︑N AA CP の主 張を 支持 する もの とし て受 け取 って いる のは 明ら かで ある
︒だ がこ の記 事の 後 半に おけ るボ アズ の指 摘
︱
すな わち 混血 が進 むこ とに よっ て﹁ 皮膚 の色 の境 界線
カ ラ ー
・ ラ イ ン
﹂︑ そし て境 界線 を挟 んで のせ・ め・ ぎ・ 合・ い・ はな くな ると いう 趣旨 のボ アズ の指 摘
︱
をど のよ うに 把握 した であ ろう か︒ デュ ボイ スは もち ろん
︑こ のよ うな ボア ズの 論旨 が含 まれ てい るこ とも 承知 して いる こと は明 らか であ る
︱
つま り︑ 承知 して いる こと から すれ ば︑ デュ ボイ スも
︑黒 人と して の自 我意 識・ 自立 意識 の先 鋭化
・鮮 明化 と同 時に
︑混 血に よる 黒人 種の 拡散 と人 種意 識の 希薄 化を 同時 にと らえ てい たこ とに なる
︒後 者を 否定 する どこ ろか
︑状 況を 冷静 に見 極め る幅 広い 視座 を持 って いた と言 える
︒つ まり デュ ボイ スは
︑ス カイ ラー の考 えも 受け 入れ るこ とが でき たと いう こと にな る︒ この 点を 敷衍 して 次の よう に結 論づ けて おこ う
︱
スカ イラ ーと 同様
︑デ ュボ イス も人 種認 識の 多様 性・ 多義 性を 理解 して いた
︒ 二人 はそ れぞ れの 考え を否 定し 合う とい うよ りも
︑そ れぞ れの 立場 から 黒人 の解 放に 向け て問 題を 提起 し︑ 白人
・黒 人関 係の ある べき 姿を 協働 して 模索 して いた こと にな る︒ 第六
章 スカ イラ ーと
﹃ア メリ カン
・マ ーキ ュリ ー﹄ デュ
ボイ スの スカ イラ ー評 実は デュ ボイ スは
︑一 九三 一年 一月 号の
﹃ク ライ シス
﹄で スカ イラ ーを 高く 評価 して いる
︒ ジョ
ージ
・ス カイ ラー には
︑き わめ て斬 新で 期待 のも てる 何か があ る︒ 私は
︑世 界大 戦前 から
︑と くに 引き 付け られ るこ と
︵八 七︶
もな く︑ 次か ら次 へと 現れ る若 い急 進派 たち を観 察し てき た︒ 彼ら の頭 の切 れの 良さ につ いて は疑 いの 余地 はな かっ た︒ 彼ら は生 意気 で︑ 無謀 で︑ 手荒 で︑ 大胆 だっ た︒ しか し︑ 私が 彼ら につ いて いつ も考 えさ せら れた 問題 は︑ 彼ら はそ のよ うな 自分 たち の姿 勢に 対し て進 んで 責任 を取 れる のか
︑と いう こと だっ た︒ 急進 派と して 振舞 うの はそ う難 しい こと では ない
︒あ る年 齢に なれ ば︑ きわ めて 容易 なこ とで ある
︒し かし 自分 の考 えに 対し て責 任を 取る こと
︑自 ら進 んで 血の 汗を 流し た以 上︑ ひる むこ とな く︑ 自分 が見 て取 った 真実 を冷 静に 直視 する こと
︱
こ のこ とこ そ︑ 社会 が必 要と する 急進 派の 姿勢 であ る︒ 私の 頭 に思 い浮 かぶ 若者 のほ とん どは︑こ のよ うな 姿勢 を貫 くこ とは でき ず︑ 途中 で挫 折し て︑ あき らめ てし まっ た︒ 彼ら は資 本家
︑ 保守 主義 者︑ 労働 組合 員に なり
︑最 悪の 場合 は︑ 完全 に口 を閉 ざし てし まっ た︒ し・ か・ し・
︑・ ジ・ ョ・ ー・ ジ・
・・ ス・ カ・ イ・ ラ・ ー・ は・
︑・ こ・ れ・ ま・ で・ の・ と・ こ・ ろ・
︑・ 大・ 多・ 数・ の・ 人・ が・ 聞・ き・ た・ く・ な・ い・ こ・ と・ を・ 言・ い・ 続・ け・ て・ い・ る・
︒食 えな くな って も︑ 自分 の考 えを 貫く 紳士 であ る︵Heisa
starvinggentleman
︶︒ 彼の 言っ てい るこ とに 賛成 しよ うが しま いが
︑と にか く読 んで みる 必要 があ る︒ 彼は 最近
︑﹃ アメ リカ ン・ マー キュ リー
﹄に 数編 の記 事を 書い てい る︒ 最新 号︹ 一九 三○ 年十 二月 号﹈ にも
︑︽ 黒人 の 兵つわもの ども
︾が 掲載 され た︒ 一 読さ れた し︒
︵一 六頁
︶
︽黒 人の 兵つわも
どの
も︾ は︑ 人種 の溝 をと らえ る話 題は ある もの の︑ 例え ば︑
﹁壊 れた グラ ス﹂ のエ ピソ ード のよ うに
︑ 黒人 が白 人を 駆け 引き に引 き込 み︑ 白人 を負 かし
︑白 人も 素直 に敗 北を 受け 入れ てい る︒ どち らの 人種 を戯 画化 する とい うこ とで はな く︑ 対等 な人 種関 係が 浮き 彫り にさ れる
︒ま た︑ 自分 の腕 力を 誇示 する
﹁パ ップ
・エ クル ズ﹂ や︑ 熱狂 的な 愛国 心を ふり まく
﹁ジ ャク ソン 軍曹
﹂の ユー モラ スな エピ ソー ドに つい ても
︑彼 らが 陥る 窮地 が可 笑し いの は︑ 彼ら が黒 人で ある から では なく
︑軍 隊生 活を 送っ たア メリ カ人 なら
︑二 人の 黒人 を取 り巻 く軍 隊生 活風 景に 共感 でき るか らで ある
︒ス カイ ラー の人 種を 超え た視 座が 働い てい るこ とか ら︑ 白人 兵士 と同 じよ うに
︑﹁ アメ リカ 国民
﹂ とし ての 役割 を対 等に 遂行 して いる 黒人 兵士 の姿 があ る︵ 二八 八︱
九七 頁︶
︒
︵八 八︶
デュ ボイ スが
﹁大 多数 の人 が聞 きた くな いこ とを 言い 続け てい る﹂ とす るス カイ ラー の視 座は
︑黒 人・ 白人 を問 わ ず︑ 人種 関係 にお いて 優劣 なく 対等 であ るこ とを 浮き 彫り にす る︒ それ は︑ おお かた
︑白 人な らば 自明 のこ とで ある と受 け取 って いた 立場 を窮 地に 追い やる こと にな るも ので ある ゆえ
︑白 人に は痛 烈な 皮肉
・風 刺・ 揶揄 とし て跳 ね 返っ てく る︒
﹃ア メリ カン
・マ ーキ ュリ ー﹄ の編 集者 H・ L・ メン ケン もそ のよ うな 視座 を共 有し てい るこ とか ら︑ スカ イラ ーを 寄稿 者に 選ん だの であ る︒ これ まで の人 種関 係の 枠組 みを 解体 する
﹁因 習打 破主 義者
﹂︵iconoclast
︶と して
︑ス カイ ラー が﹁ 黒人 のメ ンケ ン﹂ と称 され るよ うに なっ た所 以で ある
︵O.R.Williams
六一
︱
七一 頁︒H,M.
Williams,Jr.
二四 五︱
四六 頁︶
︒そ れは
︑ス カイ ラー の﹁ プー プー イズ ム﹂ や﹁ 戯言ぎげん
﹂あ るい は﹁ ナン セン ス﹂ を意 味 する
﹁ホ ーカ ム﹂︵hokum
の︶ 視座 と分 かち 合う もの であ る︒
﹁黒 人の メン ケン
﹂の 名を 冠せ られ たの は︑ スカ イラ ーの 最初 の﹃ アメ リカ ン・ マー キュ リー
﹄︵ 一九 二七 年一 二月 号︶ のエ ッセ イ︽ われ らの 白人 につ いて
︾︵ 三八 五︱
九二 頁︶ によ る︒ この エッ セイ でも
︑こ れま で見 てき たス カイ ラー の
﹁人 種﹂ 脱構 築の 論理 が展 開さ れて いる
︒
・・
・黒 人の 兄弟
ダー ク・ ブラ ザー
は︑ 有名 な﹁ 血一 滴ル ール
﹂が 可笑 しく て腹 を抱 えて 笑う
︒﹁ 血一 滴ル ール
﹂と は︑ 完全 に純 血と され る 白 人
ノー ディ ック
と見 分け がつ かな い可 能性 があ った り︑ 実際 に見 分け がつ かな いこ とも ある にも かか わら ず︑ はる かに 遠い 先祖 に黒 人ニグロ がい た人 間は すべ て黒 人ニグロ と規 定す ると いう
︑人 類学 に対 する アメ リカ の著・ し・ い・ 貢・ 献・ であ る︒
︵三 八九 頁︶
・・
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・・
・・ 黒人ニグロ は︑ 白人 の小 人
リリ パッ
にト
鎖で 繋が れた 黒肌 のガ リヴ ァー
︑肌 色の 偏見 の牢 獄に 放り 込ま れた 囚人
︑ま た頑 迷固 陋の 森の 中の 世間 知ら ずで ある()
︒し かし
︑そ れに もか かわ らず
︑物 事を 達観 し︑ 斜はす に構 えて 自分 自身 を笑 い︑ 自分 の窮 地を 笑い 飛ば せる 人
63
︵八 九︶
間で もあ る︒ どの 人種 グル ープ より も︑ ユダ ヤ人 より も︑ 願望 を込 めて 周り の状 況を 見る ので はな く︑ あり のま ま冷 静に 見る 能力 を発 達さ せて きた
︒白 人 階 級
オフ ェイ
・ジ ェン トリ
のー
矛盾 した 言動 を綿 密に 調べ 上げ
︑そ れに よっ て黒 人
ニグ ロ
は︑ この 低能 者
モ ロ ン
の共 和国 で本 当に 賢く にな るの だ︒ 白人
クラ ッカ
のー
イン テリ が︑ アン グロ サク ソン の昔 から のス ロー ガン や概 念で ある
︑正 義や 民主 主義 や騎 士道 精神 や名 誉や 公正 な精 神と いっ たも のに
︑怪 訝そ うに 軽蔑 の眼 差し を向 ける よう にな った のは
︑ほ んの 数年 前の こと だ︒ 黒人ニグロ は︑ 肌色 や社 会的 地位 や経 済的 富に よっ て制 限さ れて いる こと を承 知し てい るこ とか ら︑ それ らに 対し てい つも 懐疑 的だ った
︒ 黒人ニグロ は︑
﹁君 たち より も神 聖だ
﹂と いう 白 人
ホワ イト
・フ ォー
のク
態度 には うん ざり して いる
︒白 人は 優れ てい ると いう 主張 の根 拠は 何か と黒 人ニグロ は問 う︒ 昔か らの 黒人
ブラ ック
の歴 史を 白人 のも のと 並べ て比 較し ても
︑何 ら恥 じる もの はな い︒
・・
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・・
・・ 黒人ニグロ は黒 肌
ブラ ック
で醜 いと 言っ てい るの を耳 にし たと き︑ 黒人ニグロ は腹 の底 で笑 って いる
︒白 人は いつ も人 種の 純血 のこ とを 口に して
︑ それ にこ だわ って ばか りい るも のの
︑ま さに 白人 のお 陰で
︑多 種多 彩な 肌色 や髪 質や 容姿 の黒 人
ニグ ロ
が生 まれ
︑そ のよ うな 黒人ニグロ の 中に こそ
︑合 衆国 で最 もハ ンサ ムな アメ リカ 人が 見つ かる のだ
︒合 衆国 はま さに 人種 の坩 堝
るつ ぼ
であ り︑ 実に 壮麗 な眺 めに なる
︒ 確か に醜 い人 もい る︒ しか し︑ 美人 の割 合が 白人 の兄 弟
オフ ェイ
・ブ レス レン
より もだ んぜ ん多 い・
・・ それ にし ても
︑な んと 美し いこ とか
! ほ ぼあ りと あら ゆる 色と 見事 に混 ざり 合っ てい るで はな いか
! なん と滑 らか な肌 で︑ なん と柔 らか で丸 みの ある 顔立 ちで ある こと か! 肌色 は褐 色︑ チョ コレ ート 色︑ 黄褐 色︑ ピン ク色 など 様々 だ︒ この アフ ラメ リカ
︱
ま さに 多彩 な美 が織 りな す世 界だ︒肌 色に 対す る嫌 悪を 露わ にし てい るア ング ロサ クソ ンを さえ 魅了 する のだ
︒ 黒人 の兄 弟
ダー ク・ ブラ ザー
は︑ 自分 はア メリ カ人 であ り︑ アメ リカ 文明 に不 可欠 な存 在で ある と見 なし てい る︒ 黒 人
ダー ク・ ブラ ザー
にと って
︑そ れは 白人 文明 では なく
︑白 人と 黒人
ブラ ック
の文 明で ある
︒︵ 三九 一︱
九二 頁︶ スカ イラ ーに して みれ ば︑ 皮膚 の色 の境 界線 での せめ ぎ合 いも
︑せ めぎ 合い を回 避し て︑ 自ら 黒人 の場 に引 きこ も
︵九
〇︶
る立 場も
﹁す べて
︑た いし て重 要な こと では ない と鼻 であ しら う﹂
︵﹃ スカ イラ ー自 伝﹄ 一八 頁︶ 類の もの とい うこ とに なる
︒い わば スカ イラ ーは
︑せ めぎ 合い や回 避と いう より も︑ 黒人
・白 人の 両者 の間 を行 き来 し︑ 自分 の意 思で 考え 行動 する 自由 を持 って いる
︒そ もそ もス カイ ラー にと って は﹁ 人種
﹂と いう 概念 は実 体の ない もの であ る︒ にも かか わら ず︑ 人種 とい う概 念に 固執 し︑ 二つ の人 種を 挟ん での せめ ぎ合 いや 人種 間の 友愛
・融 和を 強調 する こと はき わめ て滑 稽に 思え るの であ り︑ その よう な人 種に 対す る意・ 識・ その もの を﹁ 鼻で あし らい
﹂︵
﹃ス カイ ラー 自伝
﹄一 八頁
︶︑
﹁可 笑し くて 腹を 抱え て笑 う﹂︵
︽わ れら の白 人に つい て︾ 三八 九頁
︒︶ 今一
度︽ ホー カム
︾に 話を 戻せ ば︑ スカ イラ ーは 何も 白人 の基 準に 芸術 を適 合さ せる ので はな く︑ むし ろ人 種を 超 えた 芸術 の基 準を 白人
・黒 人両 者が 分か ち合 って いる こと を主 張し てい るこ とを 改め て確 認で きる
︒﹁ プー プー イズ ム﹂ と﹁ ホー カム
﹂は
︑何 より も﹁ 人種
﹂と いう 概念 の実 体の なさ を透 かせ てみ せる もの であ る︒ した がっ て︑ スカ イラ ーは 白人
・黒 人の どち ら側 にも 対等 な視 座を 向け る︒
︽ホ ーカ ム︾ が白 人に 同化 した 立場 から の発 言
︱
いわ ば 黒人 の﹁ 裏切 り者
セ ル ア ウ ト
﹂︵sellout
の︶ 発言 であ ると いう 批判 は当 たら ない とい うこ とに なる
︒ 第七 章
︽幸 いな るか なハ ムの 子孫
︾と
︽黒 人
ニグ ロ
から アメ リカ への 最高 の贈 り物
︾ アメ
リカ 人は
︑人 種の 坩堝るつぼ の歴 史の 中で 生き てき た以 上︑ 黒人 であ れ白 人で あれ
︑そ れぞ れの 人種 のア イデ ンテ ィ ティ は他 者を 無視 して は確 立し えな いこ と︑ 人種 の交 わり を通 して でし か得 られ ない とい うこ とを
︑ス カイ ラー は︑
﹁プ ープ ーイ ズム
﹂﹁ ホー カム
﹂の 感性 を発 揮し て皮 肉た っぷ りに 見透 かし てい る︒ それ を提 示し た二 つの エッ セイ を 見て みる こと にし よう
︒
︵九 一︶