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見通し内 VHF 帯電波伝搬異常のリアルタイム検出と通知システム

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13. 見通し内 VHF 帯電波伝搬異常のリアルタイム

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STEP.2の信号処理では、本稿の解析結果を反映した処理を自動で行っている。具体

的には、マザーウェーブレットにScale25のMorletWaveletを使用し、STEP.1でPC 内に記録された観測データとのたたみこみを計算させている。スケール値を固定した場 合、連続ウェーブレット変換はたたみこみで容易に再現できる。自動で1日に4回(0 時、6時、12時、18時)2つの放送波(東京スカイツリーを送信局とした放送波:82.5MHz

NHK FM東京 と 茨城県燕山を送信局とした放送波:83.2MHz NHK FM水戸)に

対して信号処理を行い、伝搬異常を検出している。

STEP.3の通知では、信号処理によって伝搬異常が発生したと判断された場合、特定

のメールアドレスに自動で伝搬異常の発生を知らせるメールの配信を行っている。また、

配信されたメールの文面を見た段階でどの放送波で伝搬異常が発生していたかを把握 するために、3つの配信パターンを設けている。

表13.1.1 メール配信のパターン

パターン① 東京スカイツリーの放送波で伝搬異常が発生していた場合 パターン② 茨城県燕山の放送波で伝搬異常が発生していた場合

パターン③ 東京スカイツリーの放送波と茨城県燕山の放送波で伝搬異常が 同時に発生していた場合

信号処理と同じく、1日に4 回(0時、6 時、12時、18 時)通知が出されるタイミ ングがある。また、メールの自動配信と同時に研究室内向けの伝搬異常発生報告掲示板 に伝搬異常の発生を知らせる投稿を自動で行うようになっている。

13.2. 新システムを構築した結果

稼働期間は2014年9月1日から2014年12月10日までである。表13.2.1に稼働期 間内に発生した伝搬異常と伝搬異常が発生した放送波(伝搬路)、地震発生の有無をま とめて記載する。

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表13.2.1 伝搬異常と地震発生の有無 伝搬異常発生日

(通知タイミング)

伝搬異常が発生した放送波 (伝搬路)

地震発生の有無 (M≧5.0) 9月22日

6:00 茨城県燕山

9月24日21:45 福島県沖M5.1

深さ51[km]

9月22日

12:00 東京スカイツリーと茨城県燕山

9月24日22:30 福島県沖M5.1

深さ51[km]

11月4日

18:00 茨城県燕山

11月8日8:54 宮城県沖M5.2

深さ40[km]

11月22日

18:00 東京スカイツリー 11月22日22:8

長野県北部M6.7深さ5[km]

12月2日

6:00 茨城県燕山 ☓

表13.2.1に挙げた地震はM≧5.0の条件を満たすものである。伝搬異常発生日から5

日以内にM≧5.0の地震が発生していなかった場合を“☓”としている。

表13.2.1から、11月22日22時8分に長野県北部で発生したM6.7深さ5[km]の地 震に先行して約4時間前に伝搬異常発生のメールが配信されたことがわかる。よって、

大規模な地震に伴って発生したと思われる伝搬異常を地震の発生前に捉えた貴重な観 測例を得たと言える。

しかし、本稿に示した解析結果では、地震発生の1日前後に伝搬異常が発生しやすい という傾向があったが、この結果に合致する観測例は、上記の1例のみであった。また、

表13.2.1に列挙した4 つの地震の震央に至っては、当初想定していた範囲外に位置し

ている。想定していた範囲と実際に起きた地震の震央位置をプロットした図を以下に示 す。

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図13.2.1 想定していた範囲と実際に発生した地震の震央位置

図13.2.1から、4つの地震が点線で示した想定範囲内で発生した地震ではないことが

ひと目わかる。伝搬路から最も近い位置で発生していた地震は、長野県北部で発生した M6.7の地震であった(約134[km])。

以上のことから、残念ながら、明確に地震を予知したとは言い切れない。

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