されるであろう。そして映像と音声とを あわせ有する媒体は,映画,テレビ,ビデオ・テープであった。いまここ で,テレビという放送を受儒するものと,ビデオ・テープというテレビと本 質的に同様の機構を膚する再現装置とを同種のものと仮定し,ビデオ媒体,
ないしはビデオ素材とよぶことにしよう。
映画とテレビとの比較を,岡時性という観点から先述したが,つぎに映画 とビデオとを再現装置という機構的な側面から,すなわちハード・ウェアの 側面から一言した:い。
ある一定の素材を再現するに際し,教育の現場において要請されること は,簡便,容易ということである。そしてつぎには費用の低廉という経済性 の問題である。現在,映画フィルムとビデオ・テープを比較した場合,これ らの二点,すなわち価格のやすさと,とりあつかいやすさとにおいて,はる かにビデオ。テープがすぐれていることは周知である。そして再現装置の機 能も,その価格もビデオの方が有利である。ただ保守,維持管理,耐用性と いうところで比較すると,単なる電気機械とそれに付随するわずかな光学部 贔で構成される映写器やスクリーンよりは,ビデオ・テープ・レ=一ダーや 受像機器は精巧な電子製贔であるから,当然とりあつかいも慎重にしなけれ
ば,その性能を十分に発揮させることはむずかしい。
しかし,なんといっても,音声醤語と,非音声言語としての身体行動との 有機的統一をもとめ,それらを教育臼標としてとらえようとすれば,現在の 技術的な水準では,ビデオによる再生がもっとも有効かつ便宜であろうとお もわれる。より具体的にのべれぼ,オープン式よりはカセット式のビデオ。
テープ・レコ 一一ダーによる再生が,その要求を満足しうるものとかんがえら れる。その再生機には逆もどしゃはやおくりの通常の機能はもちろん,一時 停止,こまおとし,逆こまおとし,反復再生,停止拡大,停止縮小などの機 能があれぼ非常に便利であることは奮をまたない。これによって,先述の擬 似時闘の再生はもとより,時聞の停止,時聞の短縮・伸長,などがおこなわ れることになり,教育技術の画期的な飛躍が可能となる。さらに人間工学上 の観点から,とりあつかいやすい機構の配列,すなわち計器板その他の工 夫,労力をそれほど必要としない操作機能,すなわちソフト・タッチ式のボ タン類の装備,営繕管理の容易な機種の開発,変質しにくいテープ類の製造 等,現状よりのおおくの改善が希望されるのは当然である。
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